年: 2016年

「吉田の家リノベーション」リノベーションと新築の違い

「吉田の家リノベーション」解体工事が完了しました。色々な物が無くなった空間は、こんなに広かったかなと思うくらいすっきりとして明るく、本来あった空間そのものの本質がストレートに現れているように感じます。

リノベーション工事は新築工事と違って、解体してみないと分からない部分が多く、解体が終わったここからが本当のスタートといった感じがあります。解体の終わった現場を見ながら、ここはどうやって配管しようか、こっちはどうやって納めようか、あっちはどうやって仕上げをしようか、などなど各種職人さん達と現況を踏まえながら一つ一つ工事段取りを確認していきます。

解体してみたら、当初予定していた工事(仕上げ)が出来ない、なんて事が起こってきます。設計者として速やかに、現状を把握し、次の手を直ぐに打っていくこと。新築工事とは異なり、リノベーションの現場では何よりもレスポンス(素早い判断)が求められるような気がします。

解体工事 解体工事

「吉田の家リノベーション」リノベーション工事の始まりと言えば

「吉田の家リノベーション」いよいよ工事が始まります。リノベーション工事の最初といえば、いつものように、解体工事からスタートです。

既存の家具や建具、キッチンカウンターなどを解体屋さんがバールを使って手際良く、解体していきます。テキパキと作業が進み、気持ちよい程、部屋が片付いてきます。結構かさ張る家具等も、パーツにばらしてしまえば、嵩が減り、トラックの荷台にかなりの量が積み込めます。

長く住んでいると、知らず知らずのうちに物は増えていってしまいます。こんな機会でもないと、必要な物と必要でない物を選別していくことってありません。リノベーション(リフォーム)というのは、自分の生活を見直す良いタイミングかもしれませんね。

解体工事 解体工事

「吉田の家リノベーション」インテリア模型の鑑賞の仕方

「吉田の家リノベーション」インテリア(内装)模型が完成しました。この模型、どのように使うのかというと。実際の建物の方位に合わせ、陽の当たる場所に置いて、中を覗くのです。

そうすると、窓からの陽の入り方や、床や壁に反射した明かりがどのくらい室内を照らすのか、などなど、図面やCGでは分からない情報を視覚的に理解することが可能になります。光の入り込んだ室内の明るさを判断し、仕上材の色目を明るめにするか、それとも暗めにするか、窓の大きさや位置を変えるなどの、最終調整を加えていきます。

もちろん現場の中に実際に立って、最終的な判断を行なうのも欠かせませんが、現場が始まる前に事前に何を調整した方が良いか、模型によって確認しておくことで、よりよい空間を作ることが可能になります。

インテリア模型
インテリア模型
インテリア模型

「吉田の家リノベーション」インテリア模型作製

「吉田の家リノベーション」いよいよ工事がスタートします。今回の計画は、既存住宅の内装リノベーション(リフォーム)です。キッチンカウンターを作り直し、位置を変えることで、LDKの雰囲気をがらっと変えることが目標です。

現在、設計の最終段階。最終確認のため、内装インテリア模型を作製中です。実際に貼られる仕上材と似た素材を模型内に張りつけ、出来上がる空間のイメージとぶれないよう、模型を仕上げていきます。

模型内に配置するキッチンやテーブル、椅子などは、どこかで売っているのですか?と質問されることがあるのですが、実は一つ一つ事務所内で手作業で作っています。ボードを切り抜き、木の板を張り付け、紙を折り曲げ、接着して。ホームセンター等で売っている色紙や木の板などの材料から、作り出しているのです。

細かく時間の掛かる作業ですが、出来上がる模型がリアルであればあるほど、実際に出来上がる空間がイメージし易くなるため、施主さんとのコミュニケーションを円滑に進めることが可能になります。図面を見ただけで、出来上がってくるであろう空間をイメージするのは、私たち設計者でも難しいこと。専門家ではない施主さんに分かり易く、出来限り感覚的にイメージしてもらうため、努力することはとても大事な設計者の努めだと考えています。

インテリア模型作製 インテリア模型作製

「立川の3世帯住宅」上棟

「立川の3世帯住宅」無事に上棟しました。上棟とは、棟が上がること、つまり、一番上の梁まで組み上がることを指します。こちらの建物は、3世帯住宅と規模が大きいこともあって、一日では組み上がらず、数日掛けての建て方作業となりました。

柱梁部材は、既にプレカット工場で加工が済んでいるため、施工図面に従って、組み上げていくだけです。といっても部材数は、かなりの量。どこにどの材料が納まるのか、狭い現場内で探し出して順番に並べ、段取りを行なうだけでもかなり頭を使うことになります。それだけに、大工棟梁の腕の見せ所でもあります。

建て方の際、設計者は、ただぼーっと作業を見上げていれば良い訳ではありません。大工さんと一緒に、足場を登り、図面通りの部材が搬入されているか、配置される場所に間違いはないか、釘の間隔は合っているか、納まりに不具合はないか、などなど現場のあちこちを同時にチェックしていきます。

それと同時に、実際の現場を見ながら、図面では明確に指定できなかったことを拾い出し、現場調整していきます。例えば、、、、窓の位置が隣の家を向かい合わせになっていないか(その場合、窓の位置をずらしたり、ガラスの種類を変えたりします)、空間のスケールは適切か(スケールがおかしい時には天井高さの調整などを行ないます)、などなど現場で少し補正を加えていきます。

棟が上がる頃には、雨も上がり、陽が差してきました。建て方が済むと現場は、いよいよ活気づいてきます。上棟、おめでとうございます。大工さん達もお疲れさまでした。

tachikawa tachikawa tachikawa

「立川の3世帯住宅」金物工法

今回は、技術的な話を少し。「立川の3世帯住宅」では、柱と梁、梁と梁の接合部分に金物工法を採用しています。通常の木造では、柱や梁部材が取り合う部分を凹凸状に加工し、組み合わせることで接合をしています。この取り合う部分のことを建築用語で仕口(しぐち)と呼びます。

今回、通常の凹凸を組み合わせる仕口ではなく、金物工法を採用したのは、組み合わせ部分の耐力低下を考慮してのこと。凹凸状に加工するということは、柱(梁)を断面を切り欠くこととなり、その部分の耐力が低下してしまいます。金物工法の一番の利点は、金物を介して接合することで、構造部材の欠損を最小限に抑えられることです。

梁の欠損面積が減ることで梁の材料面積も減らすことができ、建設費を抑えることが可能になります。ただし、金物代金分が増えているので、通常工法よりは割高となりますが、構造耐力が増していることを考えれば、それを補って余りあるのではないとか思います。

施工側としては、施工の寸法精度の細かさや事前打合せの煩雑さから、金物工法はやや嫌われている感がありますが(笑)その煩雑な施工手間を惜しんででも、採用するメリットがあると判断し、今回採用に踏み切りました。少し手間取るかと思っていた建て方作業も、スムーズに進んでいます。

木造金物工法 木造金物工法 木造金物工法 木造金物工法

「立川の3世帯住宅」建て方工事

「立川の3世帯住宅」建て方工事が始まりました。基礎工事が終わった後、しばらく現場での工事は進んでいませんでしたが、実は水面下で工事は進んでいました。現在、木造の柱梁加工を現場で行なうことは滅多に無く、基本的にはプレカット工場と呼ばれる、加工工場内で先行で加工を行ない、加工の済んだ材料が現場に運ばれることが大半です。

先行で加工を行なうため、事前の加工図の検討や納まり検討が非常に重要となってきます。柱梁の組み方から防水納まり、仕上げ寸法等、この加工の段階で入念に検討を進めておかないと、現場が進んでから思っていたような仕上がりにならない、何て事が起こってしまいます。今回も大工さんや加工業者さんと入念に打合せを行ない、何度も図面のやり取りをし、念には念を入れて加工に望みました。その甲斐あって、現場ではここまで何も問題なく、スムーズに建て方作業が進んでいます。

写真をよく見ると分かりますが今回、柱の材料が場所毎で違っています。集成材であったり、杉材であったり。これは構造解析の結果に基づき、大きな軸力が掛かる部分には耐力の大きい材料、小さい所には耐力の小さい材料を選択しているためです。小さなことですが、適材適所で材料指定することでコスト調整を行なっているのです。

立川3世帯住宅建て方 立川3世帯住宅建て方 立川3世帯住宅建て方

重森三玲作庭「重森三玲庭園美術館」を訪れて

京都、重森三玲庭園美術館を訪れてきました。こちらは作庭家、重森三玲の自邸。そこは重森三玲が自ずからの世界感を表した庭がありました。

こちらの邸宅は、京都の昔ながらの町の中に位置しています。気をつけていなければ、庭園美術館とは気がつかず、通り過ぎてしまいそうなほど、素っ気ない外観。が、一歩その塀の中へ足を踏み込めば、驚くような庭が眼前に広がります。

ごつごつとした荒々しい石が、あちらこちら無数に配置されています。大胆かつ繊細。一見、ランダムに並べられたかのように見える石は、見れば見るほど周到に考えられ、そこに必然性を持って、据えられたことが次第に分かってきます。これをバランスの妙というのでしょう。じーっと見ていると、動かない石が意思を持って動きだすかのような不思議な感覚を覚えます。

庭の奥行きは3〜4間程度。塀の直ぐ向うには前面道路。数m先の隣地には境界に隣接して隣家が迫っています。決して広くはない敷地の中に、これでもかと思いを詰め込んだ重森三玲の想い。その想いゆえか、実際の広さ以上の奥行きを感じる空間となっています。この庭を見ていると、まさか塀の外に普通の町並みが広がっているなどとは、想像もつきません。

住宅街の中、塀の中に一歩入ると、そこに広がる小宇宙。小さな中に自ずからが考える世界観を表現する。これが作庭の真髄なんだと、私は理解しました。狭小空間の中に世界感(時間)を表現する茶室と同様に、庭も世界感(空間・時間)を作り出すという意識を持つことが大切なんですね。

重森三玲庭園美術館
住所:京都府京都市左京区吉田上大路町34
電話:
※見学には事前予約が必要です。

重森三玲庭園美術館
重森三玲庭園美術館
重森三玲庭園美術館
重森三玲庭園美術館
重森三玲庭園美術館

丹下健三設計「台北聖心女子大学」を訪れて

台北中心部より電車で北へ30分、更にバスに乗り換え、計1時間。ゆうゆうと流れる淡水河畔、牧歌的な町並みが広がります。台北市街地とは異なり、ここでは少し時間がゆっくり流れているようです。今回の旅の目的は1967年竣工、丹下健三設計による「台北聖心女子大学」です。

淡水河を見下ろす丘の上に建ち、丘の起伏を利用した空間構成が特徴。平面は、一筆描きのように丘の上をクネクネと這うように折れ曲がりながら、奥へ奥へと続いています。円筒状の垂直コアとそれに架け渡した水平スラブ(床)によって構成されています。同時期に設計された「山梨文化会館」や「静岡新聞・静岡放送東京支社ビル」などの建物と同様の造り。が、他の建物と異なるのは、円筒状コアがランダムに配置されており、より動きのある平面空間が生まれていること。

雑誌で見ていたランダムな平面は、ちょっとデザインが過剰すぎるのではないか、と思ってましたが、実際にここを訪れて感じたのは、不条理さが一切ないということでした。丘のアップダウン、緑の樹々と相まって、このランダム平面がとても自然に感じられました。この環境で、真っすぐな平面を配置したのでは逆に、周囲から対立し、浮き立ってしまったでしょう。流石、丹下と脱帽しました。このような敷地の質の読み取りを丹下健三がしていたかどうかは、私の想像でしかありませんが。

建物内には、そこかしこにベンチや空間溜まりが用意されており、学生達は思い思いに腰をかけ、本を読んだり、話をしたりしています。建物のスケールが大きい割に、細部の作り込みはヒューマンスケールで、居心地の良さを感じます。各所の曲面ディテールや、外壁仕上げのざらっとした表情のテラゾー(人造研ぎ出し)が、一役買っているのかもしれません。

日本国内で見る丹下健三の建物とは少し異なる優しい空間が生まれているように感じました。それは、台北の気候や風土が作り出したのかもしれませんね。

台北聖心女中学校
住所:新北市八里區龍米路一段263號
電話:
※見学に関しては施設へ直接問い合わせください。
私が訪れた際は、警備員室から担当者に許可を得て特別に見学させてもらいました。

台北聖心女子大学
台北聖心女子大学
台北聖心女子大学
台北聖心女子大学

片岡献設計「聖クララ教会(与那原カトリック教会)」を訪れて

打合せのため、夏真っ盛りの沖縄へ。打合せの合間を縫って、以前から訪れたいと思っていた与那原の「聖クララ教会」を訪れてきました。

与那原へは県庁前からバスで約30分。バス停を降り、ふと見上げると、丘の上に中央が低くなったバタフライ型の特徴的な外観が見えています。その外観に誘われるように、丘の上へ上へと階段を上っていきます。敷地内は、地元の方の通り抜けになっているのか、途中、さまざまな人とすれ違います。教会というと何となく近寄りがたいイメージがあるのですが、こちらの教会はとても親しみやすく、敷地内には沖縄らしい柔らかな空気が流れています。

エントランスを通り抜け、中へ入ると、目の前には沖縄らしい濃い緑の樹々と光の溢れる中庭が広がっています。その中庭を取り囲むように配置された回廊をぐるりと廻り、聖堂へ。

聖堂内に入ると、右手には色とりどりの色ガラスの嵌まったガラスサッシ、正面には祭壇が見えてきます。入口から祭壇に向けては、次第に高くなっていく天井。その視覚的効果なのか、(実際に距離の割に)祭壇が間近に迫っているように感じます。これは、神を遠い存在ではなく、より親密に(身近に)存在として感じるよう、設計者が意図してデザインしたのかもしれません。そうだとすれば、さりげなくありながら、とても秀逸な仕掛けです。

椅子に座り目を閉じていると、海風が聖堂内を涼やかに吹き抜けていきます。色とりどりのガラスが嵌め込まれたガラスサッシは、部分部分、開けることが出来、その部分には網戸も取付けてあります。左右の開口部からは、途切れること無く風が流れていきます。ただ美しいだけでなく、とても使い勝手よく、気候風土を考えた合理的な造り。

写真から勝手に考えていたイメージではもっと硬質な崇高な空間だと思っていたのですが、実際にこの場を訪れて感じたのは、とても親しみやすく、温かな空間だというということでした。沖縄の、あの温度、あの湿度、あの静けさ。言葉や写真では伝えきれない沖縄の濃密な時間が、そこには存在していました。

聖クララ教会(与那原カトリック教会)
住所:沖縄県島尻郡与那原町字与那原3090-4
電話:098-945-2355
見学に関する問い合わせは直接教会へ

聖クララ教会 聖クララ教会 聖クララ教会 聖クララ教会

「立川の3世帯住宅」いよいよ着工

「立川の3世帯住宅」設計図面の仕様見直しを行い、なんとか予定通りの工事金額に落ち着き、無事、工務店と工事契約を交わしました。いよいよ工事が着工します。

思い返せば、計画がスタートしたのが去年(2015年)の春頃。数えてみると、着工まで1年4ヶ月掛かったことになります。(一般的な家作りの期間としては、長く時間を掛けた方だと思います。)最初は着工時期を決めずに立て替え相談から始まったこともあり、スタディにある程度長い時間を掛けてきましたが、その期間、熟考してきたこともあり、着工時期が決まった今年の春からは一気に進んできたという感があります。時間的に余裕を持って計画を進めていくことで、施主さんもしっかりと自分の求める暮らし方を確認できたように思います。

工事期間は約6ヶ月。来年の春竣工予定です。既存建物の解体を行なった後のまっさらな敷地の上に青竹を立て、地鎮祭を執り行いました。神主さんの祝詞を聞き、いよいよ始まるなと、いっそう気が引き締まります。

地鎮祭
地鎮祭

「立川の3世帯住宅」見積もり査定中

「立川の3世帯住宅」完成した実施図面を工務店へ渡し、見積もり依頼をしました。図面がかなりの枚数になるので、見積もりには、それなりに時間がかかります。場所毎で使用する建材や構造的な仕様を細かく指定しているので、見積もりを依頼された工務店の方では、ひとつひとつメーカーへ見積もり依頼し、上がってきた見積書をまとめる必要があります。それだけでも相当な労力が掛かってきます。工務店の担当の方には頭が下がります。

図面を渡してから約3週間。見積書が届きました。流石、かなりの枚数の図面を渡しただけあって、見積書もそれなりのページ数になります。記入してある単価や数量に間違いは無いか、金額を落とせる所は無いか、など1ページ1ページ、一項目一項目、設計査定を行なっていきます。

1回目の見積もりで、予定金額内に納まればベストなのですが、なかなかそうはなりません。設計段階でクライアントもどんどん夢が膨らみ、ついついオーバースペックな建物になりがちなもの。見積もり金額が出た時点で、現実的に要望を整理していくことになります。必要なものと、必要でないもの。夢に対して優先順位をつけていくというのも心苦しいのですが。とはいえ、お金も大事。

設計者は、容赦なくクライアントの夢を切り捨てるのではなく、出来るだけコストを抑えつつ、夢を実現する方向を探っていきたいと(まるで自分の家のように)思ってしまうのです。ああでもない、こうでもないと、電卓をはじきながら頭を悩ませている最中です。

工事見積書
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