建築工事費見積り書から適正金額を探る

設計図面もまとまり、さあ、いよいよ工事へ!と行きたいところですが、そんなに直ぐに進めることはできません。図面にまとめた仕様の建物が、一体いくらの工事費になるのか、工務店に工事見積もりをとり、工事契約をしなければ工事をスタートすることはできません。

打合せを重ねてまとめた設計図面一式を地元の工務店に渡して見積もり依頼し、出てきた見積もり書の内容を査定し、工事費が適正であるかどうかを確認する作業が次の設計ステップになります。

見積もりするための図面枚数は多い方が良いのか?

実施図面

設計図面は、いわゆるデザインを盛り込んだ意匠図面、柱梁の組み方を示した構造図面、設備機器や配管などを示した設備図面、照明器具やコンセントの位置や仕様を示した電気図面、確認申請図面が含まれます。今回の建物の図面枚数はA3図面×75枚となりました。住宅一軒にそこまで図面が必要なのか?と思われるかもしれませんが、思った通りの建物を作ろうと思うなら必要だと私は思います。

なぜなら多く図面を描くことで建物の仕様が明確になり、見積もりする際の勘違いが無くなるからです。図面枚数10枚で見積もるのと、75枚で見積もるのとでは、出てくる見積もり金額は異なります。枚数が少なければ、見積もりもざっくりと丼勘定でやるしかありません。詳細に図面が書いてあれば、見積もる方も詳細に見積もりをすることが出来るので、見積もり額の精度が上がります。

また見積もり精度が高ければ、工事が始まってから増額請求になる、なんて予想外のことが無くなります。工事に必要な情報は全て図面に記載してあるので、建て主側の方で追加や変更をしない限りは、工事費が変わることはありません。きちんと見積もり細目があるので、もし逆に工事途中で、仕様をダウンしたり、工事を取り止めにした個所については、きちんと減額することができます。

合い見積もりは必要か?

一社だけでなく、何社かに同時に見積もりをとって金額を競わせる、つまり、合い見積もりすることは必要かどうか?について。確かに、合い見積もりすれば、工務店同士が金額を競って適正な金額が出てきそうな気がしますが、私はあまり、おススメしません。

なぜなら、工務店側がきちんと図面を読み取って見積もりをするには相当な時間と労力が掛かりますので、仕事がとれる可能性が低い場合、積極的に関わってきません。施工技術が高く、かつ、工事費が適正な工務店あれば、そんなに無理しなくとも仕事はすぐに取れるので、わざわざ面倒な見積もり作業をしてまで仕事を取りたいとは思わないでしょう。

もしそのような優良な工務店が工事現場の近くにあるなら、合い見積もりなどせず、一社指名で見積もりをお願いする方が、施工側のモチベーションも上がって良い結果が得られる可能性が高い。見積もり金額については、設計者がきちんと内容を査定するのであれば、合い見積もりで競わせなくとも、最終的には適正な工事金額が出てきます。

今まで合い見積もりを行った経験からすれば、きちんと図面を読み取った工務店であれば、提出される見積もり金額の差額は、1割程度の差に納まってきます。であるならば、あえて合い見積もりをするまでもなく、腕の良い工務店に工事を頼む方がメリットがあるのように思います。

工事見積もり金額を査定する

工事見積書査定

設計図面を読み取った上で出てくる工事費見積もり書のページ数は通常、数十ページにもなります。各ページには、工事項目、材料の数量、材料単価、職人の施工費などが計上されています。

例えば、外装下地材に使う合板が50枚、単価が1,500円/枚、取付け施工費が25,000円/日・人だった場合、
材料費 50枚×1,500円/枚=75,000円
施工費 6日・人×25,000円/枚=150,000円
という具合に、工事項目ごとに(数量)×(単価)=(金額)で記載されています。

設計者は、使われる材料仕様に間違いがないか、材料の枚数が合っているかどうか、一枚の単価は適正かどうか、施工日数が適切かどうか、など項目を一つ一つ査定していきます。数字に間違いや気になる点があれば、施工側へ質疑・交渉を行い、金額調整をしていきます。

ざっくり丼勘定の見積もりでは、高いのか安いのか、判断はつきませんが、見積もり内容が詳細に記載されていれば、その金額が適切かどうかの判断がつきます。ただし、建築業界ではいまだに定価表示と販売仕入れ価格という2重の金額体系になっているモノもあるので、単価に対する相場感を持った人でなければ高い/安いの判断はつかないのですが。

一回目の工事見積もりで希望通りの予算にまとまれば良いのですが、ここ数年の建材価格上昇のペースは非常に速く、今回は想定していた予算を超えてしまいました。そこで見積もり書の項目を一つ一つ見渡し、数量に間違いはないか、単価は適切か、設計仕様の読み取り間違いはないか、などのチェックを行い、設計仕様の変更をして減らせる部分は削減し、加えてねばり強く工務店と交渉することで、見積もり金額を下げていきました。

最終的には、当初出てきた見積もり金額3900万円だったものを3500万円まで圧縮、つまり約400万円減とすることができました。それでも当初の予算をオーバーしているのですが、建て主の譲れない項目は残した上で、求める仕様の工事内容として妥当な金額であると判断し、正式に工事契約する流れとなりました。

金額査定と交渉に約1か月。なんとか工事金額が落ち着いたことは良いことですが、予想以上に時間が掛かってしまいました。ペースアップして工事を進めていきたいと思います。