カテゴリー: プロジェクト

付加断熱でどれくらい断熱性能が上がるのか

付加断熱施工後
「上越滝寺の店舗併用住宅」では、外壁の断熱性能を上げるため、付加断熱を採用しています。写真の左側外壁が付加断熱施工後、右側外壁は施工前の状態です。(タイベックと印刷してある白いシートの裏側に隠れているため、断熱材自体は写真に写っていません。)右手の横になった材木の間に付加断熱材をはめ込んでいきます。付加断熱材にはグラスウールを採用しているため、断熱材をはめ込み後、断熱材が濡れないよう、直ぐに防湿シートを張り付けていきます。

外壁の内部に入れ込む充填断熱材が厚さ105ミリ。それに加えて、付加断熱材が45ミリですので、合わせて断熱材の厚さは150ミリになります。通常の壁内の充填断熱だけの壁と熱貫流率を比べてみると、
・充填断熱105ミリのみ→熱貫流率0.41
・充填断熱105ミリ+付加断熱45ミリ→熱貫流率0.28
と、大きな違いがでます。

熱貫流率とは、一言でいえば外壁を通過する熱量のことで、数値が小さいほど通過する熱の量が小さく、断熱性能が高いことを示します。両者の数値を比べてみると、付加断熱の方が1.4倍、断熱性能が上がっています。単純に断熱材の厚みが増していることもありますが、計算結果を見ると、柱などによる熱橋が減ることが大きく性能アップに働いていることが読み取れます。

住宅の場合、全体の表皮面積に対する外壁の比率が高いため、外壁に付加断熱を加えることでの性能アップの効果は大きいと言えます。

気密測定試験について

気密測定試験

「上越滝寺の店舗併用住宅」では、気密測定試験を行いました。気密測定は一般的に、工事の途中段階(気密工事完了後)と工事完了後の2回行います。

工事の途中で行う場合、仮にどこかに穴が開いていたとしても、その場所を特定することができ、直ぐに手直し対処ができるので、気密性を確実にするのにとても有効です。工事完了後に行う気密測定は、最終的な気密値がいくつなのかを確定するために行う試験です。最終的には外壁に配管のために穴を開けたり、工事途中とは気密条件が変わるので、最終的な気密値を知るために工事後の測定を行います。ただし、気密測定には1回ごとに測定費用が掛かるので、予算上もしどちらか一方の試験だけ、という場合には工事途中で測定を行います。

測定値は、C値(相当隙間面積)で表されます。床面積1㎡当たりの隙間面積(cm2)を現したもので、高気密住宅ですと、C値=1以下が最低基準です。数値が小さいほど、隙間が少ない目安になります。仮に100㎡の床面積の住宅でC値=1であれば、隙間面積は100㎡×1(cm2/㎡)=100(cm2)となり、建物全体で10cm×10cmの隙間(つまり、10cm角の隙間)が存在するということになります。

気密測定試験

気密測定は、専門の測定業者が行います。送風機で室内の空気を外へ掃き出し、圧力差を測定することで隙間面積を判定します。測定時に、もしどこかに隙間があれば、外部から風がヒューヒューと入ってきますので、明らかにそこに隙間があることが分かります。もし、隙間が特定できた場合には、直ぐに気密処理を行うことができます。上記の写真は、どこかに隙間がないか、探している図です。建物の全体を回り、部分部分に手をかざして風が漏れていないか、入念に確認していきます。

気密測定試験

上記写真が、測定結果です。C値=0.5(cm2/㎡)となっています。相当隙間面積が65cm2ですので、建物全体で約6.5cm×10cmの隙間ということになります。はがきサイズが14.8cm×10cmですので、はがきサイズよりも小さな隙間になります。目標C値が1以下でしたので、十分、数字を満たしていることが確認できました。

今回採用した断熱材は、壁・天井ともグラウウール断熱材で、一般的には気密性が確保しにくいと言われています。しかし注意を怠らず、入念に施工を行うことで、気密性を確保できることが証明できました。

気密測定試験を行うことの利点は、大きく以下の3点と考えます。
・隙間などがあった場合に直ぐに手直しができ、気密性を確実なものにすることができる。
・気密性をきちんと数値で示せる。(感覚的なものでなく、きちんとした根拠ある数字で示せる)
・気密測定を行うことで、現場管理がきちんとする。(逆に気密測定を行わないと、現場での管理が曖昧になってしまう)
建物の気密性を担保するためにも、きちんと気密測定を行うことは大切だと思います。今後、私の事務所では、工事途中の気密試験を必須条件にしていきます。

新電力会社に変えると毎月の電気料金は下がるのか?

「岩室の平屋(自邸)」の電力供給会社を東北電力から新電力会社へ変更してみました。新潟県内で電力会社といえば、東北電力の他、選択肢はありませんでしたが、2016年の電気の小売り自由化により、さまざまな供給電力会社から自由に選択できるようになりました。ウェブ上のシュミレーションでは、電力会社を変えることで、毎月の電力料金が下がるとの結果が出ていましたが、実際に料金は変わるのか?ここ数か月の支払い電気料金を比較し、レポートしてみたいと思います。

岩室の平屋ダイニング照明

電気を使用している住宅の使用条件

電力引き込みの使用条件は、以下の通りです。
規模:木造平屋建て
延べ床面積:85.29㎡(25.80坪)
家族:夫婦2人
利用用途:住宅+事務所
使用家電:照明器具、パソコン、スマホ、モニタ、エアコン、換気扇等
電力供給会社:東北電力→Looopでんきに変更

実際に支払った電気料金を比較してみる

ここ数か月に実際に支払った電気料金を比較してみます。以下が請求書の電気使用量と電気料金です。右側には東北電力(従量電灯B・50A)の場合の電気料金と差額を示します。

2021年 7月電気使用量 85kWh/月 Looopでんき2,399円-東北電力3,385円(差額-986円
2021年 8月電気使用量127kWh/月 Looopでんき3,595円-東北電力4,300円(差額-705円
2021年 9月電気使用量 79kWh/月 Looopでんき2,268円-東北電力3,300円(差額-1,032円
2021年10月電気使用量 73kWh/月 Looopでんき2,128円-東北電力3,335円(差額-1,207円
2021年11月電気使用量 70kWh/月 Looopでんき2,075円-東北電力3,177円(差額-1,102円

と、、、ここまで全ての月でLooopでんきの方が安くなっています。

7月下旬から8月まで冷房にエアコンを使ったためか、8月が他の月よりも電力使用量が多くなっています。電力使用量の多い月ほど金額差が小さくなっているのは、毎月の基本使用料を設定している東北電力の方が電気を使えば使うほど、kWh当たりの電力単価が安く使えるため、と予想されます。(Looopでんきの方は、毎月の基本使用料がありません。つまり、電気を使わなかった月は0円になります。)

ただ、使用量120kWhを超えると東北電力のkWh当たりの電力単価は、Looopでんきとほとんど同じになるので、多く電気を使ったからといって上記の差額が大きく増えることは無さそうです。冬に向けて、エアコン暖房の電気使用量が上がるので、今後の推移を検証していきたいところです。

また上記のデータでは、毎月の電気使用量が100kWh/月前後を推移していますが、電力使用量は、生活する家族の人数が増えれば、それに比例して増えていきます。また電子レンジやドライヤーなどの家電機器が多い家庭では、当然、電気使用量が増えていきます。とはいえデータを見る限り、一般的な家庭であれば、新電力会社の方が電気使用料が安くなるようです。毎月1,000円程度かもしれませんが、チリも積もれば山となる、一年で12,000円。10年で12万円、30年で36万円、お得になります。

電力取引価格の上昇で電気料金が高騰することはないのか?

2021年の初め、電力需給がひっ迫したことで電力取引価格が大幅に上昇し、新電力会社の電気料金が高騰する、というニュースが流れました。確かにニュースにあったように、市場連動型プランの料金契約を行っていた契約者は、取引価格の高騰に伴い、電気料金が大幅に上がりました。このようなニュースを聞くと、新電力を契約するのはちょっと怖い印象を持つかもしれません。

しかし、私の契約した「Looopでんき」は、市場連動型でなく、固定単価型料金ですので、市場価格に左右されて電気料金が上がるということはありません。もし電気料金の高騰が不安なら、「固定単価型」料金を設定している電力会社を選ぶようにしましょう。

電力会社を選んで社会貢献する

新電力会社を選ぶ大きな理由は、電力料金が安くなることでしょうが、発電方式が選べることも、もう一つの選択理由になるのではないでしょうか。電力供給源として、太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電を積極的に選択している新電力会社もあります。

発電のために石油やガスなどの化石燃料を燃やすことによる地球温暖化の問題や、原子力発電による放射能事故リスクなどありますが、そのような環境負荷の高い発電方法を極力使わない電力会社を選ぶことで、社会に貢献することができます。毎月の電気料金が下がった上に、社会貢献までできる。まさに一挙両得ではないでしょうか。

電力会社を選択することと合わせて、建物の断熱性能を上げる、LED照明を採用する、消費電力の小さな設備を導入するなど、建物の消費電力を下げる工夫を盛り込んだ家づくりをしていくことが今後、日本のスタンダードとなっていくことでしょう。

高断熱住宅にするには、いくら費用が掛かるのか

「上越滝寺の店舗併用住宅」では、外皮平均熱貫流率Ua値を0.39と設定して、断熱材の仕様を決定しています。家を建てるに際して、どの程度の断熱性能とするのが適切か、きっと迷うことでしょう。設計を専門にしている私でさえ、一体どこまでの断熱性能が適切な数値なのか、迷ってしまうことがあります。当然、技術的に断熱性能を上げていくことは可能ですが、性能が上がれば上がるほど、建設費も比例して上がってしまいます。

果たして、どの程度の断熱性能が適切なのか。同じ室温でも寒い・暖かいなど、そこで暮らす人の感覚にも左右されてしまうので、基準は必ずしも一定ではありません。とはいっても設計者は専門家である以上、きちんと目標数字を決め、目標に基づいて断熱仕様を決めなければなりません。設計者が何を目安に断熱仕様を決めているのか、断熱材には何を使っているのか、性能を上げるにはいくら掛かるのか、を紹介したいと思います。

住宅の断熱性能の目安はどう決まっているのか?

上越滝寺の家
建物の断熱性能は、現行では、その地域ごとの平均熱貫流率(Ua値)を目安に判断することになっています。ちなみに「上越滝寺の店舗併用住宅」の平均熱貫流率Ua値は0.39ですが、その数字がどの程度の水準かと言うと、新潟県上越市(地域区分5)では、以下のようにHEAT20 G1クラスを余裕で満たし、HEAT20 G2までは少し届かない程度の断熱性能となっています。(G1とG2の中間あたり、HEAT G1.5程度とイメージすると良いかも分かりやすいかもしれません)

上越市(地域区分5)のUa値水準(下にいくほど断熱性能が上がります)
・Ua値0.87以下 平成28年度基準相当(断熱等級4)
・Ua値0.60以下 ZEH基準相当(断熱等級5)
・Ua値0.48以下 HAET20 G1基準(←この数字は余裕でクリア)
・Ua値0.34以下 HAET20 G2基準(←ここまでは届かず)

一般的に考えて2021年現在、「Ua値0.60以下」をクリアすることが、高断熱住宅と呼ぶための最低限必要な断熱性能と思われます。また高断熱住宅とキッパリと言い切るなら、さらに上の「Ua値0.48以下」を目指したいところです。

専門家でない限り、HEAT20 G1水準と言われても具体的にどの程度の断熱性能か、イメージしにくいかと思います。現実的な体感温度として伝えるなら、冬場、前夜の23時に暖房を切って就寝し「最も温度の下がる北側の非暖房ゾーンで、暖房をつける前の早朝5時頃に体感温度10度を下回らない」という水準になります。簡単に言い切ってしまうなら、夜間に暖房を止めても冬の一番寒い時間にどの部屋でも10度を下回らない、という水準になります。

なお、HEAT20 G2の場合は、同様の条件で「早朝に13度を下回らない」となります。ここで注意すべき点は、暖房を行わない最も寒い部屋ですので、通常なら北側の廊下やトイレなどの温度を指すことになります。(ですので、前日に暖房を行っていたリビングなどの部屋は体感温度10度(または13度)よりもずっと暖かい、という事ですので、お間違いなく。)

改めて表にすると、上越市(地域区分5)で、一年で最も寒い時期に(2月頃の早朝、外気温-2度くらいの時間に)最も寒い部屋で
・Ua値0.87 平成28年度基準相当→8度を下回らない
・Ua値0.60 ZEH基準相当→9度を下回らない
・Ua値0.48 HAET20 G1基準→10度を下回らない
・Ua値0.34 HAET20 G2基準→13度を下回らない
が、おおよその体感温度の目安と考えてもらえば間違いはないかと思います。

この温度感を目安に、建物の断熱性能を決めていくようにします。当然、人によって寒さを感じる程度が異なりますので、その方の体感に応じて目標値を調整することも大事です。また、人は歳をとるに従って、寒さを感じやすくなるため、今現在だけでなく、10年先のことまで考えて断熱性能を決めていくことをおススメします。

断熱材には何を使うのが有効か?

高性能グラスウール施工

断熱性能を実現するために、屋根、外壁、床下に性能の高い断熱材を入れ込み、室内の熱が外部へ流れるのを防ぐ必要があります。当然のことですが、断熱性能を上げるに従って、建設費用も上がってきます。建て主としては、断熱性能を上げつつ、コストも抑えたい、というのが心情でしょう。つまりコストパフォーマンスの高い断熱材を使いたい、という要望に応える必要が出てきます。

私の設計した建物では、上記の要望に応えるために、コスト当たりの断熱性能が最も高い製品である高性能グラスウール断熱材を使うことにしています。他にも断熱性能のもっと高い製品もあるのですが、日本国内どこでも直ぐに手に入るグラスウールに比べるとまだまだ値段が高い印象があります。また、グラスウールは昔から大工さんが使ってきた製品でもあるため、施工性が高く、導入に当たって施工コストを抑える事ができるというもの大きな理由です。

ただし、グラスウール断熱材にもデメリットがあります。施工方法を間違えれば、すぐに性能低下へとつながりますし、湿気に弱いため材料保管や施工には細心の注意を払う必要があります。

高断熱住宅にかかる費用はいくらか?

断熱工事

例えば、木造2階建て延床面積35坪の平成28年度基準(断熱等級4)の住宅を、HEAT20 G1クラスまで断熱性能をあげるには、いくら費用が割増になるのか?を計算してみようと思います。

この規模のH28年度基準の住宅ですと、断熱材全ての材料費は40万円程度になります。その断熱材をHEAT20 G1を満たす断熱材へ変えた場合、およそ断熱材の材料費が30万円アップします。また外壁付加断熱が必要となるためその取り付け工事費で20万円アップ。更に気密処理などで5万円増。その他、サッシを樹脂複合から樹脂サッシに仕様アップして30万円増。ちなみに天井や壁、床に入れ込む断熱工事は断熱材の仕様が多少変わったとしても施工手間は一緒なので増額無しの0円。以上、合計すると85万円の割り増しになります。

・断熱材仕様アップ+30万円

・外壁付加断熱+20万円

・気密工事+5万円

・樹脂サッシに仕様アップ+30万円

上記合計=85万円

割り増した金額を坪数で割れば、85万÷35坪=2.4万円/坪の増額になります。仮に建設坪単価が85万円/坪だとすれば、延床面積を一坪小さくすれば、まかなえる金額です。建物を少しだけ小さくして、その分の差額で断熱性能をアップすると考えるのはどうでしょう。コンパクトにした分で、夏涼しく、冬暖かく。そんな価値観があっても良いと思います。
(※記事掲載時の増額を表示していますが、その後、建材高騰のため記載した価格よりも金額は上がっています。)

「岩室の平屋」見学会を行います

岩室の平屋」完成からしばらく時間が経ちましたが、やっと庭の植栽も落ち着いてきたので、見学会を行います。

大きな窓を設け、庭の風景と一体となるような建物構成をとっている建物の場合、庭の緑がないとなんとも殺風景で味気なくて。。。庭の樹々が定着するまで見学会を見送っていたため、完成からしばらく期間が空いてしまいました。お会いする方々に、まだかまだかと、何度も催促をいただいていましたが、やっと見学会を行える状態になりました。お待たせいたしました!

大きな窓で室内と繋がる庭の風景。室内にいながら、まるで外にいるかのような解放感が味わえます。障子戸を締めれば、柔らかな明かりに包まれた落ち着いた雰囲気へとがらりと変わります。延べ床面積85㎡と小さな平屋の家ですが、床面積以上の広がりを感じることができるはずです。また建物の随所に無垢材を取り入れた、遊びのある空間を目指しました。どこに無垢材が取り入れられているか、ぜひ探してみてください。

建築概要
住所:新潟県新潟市西蒲区
規模:木造平屋建て
延べ床面積:85.29㎡(25.80坪)
工事費:1,850万円(坪単価72万/坪)
断熱性能:平均熱貫流率Ua値=0.47(heat20 G1相当)
設計:金子勉建築設計事務所
施工者:新発田屋(そりっど建築部)

日程は、2021年11月6日(土)と7日(日)の2日間
時間は、午前10時から16時まで
コロナ感染症予防対策のため、今回は事前予約制といたします。
見学は一組づつとしますので、ご来場の際には必ずメール、または電話でご予約をお願いいたします。
予約が埋まり次第、お断りすることもありますので、ご了承ください。

メール→design-studio.kaneko@nifty.com
電話→050−3552−4649

ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
またお会いできることを楽しみにしております。

土地の購入前にやっておかなければならないこと

規格化住宅「ユニベールハウス」、新たなプロジェクトがスタートします。こちらの住宅は、新潟市のユニベール不動産と共同して作る分譲住宅です。既に住む方が決まっているオーダー住宅設計とは異なり、どんな住まい手でも使い勝手がよく、心地よく住める普遍性のある家を提案していかなければなりません。特定の住まい手が決まっている場合、その方とのヒアリングを通して、かなりカスタマイズした特殊解となるケースもあるのですが、今回求められているのは、普遍性。フツーに気持ちの良い、過ごしやすい家をテーマとしています。

今回の計画地は、新潟市西蒲区の岩室。市街地からは少し離れた、のどかな田んぼの風景が広がる郊外地域です。さっそく設計に取り掛かっていきたい所ですが、設計を始める前に必ずやっておかなければならない手続きがあります。それらを以下に説明していきます。

法的条件の調査

設計に取り掛かる前にまず最初に行うことは、計画敷地の法的条件の調査です。計画敷地には、

・どんな用途の建物を建てても良いのか(用途制限)
・どのくらいの床面積まで建てられるのか(容積率制限、建ぺい率制限)
・建物の高さはどこまで可能か(高さ制限、斜線制限)
・隣地との離れはどのくらいとればよいのか(壁面線後退制限)

などなど、さまざまな規制が掛けられています。土地を購入した後で、希望していた建物が建てられない!なんてことの無いよう、購入前に必ず敷地条件を調査することが必要です。通常は、土地の不動産販売情報に法的条件が記載してあると思いますが、新潟市内であればウェブで法的条件を照会することができます。建ぺい率や用途地域などの専門用語で表記してあるので、不明な点があれば不動産屋さんか設計士へ聞いてみましょう。

敷地の現地調査

法的な条件を把握した後は、実際に現地を訪れます。不動産資料では把握できない詳細な事項を、現地で確認する必要があります。現地で確認すべき項目として主な項目を下記にリストアップします。

・敷地境界の確認(境界杭はあるか、隣地境界に塀などがあるか)
・前面道路の幅員の確認(前面道路の幅寸法)
・給排水の引き込みの有無(給排水の引き込みは既に設置されているかどうか)
・電線や電柱などの位置
・敷地地盤レベルと道路や隣地との地盤レベルとの差はあるか

条件によっては、建物の建設費の他に更に費用がかかる場合があります。給排水の引き込みがなければ、新たに引き込み工事の費用が掛かりますし、隣地境界に古いブロック塀があれば別途解体費が掛かります。不動産情報には、表示されていない条件を事前に把握しておくためにも、現地確認は必ず行いましょう。

周辺環境の調査

敷地自体を確認するのはもちろん、周辺環境を確認するのも大切です。できれば車を降り、周辺を歩いて散歩してみることをおススメします。住み始めてから思っていた住環境とは違っていた、などという事の無いように。確認すべき主な例として、

・平日(週末)の朝、昼、夕方の時間帯はどんな音がするのか?(静かな場所・賑わいのある場所なのか?)
・車の通行や人の通行量は、どの程度なのか?(車の走行音や通行人の視線が気になるかどうか)
・日当たりや風の抜けはあるか?(隣に建つ建物によって日当たりが変わることがある)
・どの向きにどんな風景が見えるのか?(視線の抜けがあるか?室内から望める風景はあるか)
・周辺に買い物をするスーパーなどはあるか?
・ごみ捨て場はどこにあるのか?

など、確認項目は多岐に渡りますが、実際にその周辺を歩いてみて、自分が気に入るかどうかが大切です。その地域の雰囲気が気に入らなければ、どんなに良い家を建てたとしても、心地よく住むことは出来ません。全てがパーフェクトな敷地を探すことは難しいのかもしれまんが、ちょっとマイナスな点があったとしても、それ以上のプラスな点があれば、マイナスを補うこともできます。例えば、とても景色が良い方向がある、車が通らず静かな環境であるなど。少し時間を掛けて、何度か周辺を散歩してみましょう。

玄関だけで使うなんてもったいない!?

「ユニベールハウス」の玄関は土間エリアを広めにとって、収納スペースに使っています。玄関土間を広めにしておけば、ただ単に靴の履き替えをするだけでなく、ちょっとしたアウトドア用品を仕舞ったり、DIY作業したり、自転車の整備をしたりと、さまざまな用途に利用できるようになります。床はコンクリート仕上げなので、少しくらい汚れても気になりません。もし汚れたら、ゴシゴシと水洗いすることもできますから。

玄関土間をただ出入りするだけで使うなんてもったいありません。いろんな用途に使うことで暮らしの可能性が大きく広がります。

玄関土間の壁面には可動棚を設け、カウンターには手洗いボウルを置きました。収納棚を設けたことで、壁一面が収納スペースになり、大容量のモノが収納できます。キャンプ好きな人ならテントやBBQ用具など、海好きな人なら釣り竿やサーフボードなど、思っている以上に道具ってありますよね。もし足りなければ可動棚を増やすことで、更に収納量を増やすことも可能です。

写真くらいの棚板があれば、結構な量が納まるのではないでしょうか。今回はコストを抑えるために壁を合板仕上げのままとしましたが、塗装で仕上げることで見せる棚にすることもできます。

最近はテレワーク需要も高まっていますので、このスペースをオフィススペースとして使うのも、ありかもしれません。今回は6帖ほどのスペースですが、もっと大きく設ければ、ちょっとした店舗スペースとしても使うこともできます。

玄関側には自転車を玄関内へ入れるためのドア設けています。ドアはガラス入りとして、暗くなりがちな玄関スペースに光を取り込もうと考えました。

玄関ドア横の壁には、ポスト口を組み込んでいます。ポスト口に投函されたモノは、カウンター上にぽろりと落ち、郵便物を外に出なくとも、室内側で受け取る事ができます。

小さな住宅だからこそ、スペースを有効活用することが大切です。床面積が小さくとも、工夫を加えることで、暮らしの幅が広がります。

設計協力物件が「近代建築2021年6月号」に掲載されました

ここ数年、当事務所が設計協力を行ってきた「ハイアットリージェンシー横浜」が近代建築6月号に掲載されました。2021年6月15日発売で書店に並びますので、ぜひお手にとってご覧ください。

ハイアットリージェンシー横浜」掲載ページ

建築主:株式会社ケン・コーポレーション
設計・監理:国建
構造設計:江尻建築構造設計事務所
設備設計:森村設計
インテリアデザイン:イリア
設計協力:金子勉建築設計事務所

と、錚々たるプロジェクトメンバーの中、当事務所もプロジェクトに設計協力者として参加させていただきました。プロジェクトが始まってから完成するまで約4年、思い返せば色々とありましたが、メンバー一丸となり、なんとか完成までたどり着くことが出来ました。

設計メンバーには、大学時代の先輩にあたる意匠設計担当の国建・有銘氏と江尻構造設計の江尻氏が参加しています。(本プロジェクトへ誘っていただいたのは、ほかでもない有銘氏です。)お二人は、私が設計事務所を始めた当初のプロジェクト「南青山キリン」でお世話になった、顔なじみのメンバー。南青山キリンは2001年竣工ですので、最初に会った頃から20年の月日が経ったことになります。あの頃は私もまだ駆け出しで、まさか20年後にここまで大きなプロジェクトを同じ顔ぶれで進めるとは、夢にも思っていませんでした。

私のようなアトリエ設計事務所では、住宅や店舗内装などの比較的小規模な設計事案が大半ですので、高層ホテルとなると、いつも手掛けている規模の数百倍の床面積になります。私自身、ここまで大きな規模の物件を経験したことは無かったのですが、普段手掛けている物件と同様、目の前にある事を一つ一つ確実にこなしていくことで、普段通りの設計スタンスと変わらず、前向きに設計に取り組めたのではないかと思っています。この経験を活かし、今後も更に設計技術を磨いていきたいと思っています。

「ユニベールハウス」工事最終段階です

「ユニベールハウス」工事の最終段階に入りました。壁の塗装工事が終わり、白い壁に反射した陽の光で室内が一気に明るくなりました。壁仕上げには、しっくい塗装を採用しています。こちらの塗料は、艶消しのようなざらっとした質感が特徴で、落ち着いた雰囲気の空間に仕上がります。見た目の質感だけでなく、しっくい塗料だけあって調湿性を持ち、空気環境を安定させてくれます。

こちらの写真は、窓回りの枠納まりです。窓枠の厚みを薄くすることで枠の存在感を消しています。既製品枠だとどうしても、ぼてっとした印象になってしまいますが、このように納めると見た目がシャープになります。本来であれば、窓の外の景色をそのまま見たいのであって、サッシや窓枠の存在が完全に無くなるのが理想ではあるのですが、、、完全に隠してしまうには更に複雑な納まりを採用しなければならず、今回はシンプルな納まりにする、という方法にとどめています。窓の外には隣地の桜の木が見えています。隣の風景を拝借、借景として取り込んでいます。

現在、設置工事が進行中のオーダーキッチン。ローコスト住宅でありながら、ここはこだわった箇所です。細かな作り込みをせず、シンプルな納まりとすることで、オーダーキッチンでありながらも、製作費を抑えています。ローコストを目指すと、どうしても既製品を組み合わせることに陥ってしまうのですが、既製品の組み合わせだけでは、賃貸アパートのような作りになってしまいがちです。ローコストだからこそ、こだわりの個所を作ることが大事だと思います。こだわりの無い、抑揚のないのっぺらとした家では、感情移入しづらく、なんとも貧相な空間になってしまうと思うからです。

工事はいよいよ最終段階。完成に向け、ラストスパートです。販売会社により内覧会が開催される予定ですので、興味のある方はぜひとも、ご来場ください。

「ユニベールハウス」工事進行状況の確認

「ユニベールハウス」工事進行状況の確認と打合せのため、現場へ。仕上げた材を傷つけないよう、工事の順番を天井→壁→床と上から下に順番に進めていきます。天井の工事が概ね終わり、現在、間仕切り壁の下地工事が進んでいます。壁下地工事と同時進行しながら、窓枠や建具枠などを同時に加工し、取り付つけていきます。

今回、枠や建具などは、既製品を使わず、加工製作枠としているので、その都度、納まりを検討して、形状を加工し、組み立てていく必要があります。そのため、既製品枠を購入するのとは異なり、取付工事には時間がかかってしまいます。が、、、その分、空間に合った形で作ることができます。今回は、枠の厚みを薄く、出寸法も最小限に納め、室内空間をシンプルでミニマルな雰囲気で統一します。

「ユニベールハウス」断熱仕様について

「ユニベールハウス」工事がスタートした頃は、まだ残暑が続き、暑い暑いと言いながら現場作業していたように思うのですが、気がつけば既に肌寒い季節になってきました。夏になれば暑さが、冬が近づけば寒さが、つい気になってしまうのが人情ですが、今回は断熱性能についての話です。なぜなら現在、現場ではまさに断熱工事が進行中!だからです。

断熱材は色々なメーカーが研究開発を重ね、現在、さまざまな種類の断熱性と気密性が高い製品が市場に出ています。10年前に比べると、同じ値段で手に入る断熱材の性能は、格段に上がっているというのが実情です。数ある断熱材の中からどの断熱材を選ぶのが良いのか。各社のカタログを見比べて今回選択したのは、在来工法でもっとも一般的に採用されている高性能グラスウール断熱材でした。

高性能グラスウール断熱材を採用した理由は、一般流通している製品で日本中どこでも手に入りやすいこと(つまり全国どこの建材屋さんでも手に入り、かつ、導入コストが安い)、また、大工さんが昔から使っていて最も慣れており、施工スピードが速くて施工が確実なこと、でした。高性能と呼び名がつくだけあって、一般のグラスウールよりは材料自体の値がやや張りますが、高性能グラスウールだろうと、一般グラスウールだろうと、(グラスウールの厚みが一緒なら)大工さんのグラスウールの施工手間は全く一緒。施工手間は変わらず、グラスウールの差額分を増額するだけで高性能な断熱材を導入できるので、費用対効果が大きく、おすすめです。

サッシには、樹脂複合サッシ+複層ガラスとし、日差しの差し込む大きな窓については熱線反射ガラス(Low-Eガラス)を採用しました。数年前まではアルミサッシが主流で、樹脂複合サッシは、まだ金額が高かったのですが、近年、国の省エネ政策の影響もあり、アルミサッシの1~2割増しで手に入るようになりました。また、更に断熱性能の高い樹脂サッシも普及が進んできており、価格が年々、下がってきています。今回の建物のように、大開口窓を設けるような住宅では、窓サッシの性能を上げるのは、建物の断熱性能アップにとても有効な手段です。

上記の仕様で、建物の断熱性能は(正確には外皮性能ですが)、平均熱貫流率(UA)値=0.64W/㎡Kとなっています。ZEH(ゼッチ=ゼロエネルギー住宅)の断熱性能基準が新潟市では、UA値=0.6以下ですので、ゼロエネルギー住宅にはちょっと届かないという数値ではありますが、坪単価を抑えたローコスト分譲住宅という建物の性質を考慮すれば、それなりにハイスペックな断熱住宅の部類に入れても良いのではないかと思います。

分譲住宅においては、販売価格と断熱性能スペックのバランスが重要となるので、今回はこの断熱性能としましたが、もっと断熱性能を上げていくことは技術的には当然、可能です。例えば、断熱材をの厚さを上げる、または、窓を全て樹脂サッシにする、Low-Eガラスを採用する、など方法はいくつもあります。部屋の広さやデザインなどと違って断熱性能は、ぱっと見で伝わるものではないので、どこが適正値かを決めるのはとても難しいところではありますが。

思い返してみると、私の事務所で設計している住宅は、年々、断熱性能が上がってきています。10年前の住宅と今の住宅では、まったくといっていい程、断熱性能が違っています。それは、断熱材の性能アップという断熱メーカーの努力と、省エネルギーに対する人々の意識が変わってきたことの現れと言えるかもしれません。

「ユニベールハウス」外装下地工事

「ユニベールハウス」現在、外装下地工事が進行中です。以前は柱梁だけの骨組みでしたが、外壁下地が貼られ、外形が表れて家らしくなってきました。周囲の建物と比べ、ひと回り高さが低いためか、どこかしら可愛らしい印象があります。

今回、外壁下地材には耐震パネルを採用しました。筋交いなどの線状の耐震材に比べ、パネル状の耐震材は、地震力を分散させて伝えることができるため、地震に強いと言われています。また耐震性を上げると同時に、建物の気密性も上げる効果があると考えています。

建物内はというと。。。まだガランとした状態のままです。外壁工事が終わらないことには、室内に雨が入ってきますので、まだ室内の工事が進められません。現在、窓サッシを取り付けるために外壁下地ボードに穴を開ける作業中。サッシが現場に届くのを待っている状態です。