カテゴリー: 建築工事

付加断熱でどれくらい断熱性能が上がるのか

付加断熱施工後
「上越滝寺の店舗併用住宅」では、外壁の断熱性能を上げるため、付加断熱を採用しています。写真の左側外壁が付加断熱施工後、右側外壁は施工前の状態です。(タイベックと印刷してある白いシートの裏側に隠れているため、断熱材自体は写真に写っていません。)右手の横になった材木の間に付加断熱材をはめ込んでいきます。付加断熱材にはグラスウールを採用しているため、断熱材をはめ込み後、断熱材が濡れないよう、直ぐに防湿シートを張り付けていきます。

付加断熱スケッチ

外壁の内部に入れ込む充填断熱材が厚さ105ミリ。それに加えて、付加断熱材が45ミリですので、合わせて断熱材の厚さは150ミリになります。通常の壁内の充填断熱だけの壁と熱貫流率を比べてみると、

  • 充填断熱105ミリのみ → 熱貫流率 0.41 W/m²・K
  • 充填断熱105ミリ+付加断熱45ミリ → 熱貫流率 0.28 W/m²・K

と、大きな違いがでます。付加断熱の方が単純に断熱材の厚みが増していることもありますが、計算結果を見ると、柱などによる熱橋が減ることが有利に働いていることが読み取れます。

熱貫流率とは、外壁を通過する熱量のことで、数値が小さいほど通過する熱の量が小さく、断熱性能が高いことを示します。両者の数値を比べてみると、付加断熱の方が1.4倍、断熱性能が高い。この数字の差の意味を一言で言うなら、冬場なら1時間あたりに内壁の温度が、充填断熱のみなら1.4度下がるのに対し、付加断熱の方は1度下がるということです。室内の温度を一定に保つためには、壁から逃げる熱エネルギー分だけ暖房で供給する必要があるのですが、充填断熱のみの方は暖房エネルギーが1.4倍必要になります。

住宅の場合、全体の表皮面積に対する外壁の比率が高いため、外壁に付加断熱を加える効果は大きいと言えます。ただし、外壁面積が大きいということで、逆に施工面積が多く、建設費が上がってしまうマイナス面もあります。

気密測定試験について

気密測定試験

「上越滝寺の店舗併用住宅」では、気密測定試験を行いました。気密測定は一般的に、工事の途中段階(気密工事完了後)と建物完成時に行います。

工事の途中で行う場合、仮にどこかに穴が開いていたとしても、その場所を特定することができ、直ぐに手直し対処ができるので、気密性を確実にするのにとても有効です。建物完成時に行う気密測定は、最終的な気密値がいくつなのか、確定するために行う試験です。最終的には外壁に配管のために穴を開けたり、工事途中とは気密条件が変わるので、最終的な気密値を知るため、完成時の測定を行います。

ただし、気密測定には1回ごとに測定費用(およそ5万円/回)が掛かるので、予算上、もしどちらか一方の試験だけ、という場合には工事途中で測定を行うと良いでしょう。(その理由は以下に書きます)

気密測定値について

測定値は、C値(相当隙間面積)で表されます。床面積1㎡当たりの隙間面積(cm2)を現したもので、高気密住宅ですと、C値=1以下が最低基準とされています。数値が小さいほど、隙間が少ない目安になり、より高気密であると言えます。

気密測定試験

気密測定は、専門の測定業者が行います。送風機で室内の空気を外へ掃き出し、圧力差を測定することで隙間面積を判定します。もし測定時に、どこかに隙間があれば、外部から風がヒューヒューと入ってきますので、明らかにそこに隙間があることが分かります。もし、隙間の場所が特定できた場合には、直ぐに手直し気密処理を行うことができます。

上記の写真は、どこかに隙間がないか、探している図です。建物の全体をぐるぐると回り、部分部分に手をかざして風が漏れていないか、入念に確認していきます。

気密測定試験

上記写真が、測定結果です。右上の数値、C値=0.5(cm2/㎡)となっています。相当隙間面積が65cm2ですので、建物全体で約6.5cm×10cmの隙間が存在することになります。はがきが14.8cm×10cmの大きさですので、建物全体の隙間を足して、はがきよりも小さな面積でした。目標C値が1以下でしたので、十分、数字を満たしていることが確認できました。

今回採用した断熱材は、壁・天井ともグラウウール断熱材で、一般的には気密性が確保しにくいと言われています。しかし注意を怠らず、入念に施工を行うことで、気密性を確保できることが証明できました。

気密性能が高いと、どんなメリットがあるのか

気密性能が高ければ、つまり、隙間が少なければ、暖めた(夏であれば冷やした)室内の空気が外へ逃げる量が減ります。逃げる量が減れば、冷暖房効率が上がり、省エネになります。特に冬場は隙間が多いと、冷たい冷気が足元から入ってきますので、冷えを感じやすくなります。

また隙間が多い場合、換気扇による風の流れをうまく作ることができず、室内の空気が滞留しやすくなってしまいます。

気密測定はやり直しできるのか?

もし思うような気密測定結果が出なかった場合は、どうなるのか?再度、測定はしてもらえるのか?それとも測定費用が余計に掛かってしまうのか?

答えを先に書きますが、その測定最中であれば、測定のし直しは可能です。実際に、今回の測定では最初、全く思うような数字が出ず、おかしいということになって、どこかに穴が開いてないか探し回ることになりました。(最終的には、換気扇の穴を一箇所、塞ぎ忘れていたことが判明し、直ぐに対処できました。)

気密測定試験

数値が思うように出なかった場合、一箇所にまとまって穴が開いているのか、それもと分散して小さな穴が開いているのか、その傾向が測定機に表示されます。もしまとまって穴が開いている場合、今回のように、どこかに塞ぎ忘れがある可能性があります。気密測定は、一発勝負ではありません。施工上のミスが無いかを確認し、気密性を確実にするために行うものです。よって、その場で何度も測定し直すことは可能です。(ただし、手直しに時間がかかり、後日改めて測定しなければならない場合には、再度、測定費用が掛かります)

気密試験を行うメリット

気密測定試験を行う利点は、大きく以下の3点です。

  • 隙間などがあった場合に直ぐに手直しができ、気密性を確実なものにすることができる。
  • 気密性能をきちんと数値で示せる。(感覚的なものでなく、きちんとした根拠ある数字で示せる)
  • 気密測定を行うことで、現場管理がきちんとする。(逆に気密測定を行わないと、現場での管理が曖昧になってしまう)

気密工事に関して施工実績と経験があり、気密測定を行わなくとも、きちんとした気密性能を実現することができる施工会社は、現状ではまだ多くはありません。建物の気密性を担保するためにも、きちんと気密測定を行うことは有効です。今後、私の事務所では、工事途中の気密試験を必須条件にしていきたいと思います。

「上越滝寺の店舗併用住宅」地盤改良の工法について

「上越滝寺の店舗併用住宅」地盤調査を行った結果、軟弱地盤(沈下の可能性あり)との判定が出てしまいました。(実はもう少し良い結果が出るのではないかと、淡い期待を抱いていたのですが。。。)土地を購入する際に、ある程度の地盤強度が分かっていれば良いのですが、たいてい土地の購入時には、地盤調査をしてあることは無く、地盤強度が不明ということが大半です。

予想していたよりも地盤が軟弱であれば、後々、地盤改良費用が増えてしまいますし、地盤改良費を多く見込みすぎては、借入額が増え、事業自体が成り立たなくなってしまいます。土地の購入時に、地盤改良予算をどこまで見込んでおくのか、毎回のことながら悩ましい問題です。

周辺の地盤調査データが得られれば、ベストではあるのですが、そう簡単にデータを得られることはないでしょう。もし近くで施工している建設現場があったらその物件が地盤改良を行ったかどうかを見みれば、地盤改良が必要かどうかのおおよその検討がつきます。また、もし聞けるのであれば、お隣さんや近隣の方に新築時に地盤改良を行ったかどうかを聞いてみるのも良いかもしれません。

もしそれらが叶わなければ、周辺道路のマンホール蓋やブロック塀、電柱などを見て、ひび割れがあるかどうか、塀や電柱が傾いていないかなど、周辺情報を観察してみることで軟弱地盤かどうかを予測することができます。

地盤調査の結果を踏まえ、今回は、地盤改良を行うことにしました。地盤改良に採用した工法は「環境パイルS工法」という、木杭による地盤改良工法。(下の写真に写っている鉄筋の下に埋まっている木が、改良杭です。)私の事務所では、近年、この改良方法を採用することが増えています。

「環境パイル工法」改良工事費用は、他の改良工法に比べて1~2割高めではあります。ただし、建物解体時のコストまで含めてトータルに考えると、コストメリットがあると判断しています。なぜなら、この木杭工法であれば、比較的簡易に杭を引き抜くことが可能だからです。つまり、杭の撤去費用が安い。セメントなどを使った改良方法ですと、杭打設時の工事費用は比較的安くできるのですが、解体しようとすると、解体費用が大きくかかってきます。(場合によっては、解体不能という場合もあります。)

新築の際に、そこまで考える方は少ないのかもしれませんが、もし仮に建物を解体し、最後に更地にして土地を売る場合、改良杭が撤去していなければ、土地の値段は下がってしまいます。(改良杭の撤去費分、土地代が下がってしまいます)ですので、建設~解体に至るまでをトータルに考えれば、全体費用が抑えられ、むしろ割安ではないかと。目先の建設費だけでなく、もっと長いスパンで考えていく事が必要です。

合板による耐震パネル工法を採用しました

「岩室の平屋」建て方に続いて、現在、外壁に下地合板を貼る工事が進んでます。なぜ外壁に合板を貼るかというと、建物に耐震力を持たせるためです。今回の建物は、柱・梁を組んで作る在来木造と呼ばれる昔ながらの木造工法を採用していのですが、「筋交い」だけでなく、外壁に「合板パネル」を貼る事で、耐震力を持たせています。最近では合板パネルの種類にも、各メーカーとも様々な製品が出てきていますが、施工費を考慮し、もっとも価格の安いラーチ合板を採用しました。(写真で茶色に見えている壁に張られた合板)

合板パネルで耐震力を持たせる工法といえば、2×4(ツーバイフォー)工法が知られていますが、今回採用した工法は、ツーバイフォー工法の良いところを在来木造に取り入れた、良いとこどりのハイブリッドな工法となっています。線で支える筋交いに比べて、面で支える合板パネルは、建物に掛かる地震力を分散させて伝えることができ、強い揺れにも粘り強く対抗できる利点があります。

写真に見えている斜めにかかっている部材が「筋交い」です。どしんっといった急激な地震力が筋交いに加わると、その力は筋交いに集中的に加わり、筋交いが抵抗できずに折れてしまうケースが阪神大震災などの大地震で多く見られました。しかし、今回の建物には筋交いを併用しています。なぜわざわざそのような地震に弱い部材を採用するのかというと、コストを抑えつつ、建物の耐震バランスを取るため。昔から使われてる筋交いは工法も比較的簡易で、合板パネルを貼るよりもコストを抑えることができるので。

基本的に合板パネルは、外壁に張られますが、外壁にはいくつもの窓が設けられており、場所によっては合板を貼れない個所がでてきます。合板が貼れない部分があると、建物の重心が偏り、その部分に揺れが集中してしまいます。一般的に住宅は、採光のために南側に大きな窓が設けられることが多いので、南側の耐震性が弱くなる傾向があります。そのような場所に補完的に筋交いを設け、全体のバランスをとっているのです。考え方としては、メインで外壁の合板パネルで力を支え、サブで筋交いを使っているイメージです。

とは言え、建物に加わった地震力は単純に合板パネルだけでもっている訳ではありません。実際には、柱や梁などの線材を介して地震力を基礎へと伝えていくため、柱・梁の接合部分の取合いや金物の選定がきちんとしていなければ、地震に耐えることができません。そのため、接合金物の許容耐力や留付け釘の種類や間隔などを、現場で一つ一つ間違いが無いか確認していくことが重要です。耐震の合板は貼ってあるけど、実際には力が伝わってない、では意味がありませんので。

「岩室の平屋」建て方工事

「岩室の平屋」トラックで現場に運ばれた柱・梁材を、クレーンで一本一本吊り上げ、柱梁を組み上げていきます。この作業の事を「建て方(たてかた)」工事と呼びます。今まで基礎しか無かった現場に、ある日、急に建物が立ち上がってくるという、建設工事の中でも最もドラマチックな瞬間です。大工さん達は、梁の上をひょひょいと身軽に歩き周り、あっという間に建物の形が立ち現れていきます。

今まで各加工場や作業所で加工していた材料が、初めて現場に集合し、図面に従って、順番に組み上げられていきます。朝から始まった建て方作業、夕方には屋根下地までが組み上がり、無事に「上棟(じょうとう)」を迎えました。(上棟とは、一番高い所にある棟梁が取り付き、建物の骨組みが組み上がる事を言います)

気温36度。暑い中の作業、お疲れ様でした。きっと今夜はビールがおいしいことでしょう。祝、上棟。

「上越滝寺の店舗併用住宅」柱梁材の加工打合せ

「上越滝寺の店舗併用住宅」柱・梁材が加工場に搬入されました。この後、大工さんの手によって、接手部分の加工作業へと入っていきます。近年では、柱・梁材はPCでデータ入力し、機械で加工を行うプレカット工場で加工を行うが大半なのですが、今回、施工をお願いしている久保田建築では、大工技術向上のため、できる限り手で加工を行うようにしている、とのことでした。

大工さんと打合せをして、接手の位置、取付金物と許容耐力の確認、加工形状、各部納まりなど、一つ一つ漏れの無いように確認をしていきます。せっかく搬入した材料、間違えて加工しては無駄になってしまいますので。慎重には、慎重を重ねて。

柱梁材

「岩室の平屋」基礎工事完了

「岩室の平屋」基礎工事が完了しました。今回、(床裏断熱ではなく)基礎断熱を採用したので、基礎の側面には、断熱スタイロフォームが取り付けられています。写真で見えている水色ボードが断熱材です。

基礎コンクリート自体を蓄熱槽として利用するかどうかで、基礎の内側・外側、どちら側に断熱を行うかが決まります。蓄熱利用とは、エアコンなどで暖めた(冷やした)熱を室内空気だけでなく、蓄熱量の大きなコンクリートに蓄えておく方法。暖まった(冷えた)コンクリート蓄熱槽は、エアコンを止めた後でも、持続して床下空気を暖める(冷やす)ことができ、年間の冷暖房費を抑えることができます。蓄熱槽の輻射熱効果をさらに考慮するならば、数値以上に効果が高いのではないかと予想しています。

今回は建物の規模が小さく、建物全体の気積も小さいので、基礎立上り部は蓄熱槽として使わず、床下の防湿コンクリートのみ、蓄熱槽として利用する計画としました。

基礎打設後

基礎からは、ブルーとピンクの管がぴょこぴょこと生えているのが見えますが、この管が設備の給水・給湯管です。ご想像の通り、ブルーが給水管、ピンクが温水管となります。

設備配管工事が行われるのは、まだまだ先ですが、基礎工事の段階で、どこからどのルートで設備配管をしていくのか、事前に検討をしておく必要があります。後になって配管が通らない、なんて事のないように。

「岩室の平屋」杉丸太を製材して太鼓梁に

「岩室の平屋」昨日、購入した曲がり杉丸太。製材加工したとの連絡を受け、さっそく現物確認してきました。上の写真は、丸太の断面部分に青いチョークで加工指示の線を書き込んでいる様子。どう加工をするか検討することを、木取り(きどり)と呼びます。ここでは丸太の両側を落とし、太鼓状の梁に加工するように指示を書き込んでいます。

丸太の断面を見ながら話した際、製材所の職人さんには、年輪の中央付近に玉割れ(たまわれ:中心付近の年輪に沿った丸いひび割れ)があるので、製材してみたらひびが入っているかもしれないと脅されていたのですが、製材後の状況をみる限り、ひび割れは大きくなく、問題ない範囲ということで、ほっとひと安心。

杉丸太製材

左手の材が棟梁(むねはり)。右手の材はもう一本の表しになる梁材。材の近くにいるだけで、杉の良い香りが漂ってきます。右手の曲がり丸太かた挽いた梁と左手の真っすぐな丸太から引いた梁では、まったく木目の表情が異なることが分かります。製材後の切断面をみると、左手の曲がり丸太から挽いた棟梁の方は、杢目がくねくねと面白い表情で表れています。曲がり丸太の方は、年輪の数を数えてみると、ざっと100本以上、つまり、100年以上の樹齢の杉の大木ということが分かります。長い年月を生きてきた樹木だけに、通常の角材とは違い、木自体に存在感があります。

昔であれば、丸太から製材し、柱梁を作るのが通常だったかもしれませんが、時間や手間が掛かる事から、現在ではほとんどそのような事は行われていません。丸太から選ぶことは今となっては、とても贅沢な試みなのかもしれません。

一般流通材ですと、癖のない、無個性な表情の材しか手に入らないのですが、(その均一性が製品保証の点からも利点なのですが)もし面白い表情の材をお探しであれば、個性的な丸太を探して製材してもらうという選択肢もありかもしれません。その分、時間も、手間も(つまり、予算は)かかりますが、掛けた以上のモノが得られる可能性があります。

製材した梁は、一部に虫の入った跡が見られたため、念には念を入れ、この後、ボイラー乾燥を行うことにしました。約10日間、ボイラー釜にいれて強制的に乾燥を掛けます。ボイラー乾燥をかけることで、木の中に入っている虫を燻し出すそうです。といっても、ボイラーだけでは虫を完全に駆除することは難しいらしいのですが。ボイラーから出てきたら次は、いよいよ仕上げ加工へと進んでいきます。丸太→製材→ボイラー乾燥→加工と、梁材になるまでにいくつもの工程が必要になります。

杉丸太を買って梁に製材する

「丸太を買う」初めての経験をしてきました。長いこと設計を仕事にしてきましたが、丸太を買ったのは実は初めて。今回は、その丸太を買った話です。通常、家を建てるのであれば、製材された後の柱・梁材を買うのであって、最近では丸太から買って製材することは見かけなくなりました。

「岩室の平屋」の屋根形状は、切妻形(家の中央部が高くなっている屋根形状)となっており、屋根の一番高い場所に棟梁(むなはり・むねはり)と呼ばれる梁が置かれます。この棟梁には構造的に大きな力が掛かるため、大きな材寸法が必要になります。昔の建物であれば、大黒柱と同様、棟梁には特徴のある材を使い、象徴性を持たせていました。

文字通り、建物の骨格を支えている大事な梁ですので、存在感ある梁として室内に表すことで、安心感を与える空間を作り出せないかと。

そんな考えを施工打合せの際に話していたところ、それなら建て方までの時間もないので直ぐに材料を探しに行こうとなり、そのまま製材所へ向かうことに。

丸太を探しに製材所へ

杉丸太

製材所内には山から切り出されたままの丸太が山になって積んでありました。その丸太の山の中から、存在感のある丸太を探していきます。ただ真っすぐで杢目の詰まった丸太材ならば、いくらでもあるのですが「個性的な」という条件で探すと、なかなか、見つかりません。あっちの山を覗いたり、こっちの山を覗いたり、探しまわっていると、積み上げた丸太の奥に少し根元が曲がった杉丸太が。重機を使って奥から掘り出してもらいます。

長さ6m、太い方で丸太直径80センチと太さがあり、存在感は十分です。真ん中付近が弓なりに反りかえっています。(曲がり丸太と、呼ぶそうです。)曲がった杉丸太は、製材する際に木どりが悪く(つまり真っすぐな柱や梁材を効率よく丸太から取れない)、形のくせが強くて一般流通させにくいので、現在では市場価値があまり良くないそうです。しかし今回探している個性的な梁材としては、その特徴的ある形は、とても魅力的です。

丸太の見方(見立て方)を教えてもらう

最初にも書きましたが、長い間、建築業に関わっていますが、丸太材を買うというのは実は初めてのこと。そこで製材所の方に、丸太の見方を教えてもらいました。大事なのは丸太の切断面をよく観察すること、だそうです。切断面から判断したところ、この曲がり丸太は年輪は詰まっているものの、アテが強く、身割れ(玉割れ?)している、との事でした。

「アテが強い」というのは、傾斜地などで育ったため、ねじれた力が掛かり、木目に偏りがあるという事。(つまり、ねじれやすく、割れやすい)逆を返せば、単調でない、特徴的な杢目が入っている可能性があるという事でもあります。身割れ(みわれ)というのは、ある年に台風や土崩れなどで強い外力が加わり、節の周りにひび割れが起きている状態を、そう呼ぶようです。身割れしてる丸太は、製材時や乾燥時にひび割れが入る可能性が高いとのことでした。今回は、構造計算で必要な寸法を上回る断面寸法があるため、多少のひび割れは問題なしと判断しました。

長さ、径、杢目とも問題なし。個性ある面白い梁材が取れそうなので、この杉丸太に決定、購入しました。まずは丸太の3面を挽き、太鼓状に製材加工をしてもらうことになりました。

丸太一本の購入価格

参考までに、この丸太材をいくらで買ったかというと、1本で約3万円強でした。(加工費や送料などの手間は別途掛かります。)製材所で直接購入したので、かなり安く手に入れられた方だと思います。通常の一般的な梁材であれば、約1.5~2万円で手に入るので、倍かかったことになります。それでも、このような個性的な表情のある材を手に入れることができたことを考えれば、その差額はけして高くないと思います。ただ、それを探すために自分の時間を使う必要があるのですが。

「上越滝寺の店舗併用住宅」工事スタートします

「上越滝寺の店舗併用住宅」住宅ローンの借り入れ審査に時間を要してしまいましたが、お盆休み明けから工事がスタートします。

建設費については、全額をフラット35で住宅ローン借り入れをしようとしていたのですが、フラット35ローンは住宅部分のみにしか使えないという事が後になって発覚しまして。店舗併用住宅の店舗部分の工事費は、別ローン借り入れをしなければけない、という事になってしまいました。(更に再審査に時間を要すことになってしまいました)それに加え、つなぎ融資の段取りに時間を要すなど、色々とありまして着工までの工期が伸びてしました。

工務店さんには、その期間待ってもらうことになってしまい申し訳なかったのですが。借り入れ審査も無事に進み、いよいよ工事が着工する段取りがつきました。先ずは地盤改良工事から。工事の進捗状況など、引き続きアップしていきたいと思います。

模型写真

夏場にコンクリート打設する際の注意点

基礎コンクリート打設

「岩室の平屋」現在、基礎工事が進行中です。基礎が配置される地面を溝状に掘り、型枠を設置し、鉄筋を配筋し、コンクリートを打ち込み基礎を作っていきます。生コン車で運ばれ、現場に打設された直後のコンクリートは、粘土のようにドロドロですが、(その日の気温や天気にもよりますが)午前中に打ったコンクリートは、夕方くらいには人が乗れる程度の硬さにまで固まります。

コンクリートは、水とセメントが反応することで硬化するのですが、その硬化反応は温度が上がるほど活性化します。今年の夏は、気温35℃を超える猛暑日が連日続きましたが、実はこの高気温、コンクリートを打つのにあまり良い条件ではありません。

早く反応して固まるのだから良いのでは?と考えるかもしれませんが、硬化時間が短いと、コンクリ表面に急激な収縮によるひびが入ってしまいます。表面のヘアークラック(髪の毛の巾のひび)程度であれば、構造強度上は大きな問題ではないのですが、コンクリートの表面をそのまま仕上げとする、打ち放し仕上げとする場合には特に注意が必要です。

可能ならば、猛暑日の炎天下でコンクリを打設することは避けたいのですが、連日猛暑日が続く今年の夏のような天気では、気温が落ちるのを待っていたら工程が進まず、そのまま秋になってしまいかねません。そのため、猛暑日でもコンクリ打ちを行わなければいけないケースも出てきます。

コンクリートは固まる時に、硬化熱を発生するため、打設後の温度管理が特に重要になります。気温の高い夏場にコンクリートを打たなければいけない時には、強い日が当たるようであればビニールシートで表面を覆って日影を作る、打設後にコンクリに打ち水をして表面温度を下げてやる、早朝や夕方の気温の低い時間帯に打設するなど、温度を上げないための対策をする必要があります。

今回の現場では、コンクリートを打ち終わった後に雨が降り、コンクリートにとって恵みの雨となりました。念のため、雨の日にコンクリートを打っても問題はないのか、といった質問に対する考え方を示しておきます。打設中に大雨が降ってしまうと、コンクリート中に多量に水が混ざり、コンクリート強度が低下し、望ましくありません。しかし夏場で、打設後であれば(表面を洗い流す程度でコンクリート内に水が混じらないのであれば)、雨が降って硬化温度を下げてくれるのであれば良い方に働いていると、考えることもできます。

夏場のコンクリート打設の注意点について書きましたが、冬場のコンクリート打設の注意点についても、また機会を作って書きたいと思います。

「岩室の平屋」掘削工事が始まりました

「岩室の平屋」例年よりも梅雨が長引き、地面の雨水がなかなか引かず、基礎工事が始まる時期が後ろにずれ込んでいました。基礎屋さんの話では、長い雨の後は地面がぬかるんで、うまく土を掘れないそうです。という事で、梅雨明けを待って、掘削工事がスタートしました。

地盤調査のデータを細かに検証して、今回は地盤改良をしないことにしたのですが、沈下量を最小限を抑えるため、布基礎の幅を450mmから600mmに拡張しました。参考までに地盤面に掛かる荷重を計算してみると。建物の全重量は計算から、337kN(=34,362kg=34.36t)
幅450mmの場合:基礎底面の面積0.45×65.52m=29.48㎡ よって、11.43kN/㎡(=1,165kg/㎡)
幅600mmの場合:基礎底面の面積0.60×65.52m=39.32㎡ よって、8.58kN/㎡(=874kg/㎡)
となります。幅を拡張したことで、地盤面に掛かる荷重が約25%低減されます。

掘削した地盤面の上に実際に立ってみると、沈むこともなく、安定していることが確認できました。また長い雨の後の割に、水はけが良く、土は比較的ドライな状態でした。私の体重が約75キロとして、足裏の面積は、27センチ×15センチ=0.045㎡。ということは、、、1㎡に換算して、1,650kg/㎡。これだけの重さが地面の上に載って、沈まないという事が実際に確認できたという事になります。地盤調査では、軟弱地盤であるという結果がでましたが、現実の状況を見る限り問題ない範囲と考えられます。計算では、建物の荷重は、私の体重と比べれば、約半分程度ですので、まず大丈夫でしょう。基礎下に掛かる荷重が低減したことで、沈下量も同時に低減されるはずです。

事務所の中で、ただデータを見て判断するのではなく、実際に自分の目で土質を見て、地盤面の状態を感じとって判断することが大切です。とは言え、時間と共に土から水が抜け、圧密沈下する可能性が高いという計算結果が出ていますので、一時的な変化だけでなく、長期的な経過を見ていかなければいけませんが。

地面掘削工事