大工工事で造りつけ家具を作る

「越後曽根の平屋」現在、大工造作(だいくぞうさく)工事が進行中です。「大工造作」がいったい何を示すのかというと、その名の通り、収納棚などの棚板や、ベンチやカウンターなどの家具を大工さんが造りつける工事です。通称、「造りつけ家具」と呼びます。

大工工事で造りつけ家具を作る

壁に埋め込むような納まりにしたい時や壁から壁までぴったりと納めたい時など、後置きの家具ではうまくサイズを納めることができない場合には、工事途中で大工さんに材料加工してもらって現場で家具を造ってもらいます。

一般的に、家具工事で製作した方が工場で製作するのため、加工精度や仕上がりの面で優れたものを作ることが出来るのですが、設置の点で現場の寸法にぴったりと隙間なく納めることができません。それに対して、大工造作では、現場寸法に合わせてピッタリと作ること出来るのですが、現場にある加工道具だけで手作業で作っていくため、精巧な作りには対応出来ません。それゆえ、両者の工事を上手く使い分けることが大切です。今回は、キッチンカウンターや洗面台などを家具工事、棚板や収納家具、カウンターなどを大工工事による造りつけ家具としました。

造りつけ家具は、上の写真のように厚板合板を丸ノコで現場加工し、カンナをかけ、ビスなどで留め付けることで、家具に仕立てていきます。非常に細かな作業ですので、大工さんの腕が問われる作業です。

また現場の各部の寸法は、全てが直角で、寸法が全く同じという訳ではありません。数ミリ程度の精度でズレがあったりするので、実際に取り付ける場所に板を当ててみて、ぴったり納まるよう、数ミリ単位で長さを加工調整していく必要があります。

大工工事で家具を作るメリット

住み始めてから少しづつ気に入った家具を購入して、暮らしを整えていく方法もありますし、今回のように大工造作で工事の際に造りつけ家具を作ってしまう方法もあります。既に家具をお持ちであれば、わざわざ造作で家具を作らなくとも良いかもしれませんが、これから新たに生活がスタートしていく方であれば、家具を造りつけるのがおススメです。

造作工事で家具を作る利点は、壁などの他の仕上げと素材を合わせて作ることができるので、より統一感ある空間を実現することができる点です。また上にも書いたように、隙間なく、よりすっきりと見せたいのなら、大工工事で家具を作る方がベターです。大工工事で家具まで作ってあれば最低限、フトンと調理器具さえ持ってくれば、先ずは住み始めることができます。

こちらの住宅では、それぞれの場所ごとに形状や寸法の異なる収納を造りつけています。すっきりと暮らしていくには、収納量が十分にあることが大切です。収納の中に物が納まらずに、生活の場に溢れてきてしまっては、せっかく美しい空間を作ったとしても、心地よく暮らせませんから。