「松野尾の平屋」の工事がスタートしました。こちらの平屋は、L型平面を採用することで中庭を囲い込み、プライバシーを高めた平屋の住宅です。目の前に新潟平野を遠くまで眺めることができる景観の良い敷地です。
設計が終わってから工事が始まるまで、見積り金額の調整に予定よりも時間がかかってしまいましたが、なんとか希望の工事金額までコストダウンすることができ、無事に工事をスタートすることができました。建物の出来上がりの質を落としてまで工事費を落とすことはできませんから、工夫に工夫を重ね、施工者と何度も打ち合わせをすることで根気強くコストダウンを図ってきました。複雑な納まりがあり、施工技術を要する建物では、多くの職人さん達の協力がなければ、よい建物を実現することはできません。ここまで関わっていただけた方々に、本当に感謝します。
地鎮祭
工事に先立ち、地鎮祭をとり行いました。現場に神主さんを迎え、祝詞を唱えていただき、工事が無事に進むことをお祈りしました。地鎮祭を行うと工事が始まるのだなと、改めて気が引き締まります。積雪がある地域での工事では、雪が積もるまでの屋根まで工事を終わらせる必要があります。季節はすでに11月上旬、一か月程度で一気に建て方まで工事を進めていきます。
鉄管杭による地盤改良工事
地鎮祭を終えた現場は早速、地盤改良からスタートしました。計画地の地盤調査結果は比較的良好だったものの、いくつかのポイントに軟弱層が見られ、やや不同沈下の可能性があるため、杭による地盤改良を行いました。地盤面下2~3mと比較的浅い層に良好な地盤があったので、良好層まで写真のような先端に羽のついた鉄管杭を施工しています。
地盤改良に続いて、基礎下の地盤の整地を行います。直接、建物の荷重がかかる部分ですので、機械で振動を掛けて地盤を均していきます。基礎鉄筋の精度もこの整地で決まってくるため、確実に丁寧に、地ならし作業を行うことが大切です。
基礎配筋工事
基礎部分の鉄筋配筋工事の作業写真です。構造計算した内容の通りに鉄筋が配置されているか、設計者自身が検査を行います。鉄筋の本数、太さ、配置位置、寸法など、建物の強度を決める重要な部分ですので、間違いの無いよう入念に検査していきます。設計者自ら構造計算をしているので、どのような荷重がどのポイントにかかっているのかがイメージでき、ウィークポイントになりそうな部分をより重点的にチェックを行い、その場で補強など指示することが容易です。
図面上では2次元で配筋方法を指示しているため、実際に現場で組んでみると、3次元的に納まりが悪い部分や構造上の力の流れが上手く処理できてない個所が時に出てきます。そのような個所はを見つけたら現場で対処方法を検討し、その場で手直しをしてもらいます。すべての個所をチェックし、問題ないことが確認できたら、次はコンクリート打設に作業へと移っていきます。
施工図打ち合わせ
設計者の仕事は図面を描けばそれで終わり、と思われているかもしれませんが、そんな簡単にはいきません。現場が図面で指定した通りの仕様で進んでいるか、納まりは適正かなど、工事現場を確認していく必要があります。この作業段階を設計監理(せっけいかんり)と呼びます。工事が適性に進められているかを確認していく作業です。
現場が始まると、現場監督とのメールやり取りや打合せ回数が増えていきます。今進んでいる工程(工事)の先を読んで、早めに検討を進めていくことで、現場がスムーズに進んでいきますので。今回は、軒先の納まり打合せ。まだ現場に建物が立ち上がってもいないのに、、、と感じるかもしれませんが、早めに検討していくことで、納まりよく、かつ、美しく、耐久性も上がるという良いところ取りができるのです。