年: 2016年

「立川の3世帯住宅」図面というレシピを書くこと

「立川の3世帯住宅」先日から描き進めていた実施図面が完成しました。建築意匠図面や構造図、設備図、電気図など、その図面枚数100枚以上。1軒の住宅を建てるのに、ここまで図面を描くのは少し多すぎるのかもしれませんが、細かな仕様や納まりを現場へ伝えるために、どうしても枚数が多くなってしまいます。

職人さんにぱっとイメージ写真を見せて、こんな感じでと伝えるだけで、イメージ通りの空間が出来れば良いのですが。現実には、そんな簡単にはいきません。図面で職人さんへ具体的に作り方を伝えることで、始めて頭の中で思い描いていた空間を実現することができるのです。

料理も同じですが、完成写真を見せれば、すぐにおいしい料理が出来る訳ではありません。材料の選び方から材料の加工や調合方法、彩りや盛りつけ方法など、そのレシピ(作り方)を具体的に伝えなければ、確実にそこへ辿り着くことはできません。図面=レシピを書くことで現場へその空間の作り方を伝えているのです。

実施図面完成
実施図面完成

「立川の3世帯住宅」インテリア模型作製

「立川の3世帯住宅」平面詳細図、断面詳細図、仕上表、展開図、設備関係図などなど、実施図面もだいぶ書き進み、全体の抑えが一通り済みました。ここでやっと一段落といった感じです。が、安心はしていられません。図面を書きながら変更や調整を加えた部分がありますので、再度模型を作ってスケールや室内の雰囲気などを確認していきます。

今回は、具体的な仕上材も決まってきたので、模型の内側には仕上材の同様の色を張り付け、椅子やソファなどの家具を配置し、より現実感が増すよう内部インテリアまで作り込んでいます。模型の中を覗くと、小人の家のように実際に出来上がるであろう空間が現れています。

出来上がった模型は敷地方位に合わせて置き、一日中、陽を当てます。朝には東の方向から陽が差し込み、昼には高い角度から差し込む陽、夕方には赤味のある西日が室内に差し込んできます。模型の中を一日を通して覗いていると、実際にどのようにこの室内へ陽が差し込んでくるかが良く分かります。単純に太陽の光は窓から直接差し込んでくるだけでなく、壁や天井にバウンドし、柔らかく室内へ回り込みます。そのような効果まで考えて室内の明るさをシュミレーションするには、模型が一番だと思います。

模型を覗いて気がついた部分、窓の位置や大きさ、壁の位置、仕上材の色目や質感など、更に調整を重ねていきます。平面を書いて仕上材を決めたら設計は終わり、とは簡単にはいきません。

建築内装模型
建築内装模型
建築内装模型

「新潟浦山のコートハウス」自然素材の風合い

「新潟浦山のコートハウス」に、おじゃましてきました。つい先日、引き渡しをしたと思っていたのですが、気がつけばもう一年になります。本当に時が経つのは早いなあと、驚きを感じてしまいます。設計という仕事は、最初の相談から竣工まで早くて1年、長い時には数年掛かるものですので、一つのプロジェクトに関わっていると、あっという間に1年が過ぎているなんてことがよくあります。設計業界は、(いや、私の場合だけかもしれませんが)時間の流れが遅いのでしょう。

それだけに、その瞬間、その時代のトレンドだけに乗った消費期限が短い空間でなく、何年経って訪れてもブレない、時代に流されない本質的な空間を作っていきたいと、いつも思っています。

「新潟浦山のコートハウス」では、時間と共に素材が風合いを増してくるよう、外装、内装ともに自然素材を多用しています。当初の茶色味がかった木の表面は灰色へと変化し、ぴかぴかだった外壁も適度に落ち着いた色目に。時を経て、以前よりも風格が増したように感じました。次に訪れる時には、また違った表情へと空間が変化していることでしょう。また次回を楽しみにしています。

自然素材
自然素材
自然素材

「立川の3世帯住宅」実施図面検討

「立川の3世帯住宅」現在、実施図面の作成作業が進行中です。1/100スケールで検討を進めてきた図面を、更に詳しい1/50図面へと書き起こしていきます。今までのざっくりとした図面では追えなかった細かな納まり寸法などを抑えながら、地道な検討作業が続いています。

出来上がった図面を元に、クライアントとの打合せ、構造事務所との打合せを重ねることで、問題点や改善点が更に浮かび上がってきます。その一つ一つを根気よくクリアしていくことで、空間の質が増し、次第に図面がリアリティを帯びてきます。

図面を詳細に書き進めれば書き進める程、問題点が浮かび上がっていく実施設計作業。スペースの使い勝手が悪い、設備配管が納まらない、防水納まりが難しい、構造的バランスが崩れている、などの問題点を、平面や断面図に変更を加え、調整しクリアしていくことで、より良い案へと次第に近づけていきます。

実施図面作成 実施図面作成

「燕の空き部屋セルフリノベーション」榧(かや)の木の香り

「燕の空き部屋セルフリノベーション」コンロの納まる部分は、ちょっと複雑な形に加工を施します。何故かといえば、コンロが60ミリというカウンターの厚みに対応していないため。今回選定したコンロは、メーカーの指定で厚さ45ミリを越えるカウンターには設置をしてはいけないことになっていました。そこでコンロ廻りだけは板の厚みを落としていきます。

ガガーッと木屑が飛び散っていくのに伴って、独特のつーーんとしたスパイシーな香りが漂ってきます。お寺で嗅ぐお香のような、という表現が近いかもしれません。

榧(かや)の木は、白檀(びゃくだん)の代替えとして、仏像を彫る材料として使われていたそうです。仏像に香りがする木を使ったのは、虫除けとしての効果を狙ったからでしょうが、それ以外にも彫り師が仏像を彫る際、この香りでトランス状態に至るという効果もあったではないかと想像しました。木の香りでトランス状態になりながら、仏を彫り出していく。榧の木を加工しながらそんなイメージが頭に浮かびました。

榧の香り 榧の香り 榧の香り

「燕の空き部屋セルフリノベーション」無垢材キッチンカウンター加工作業

「燕の空き部屋セルフリノベーション」先日材木屋さんで購入した榧(かや)の無垢一枚板が現場に届きました。部屋の中に据えられると、広い倉庫の中で見ていた雰囲気とは異なり、かなりの大きさと存在感です。早速、シンクとコンロを組み込む位置に穴あけ加工を施していきます。

カウンターの上に赤エンピツで正確な位置を書き込み、丸ノコを使って切り込みを入れていきます。厚さが60ミリあるため、一気に切断せず、少しづつ深くしながら何度も切り込みを入れていきます。角の部分は丸ノコでは切れないため、のこぎりを使って。2時間ほどで、穴あけ作業が完了。コンロの納まる部分は、トリマで更に小口部分の加工を行ないます。電動工具を使うことで作業効率が飛躍的にアップします。

無垢材カウンター穴あけ 無垢材カウンター穴あけ 無垢材カウンター穴あけ

「燕の空き部屋セルフリノベーション」キッチンカウンター材料探し

「燕の空き部屋セルフリノベーション」今回はキッチンカウンターの材料探しです。仕事ではお客さんの家のキッチンカウンターを設計したり、既製品から選んだりしているのですが、ただいつもと同じようなキッチンカウンターを作ったのでは、設計を生業としている者として面白くもなんともない。このブログを読んでる人にとっても、ネタとして新鮮みがないでしょうし。

そこで!以前からやってみたいと思っていた、無垢材でキッチンカウンターを作ろうと思います。木のカウンタートップといえば、集成材を使ったキッチンカウンターは稀に見かけるのですが、無垢板を使ったカウンターは今まで見たことがありません。耐水性やメンテナンスの問題、加工の難しさ、また経年変化による板のネジレやソリなどの動きがあるため、採用するには細心の注意が必要になるからでしょう。それもあって私もお客さんの家でキッチンに無垢材を使うのを敬遠してきました。今回は自分の家のキッチンカウンターですので、敢えて実験台となってみようと考えた訳です。

無垢材と一言でいっても無数の種類があります。また、ちょうど良いものが手に入るかどうか、それも分かりません。そこで。困ったときの材木屋頼み。無垢材専門店「新発田屋」さんへ相談に。多くの材木がある中で、候補に上がったのは「榧(かや)」の木でした。まな板に使われるほど耐水性が高く、香木のような高貴な香りがします。シンクやコンロの位置も問題なく納まりそう。こちらを現場に搬入し、加工作業へと入っていきます。

無垢材キッチンカウンター 無垢材キッチンカウンター

「立川の3世帯住宅」スタディ模型完成

「立川の3世帯住宅」スタディ模型が完成しました。模型を眺めながら、再度、壁の位置など平面の変更を行なっています。吹き抜けやスキップフロアなどで3次元的に繋がる空間は、模型を作ってみるとその構成や空間の繋がり方が良くわかります。

模型を作っては、平面を調整。何度も繰り返すことで、次第に建物の完成度が高まってきます。少しづつマイナーチェンジを繰り返すことで、ひとつひとつ問題点や改善点をクリアしていきます。

立川3世帯住宅スタディ模型
立川3世帯住宅スタディ模型
立川3世帯住宅スタディ模型

「上越高田の平屋」耐雪仕様の屋根

昨年末に引き渡しをした「上越高田の平屋」へ行ってきました。引き渡しを行なったといっても、最終チェックで手直しとなった部分の工事や棚や家具の追加工事など、やらなければいけないことがまだまだあります。また、冬という時期だけに、アプローチやカーポートなど、外構工事についてはまだ完了していません。まだ暫くは上越へ通うことになりそうです。

敷地内は雪が積もって真っ白に。例年と比べれば、雪は少ない方。こちらの住宅、屋根の上に2.5mまで雪が積もっても大丈夫な耐雪仕様で構造計算をしています。2.5mといえば、身長よりも高い雪の量。その地域に暮らしている人にとっては迷惑な話かもしれませんが、実際にそこまで雪が積もった建物の姿、一度見てみたいものです。

上越高田の平屋
上越高田の平屋
上越高田の平屋

「上越高田の平屋」床フローリングの選び方

「上越高田の平屋」の床には、フローリングの材種を使い分けています。使用したのは、ヒノキ、オーク、メープルの3種類のフローリング。木の特性に応じて、場所毎に使い分けています。直接手で触れることの多い畳敷きの部屋には柔らかく暖かみのあるヒノキを。テーブルと椅子で生活するダイニングエリアには、重厚で足触りのしっかりした硬めのオークを。床に直接座ることも考えられるリビングエリアには、モダンで明るくさらっとした質感のメープルを。

室内で靴を脱いで生活してきた日本人。他の国の人に比べると、足裏感覚が優れているのではないかと思います。ちょっとした床の質感の変化を微妙に感じ、そこで行なう行動が影響を受けているような気がします。柔らかい床の上では、直接座りたくなるでしょうし、硬い床の上では椅子に座るというような。

床の質感が人の行動をアフォード(提供)している。そう考えながら床を選ぶことで、その場での行動が違和感なく行なえるのだと思います。床材の色目や雰囲気だけでなく、触れた質感で選ぶ。そんな選び方も有効ではないでしょうか。

メープルフローリング
オークフローリング
ヒノキフローリング
オークフローリング

「燕の空き部屋セルフリノベーション」キッチンカウンター製作

「燕の空き部屋セルフリノベーション」床フローリング貼り工事も一段落。続いてキッチン回りの工事に入っています。キッチンカウンターと言えば通常、メーカーの既製品を選んで購入するものだと思われているかもしれません。が、今回は、カウンター自体を購入するのではなく、一から造作工事で製作してみようと思います。

まずは桟木(さんぎ)でカウンターのフレームを作り、その上にカウンター材を載せていきます。シンクやコンロの大体の位置を決め、イメージを膨らませていきます。図面に起こすのではなく、直接1/1スケールで床に位置を書き込み、そのスケールに合うように設備器機を決めていきます。キッチンは細かな取り合いが生まれる部分。間違いの無いよう一つ一つ確認しながら進めていきます。

キッチンカウンター製作 キッチンカウンター製作

「立川の3世帯住宅」模型の内部写真

「立川の3世帯住宅」スタディ模型が完成しました。模型の内部を覗くと、こんな風景が見えます。テーブルや椅子、ソファなどが置いてあると、立ち現れてくるであろう室内空間をリアルに見ることができます。

陽の当たる場所に、模型の方位を実際の敷地と合わせて置くと、室内に差し込んでくる光の雰囲気がとてもよく分かります。陽の入り方を確認するため一日を通して模型の中を覗いていると、東の窓から入った陽の光は、時間と共に反対の壁へと少しづつ移動し、夕方にはオレンジの西の陽が室内を照らしました。模型を作ることで、空間スケールや空間ヴォリュームを確認できるだけでなく、どのように陽の光が差し込むか、室内がどんな明るさになるか、なども確認することが出来ます。

3次元の室内イメージパース(透視図)を描く事務所もあるかと思いますが、私の事務所では模型製作を優先しています。何故かといえば、パース(透視図)では、誇張が可能だからです。狭い部屋でも広く描くこともできますし、暗い部屋でも明るく描くこともできます。逆に実際の寸法に基づいて作った模型では、嘘をつくことができません。その見えているままの空間がそのまま現実に立ち現れてきますから。

模型を覗きながら、ちょっと圧迫感があるので、天井を高くしようとか、暗いので窓の位置や大きさを変えようとか、さまざまな調整を重ねていきます。あくまでスタディの為の模型ですから。

模型内部写真 模型内部写真 模型内部写真 模型内部写真