データと第六感で見抜く土地選び

これから家づくりを始めようと考えている皆さんまず最初に「土地探し」から始める方が多いのではないでしょうか?でも、「一体何を手がかりに探せば良いんだろう?」「どんなことに注意したら良いんだろう?」と、最初の段階で立ち止まってしまうこともあるかもしれません。土地は、これから建てる大切な家が建つ基礎となる場所ですから、慎重に選びたいですよね。

この記事では、そんな家づくりをこれから始める皆さんに向けて、建築設計事務所の視点から、「土地選びのために知っておきたい重要なポイント」を分かりやすく解説します。ぜひ参考にして、あなたの理想の家づくりに向けた第一歩を踏み出してください。

あなたが求める暮らしやすさって何ですか?


あなたが求める『暮らしやすさ』って何ですか?利便性が多少悪くとも街から離れた静かな場所を好む人もいるでしょうし、駅前のにぎやかな場所を好む人、公園や図書館の近くが好き人など、それぞれが考える暮らしやすさは、一人ひとり異なります。

以前から住んでいる地域である、スーパーや学校・図書館が近くにあって利便性が良い地域である、職場に通いやすい地域である、など様々な要素を勘案した上でこれから住む場所を決めましょう。

交通が不便であったり、スーパーが遠くであったりすれば、土地自体は値段が安く、日当たりが良かったとしても、住むみ続けるにはストレスを感じてしまいます。多少の立地条件は、建物のプランニングを工夫することで解決することが出来ますが、建物が建つ土地の地域性や利便性は、建築側では解決することができませんので。

土地を選ぶ際には土地単体を見るだけでなく、出来るなら、その周辺を歩いてみるなどして、周辺環境も合わせて判断してください。

見つけた土地、法律的には大丈夫?


気になる土地が見つかったら、土地の法的条件を確認しましょう。場所によっては、建物の用途上、建ててはいけない地域や規模・高さが制限されている地域があります。市役所の窓口で確認するのが確実ですが、市のホームページで確認できる事項もあります。

確認すべき項目は『用途地域』(どんな種類の建物を建てられるか)、『建ぺい率』(敷地面積に対する建築面積の割合)、『容積率』(敷地面積に対する延床面積の割合)などです。用途地域によっては、隣の土地に住宅以外の建物(工場や集合住宅、高さのあるビルなど)が建つ可能性があるので注意が必要です。建ぺい率や容積率の割合(パーセント)が低い土地ですと、土地の広さの割に建てられる建物の床面積が小さく、要望する広さの建物が建てられないことがあります。

合わせて前面道路の幅員は何mあるか、上下水道は整備されているか否かなどのインフラ整備状況も確認することがベターです。上下水道が整備されていない土地ですと、引き込み工事費が別でかかる可能性があります。土地の販売値段が安くとも、最終的には上下水道工事費がかかり、割高になるケースもありますので注意が必要です。

不動産屋が販売している土地であれば、それらの情報は土地の販売情報に記載されているはずです。もし記載されていなければ問い合わせしてみましょう。

確認すべき項目

  • 用途地域(どんな種類の建物を建てられるか)
  • 建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)
  • 容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)
  • 前面道路の幅員
  • 上下水道などのインフラ整備状況

登記情報を確認する

土地面積や権利条件、土地の地目を確認するには、法務局へ行って登記事項証明書を発行してもらう必要があります。通常、土地の販売情報に記載されていますが、念のため、登記情報を確認しましょう。「地目」とは、登記簿に記載された土地の用途を示す区分のことです。宅地、田・畑、山林、雑種地など23種類の地目があります。

土地の地目が「宅地」であれば問題ありません。注意が必要なのは「田」や「畑」の場合です。「田」や「畑」などの農地は、地目変更登記をしなければ建物を建てることはできません。田・畑の地目変更には農業委員会との協議が必要で、許可が下りずに建物を建てることができないケースもあります。

土地の安全性を確認する

県や市では、液状化や土砂災害の可能性のある地域を公表しています。市のホームページでハザードマップを確認すると共に、国土地理院のホームページで地形分類図や以前の航空写真を確認することが重要です。埋め立てによってできた土地であったり、以前は河川が流れていた土地であったりと、その土地がどのように使われてきたかを知ることで、より安全な土地を選び、災害リスクを減らすことにつながります。

過去の浸水履歴や軟弱地盤などの土地性状が把握できれば、ある程度、地盤の良し悪しが予想できるので、地盤改良にかかる費用の目安も立てることができます。土地を安く購入できても、軟弱地盤であることが後から分かって、予想以上に工事費用がかさみ、かえって割高になるようなことがないように。

実際に土地に立って確認する

地図だけでは分からない現地の情報(視線の抜け、隣の建物、風通し、日当たりなど)を掴むためには、必ず足を運んで確認することが大切です。一度も土地を見ずに土地を購入する人はいないと思いますが、現地を訪れなければ分からない、その土地の雰囲気を掴みましょう。第六感を働かせてその場所に立ち、心地よさを感じるか、安心感があるか、ワクワクするかどうか、などの感覚を読み取り、もし心に響かない土地であれば、購入を控えましょう。

以上が設計者目線での土地の見方です。ぜひ参考にして土地探しを進めてください。もし土地探しで困ったら、土地探しの段階から設計相談を受けることもできますので、気軽にご相談ください。