室内計画と庭を一体で考える

窓の外の樹々

室内から見える緑の樹々は、暮らしをより豊かにしてくれます。家を考える際、ついつい室内を考えるのことで頭がいっぱいになってしまって、その建物が建つ敷地環境、屋外のことが疎かにしてしまいがちです。

特に窓が大きく、屋外への連続性のある建物の場合、外との繋がり方はとても重要です。窓の外に樹々の緑や視線の広がりがあることで、広がりのある豊かな室内空間を実現することができます。

建物の間取りや窓の位置を考えることなく、庭を作って木を植えても、室内から見えなければ意味がありません。緑を単独で考えるのではなく、窓の位置や部屋の向きなど、建物と一体的で考えることが大切です。室内からの見た目だけでなく、樹々を目隠しとして使ったり、陽差しを遮ったりと、機能的に使うのも有効です。

庭と一体で考える

庭の植栽前の状態

こちらは「岩室の平屋」の庭木を植える前の写真です。中央に数本と、奥に既存の樹木が見えていますが、殺風景で寂しい雰囲気です。

大きな窓を設けた外部とつながりのある空間をつくる場合、庭が出来て初めて屋内空間が成立するので、間取りや窓配置など室内計画を単独で考えず、どんな庭にするか、どんな樹を植えるか、どんな風景を切り取るかなど、明確なイメージを持って考えていくことが必要になります。

庭木植栽後

こちらは植栽が終わった後の写真です。大きく開いた窓の外には緑の樹々が見えています。まったく同じ室内空間でも、植栽のある・無しでここまで雰囲気が変わります。

特に写真のように窓を設け、外部へと連続する空間の場合、豊かな外部環境が無ければ、空間が成立しません。内部だけでなく、外と一体的に考えることが大切、ということが写真を見比べれば簡単に分かります。

庭木の植栽前の状態
庭木の植栽後
植栽前・植栽後の写真です。別の建物?というくらい、雰囲気が異なります。家の間取りや窓の配置、仕上げ材の選定を検討する段階で、外構庭のことも考えていくことをおススメします。

ただし、庭づくりを最初に一気にやらなければいけない訳ではありません。最初にメインとなる数本の樹々を配置し、しばらく様子を見てから、時間を掛けて少しづつ、樹々を増やしていくのも良いと思います。緑が足りなければ木を増やし、混み合っていれば剪定や移植する。時間を掛けて庭づくりをしていくことで、自分の好みに合った庭へと近づけていくことも出来ますので。

借景を取り込む

風景を切り取る窓

新たに樹を植えるだけでなく、既に敷地内に樹が生えていたり、隣地に樹々がある場合、その緑を切り取るように窓を配置することも有効です。木が育つまでには、長い年月が掛かります。既にそこにある緑を利用しない手はありません。

写真では、既存樹木のあった位置に、デスクカウンターを配置し、正面に窓を設けています。(こちらの住宅では、既存樹木を避けるように、建物の配置も調整しています。)このように、樹の位置を考慮して室内計画を考えることで、大きな効果を上げることができます。普段見慣れている風景でも、窓で上手く切り取ることで、美しい景色へと変わるかもしれません。

敷地内にどんな樹が生えているか、敷地からどんな庭の景色が見えるか、今一度、検討してみてはいかがでしょうか。少し工夫を加えるだけで、魅力的な室内空間が実現します。