カテゴリー: 2020 岩室の平屋

新電力会社に変えると毎月の電気料金は下がるのか?

「岩室の平屋(自邸)」の電力供給会社を東北電力から新電力会社へ変更してみました。新潟県内で電力会社といえば、東北電力の他、選択肢はありませんでしたが、2016年の電気の小売り自由化により、さまざまな供給電力会社から自由に選択できるようになりました。ウェブ上のシュミレーションでは、電力会社を変えることで、毎月の電力料金が下がるとの結果が出ていましたが、実際に料金は変わるのか?ここ数か月の支払い電気料金を比較し、レポートしてみたいと思います。

岩室の平屋ダイニング照明

電気を使用している住宅の使用条件

電力引き込みの使用条件は、以下の通りです。
規模:木造平屋建て
延べ床面積:85.29㎡(25.80坪)
家族:夫婦2人
利用用途:住宅+事務所
使用家電:照明器具、パソコン、スマホ、モニタ、エアコン、換気扇等
電力供給会社:東北電力→Looopでんきに変更

実際に支払った電気料金を比較してみる

ここ数か月に実際に支払った電気料金を比較してみます。以下が請求書の電気使用量と電気料金です。右側には東北電力(従量電灯B・50A)の場合の電気料金と差額を示します。

2021年 7月電気使用量 85kWh/月 Looopでんき2,399円-東北電力3,385円(差額-986円
2021年 8月電気使用量127kWh/月 Looopでんき3,595円-東北電力4,300円(差額-705円
2021年 9月電気使用量 79kWh/月 Looopでんき2,268円-東北電力3,300円(差額-1,032円
2021年10月電気使用量 73kWh/月 Looopでんき2,128円-東北電力3,335円(差額-1,207円
2021年11月電気使用量 70kWh/月 Looopでんき2,075円-東北電力3,177円(差額-1,102円

と、、、ここまで全ての月でLooopでんきの方が安くなっています。

7月下旬から8月まで冷房にエアコンを使ったためか、8月が他の月よりも電力使用量が多くなっています。電力使用量の多い月ほど金額差が小さくなっているのは、毎月の基本使用料を設定している東北電力の方が電気を使えば使うほど、kWh当たりの電力単価が安く使えるため、と予想されます。(Looopでんきの方は、毎月の基本使用料がありません。つまり、電気を使わなかった月は0円になります。)

ただ、使用量120kWhを超えると東北電力のkWh当たりの電力単価は、Looopでんきとほとんど同じになるので、多く電気を使ったからといって上記の差額が大きく増えることは無さそうです。冬に向けて、エアコン暖房の電気使用量が上がるので、今後の推移を検証していきたいところです。

また上記のデータでは、毎月の電気使用量が100kWh/月前後を推移していますが、電力使用量は、生活する家族の人数が増えれば、それに比例して増えていきます。また電子レンジやドライヤーなどの家電機器が多い家庭では、当然、電気使用量が増えていきます。とはいえデータを見る限り、一般的な家庭であれば、新電力会社の方が電気使用料が安くなるようです。毎月1,000円程度かもしれませんが、チリも積もれば山となる、一年で12,000円。10年で12万円、30年で36万円、お得になります。

電力取引価格の上昇で電気料金が高騰することはないのか?

2021年の初め、電力需給がひっ迫したことで電力取引価格が大幅に上昇し、新電力会社の電気料金が高騰する、というニュースが流れました。確かにニュースにあったように、市場連動型プランの料金契約を行っていた契約者は、取引価格の高騰に伴い、電気料金が大幅に上がりました。このようなニュースを聞くと、新電力を契約するのはちょっと怖い印象を持つかもしれません。

しかし、私の契約した「Looopでんき」は、市場連動型でなく、固定単価型料金ですので、市場価格に左右されて電気料金が上がるということはありません。もし電気料金の高騰が不安なら、「固定単価型」料金を設定している電力会社を選ぶようにしましょう。

電力会社を選んで社会貢献する

新電力会社を選ぶ大きな理由は、電力料金が安くなることでしょうが、発電方式が選べることも、もう一つの選択理由になるのではないでしょうか。電力供給源として、太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電を積極的に選択している新電力会社もあります。

発電のために石油やガスなどの化石燃料を燃やすことによる地球温暖化の問題や、原子力発電による放射能事故リスクなどありますが、そのような環境負荷の高い発電方法を極力使わない電力会社を選ぶことで、社会に貢献することができます。毎月の電気料金が下がった上に、社会貢献までできる。まさに一挙両得ではないでしょうか。

電力会社を選択することと合わせて、建物の断熱性能を上げる、LED照明を採用する、消費電力の小さな設備を導入するなど、建物の消費電力を下げる工夫を盛り込んだ家づくりをしていくことが今後、日本のスタンダードとなっていくことでしょう。

「岩室の平屋」見学会を行います

岩室の平屋」完成からしばらく時間が経ちましたが、やっと庭の植栽も落ち着いてきたので、見学会を行います。

大きな窓を設け、庭の風景と一体となるような建物構成をとっている建物の場合、庭の緑がないとなんとも殺風景で味気なくて。。。庭の樹々が定着するまで見学会を見送っていたため、完成からしばらく期間が空いてしまいました。お会いする方々に、まだかまだかと、何度も催促をいただいていましたが、やっと見学会を行える状態になりました。お待たせいたしました!

大きな窓で室内と繋がる庭の風景。室内にいながら、まるで外にいるかのような解放感が味わえます。障子戸を締めれば、柔らかな明かりに包まれた落ち着いた雰囲気へとがらりと変わります。延べ床面積85㎡と小さな平屋の家ですが、床面積以上の広がりを感じることができるはずです。また建物の随所に無垢材を取り入れた、遊びのある空間を目指しました。どこに無垢材が取り入れられているか、ぜひ探してみてください。

建築概要
住所:新潟県新潟市西蒲区
規模:木造平屋建て
延べ床面積:85.29㎡(25.80坪)
工事費:1,850万円(坪単価72万/坪)
断熱性能:平均熱貫流率Ua値=0.47(heat20 G1相当)
設計:金子勉建築設計事務所
施工者:新発田屋(そりっど建築部)

日程は、2021年11月6日(土)と7日(日)の2日間
時間は、午前10時から16時まで
コロナ感染症予防対策のため、今回は事前予約制といたします。
見学は一組づつとしますので、ご来場の際には必ずメール、または電話でご予約をお願いいたします。
予約が埋まり次第、お断りすることもありますので、ご了承ください。

メール→design-studio.kaneko@nifty.com
電話→050−3552−4649

ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
またお会いできることを楽しみにしております。

付加断熱+遮熱シートを採用しました

「岩室の平屋」現場では現在、外壁の断熱工事に取り掛かっています。外壁には高性能グラスウールで充填断熱を行うのですが、その断熱に加えて外壁の外側にも、付加断熱でグラスウールを増し張りしていきます。

外壁に充填断熱する場合、木造だと壁の厚さには限度があり、壁厚以上には断熱材を入れ込むことはできません。ZEHレベル、HEAT20 G1レベルまで建物の断熱性能を上げるためには、壁の外側にも、さらに付加断熱材を取り付けていく必要があるのです。(ちなみにこちらの住宅は、平均熱貫流率Ua値=0.47。断熱性能HEAT20 G1相当としています。)

外壁付加断熱

上の写真は、付加断熱として外壁外側にグラスウールを取り付けた施工写真です。グラスウール自体は、雨で湿気を含んでしまうと断熱性能が落ちてしまうため、グラスウールを取り付けた上に、防水シートを張り付け、性能の低下を防ぐ必要があります。

今回採用した防水シートは、熱を遮る効果のあるアルミを表面に施した遮熱仕様の防水シート。写真で見えているシルバー色のシートが遮熱防水シートです。断熱性能に加え、遮熱性能を付加することで、夏場の建物性能を更にアップさせようと考えました。

しかし、こちらの遮熱シートはまだ発売されたばかりで、実証実験が進んでおらず、確実に効果がある、とは言い切れません。が、少なくとも通常の防水シートに比べれば、熱を遮る効果があることは間違いないはず。加えて、紫外線などで断熱材が経年劣化していくのを防ぐ効果が期待されます。遮熱防水シート自体の金額は、一般の防水シートと比べ大きな価格差がなかったので今回、初めて採用してみました。(およそ一軒あたり数万円のコストアップで遮熱仕様へ変更することが可能。費用対効果が高いと判断しました。)

新築時の性能だけでなく、経年劣化による性能低下も考慮し、最大限の対処しておくことは、モノづくりにおいて大切なことです。(こちらの建物では、外壁だけでなく、屋根下地にも遮熱仕様の防水シートを採用しています)

外壁付加断熱

近年、断熱材の使用部位や要求性能によって、さまざまな製品が、さまざまな断熱メーカーから毎年、発売されいています。また遮熱、断熱建材も日進月歩、日々進化しています。設計者として各社カタログにはいつも目を通しているのですが、製品の移り変わりはとても早く、選定するだけでも一苦労です。

グラスウール一つとっても、性能の違いがあり、かつ、価格もそれぞれ異なります。スタイロ系断熱材や発泡系断熱材など、グラスウールよりも更に優れた断熱製品もあるのですが、どこまで費用を掛けるか、導入費用と断熱効果を天秤にかけて、何が適切かを検証していくことが大事です。

屋根端部をすっきりと納める方法

「岩室の平屋」現場では現在、屋根工事が行われています。今回の屋根は、ガルバリウム鋼板葺きとしているのですが、ガルバリウム屋根葺きと一言で言っても実は、さまざまな葺き方があります。瓦棒葺き、縦ハゼ葺き、横葺き、と、その他多数。近年は、現場での施工手間を減らすため、パチパチと留め付けるだけで簡単に施工が完了するタイプの屋根葺き工法もあって、施工時間の短縮化、施工手間の軽減が大幅に図られています。(同時に防水性能の向上も年々、図られているようです。)

ガルバリウム鋼板自体も年々、性能が上がり、さび保証20年以上の高耐候製品や遮熱性能を持つ製品も現れてきています。工事コストと屋根防水性能を考えると、他に選択肢がないくらい、ガルバリウム屋根が国内の屋根業界を席巻しているのが現在の状況です。

今回、屋根葺きに採用したのは、昔ながらの手で締め付け加工を行う「縦ハゼ葺き工法」。なぜわざわざ、と思われるかもしれませんが、敢えてこの方向を選択したのは、見た目がすっきりと美しく納まるから。

・軒先に雨どいを取り付けないので軒先が良く見える
・平屋で建物の高さが低く、軒先が近くに見える
・平屋の特徴である水平ラインを強調したい

これらの要素を考慮し、縦ハゼ葺きのハゼ部分を軒先端部でつぶしたシャープなデザインにしたい、と考えました。そんな細かい所まで、と思われるかもしれませんが、そのような小さな部分を積み重ねることで、最終的な建物の見え方が大きく変わってきます。上の写真は、屋根の端部納まり部分。屋根端部でハゼの立上り部分を折り曲げ処理し、水平ラインがくっきりと、すっきりとします。

上の写真は、縦ハゼを締め込んでいくための道具「ハンドロールシーマー」。

職人さんの話では、近年、簡易型のキャップ式施工方法が主流で、手加工をしたのは、数年ぶりとの事。施工方法が簡易化・効率化していく流れの中、このような手間の掛かる工法は、いつか姿を消していくのかもしれません。

隣り合った屋根材の立上り部分を専用の道具で掴んで折り曲げていきます。折り曲げることで屋根材同士が一体化し、継ぎ目のない一枚の屋根となります。端部は大きなペンチのような道具(通称「がちゃ」と呼ぶそうです。)を使ってがちゃ、がちゃと締めこんでいきます。長い召し合わせ部分は、ハンドロールシーマ―で、立上りに沿ってローラーでぐいぐいと押し込んで締めていきます。


設計者としては年々、工法の選択肢が減っていくのは非常に悩ましいことではあるのですが。デザイン上、選べるものが無くなっていくことですので。もしかすると数年後には、手で加工するこのような工法を現場で目にすることが無くなっているかもしれません。

 

ウッドロングエコを使った杉板DIY塗装の手順

「岩室の平屋」は、設計者である私の自邸です。いつもは設計者として現場に関わるのですが、今回は立場を変え、住まい手の立場で記事を書いてみました。DIYをやりたいと考えている方の手助けに少しでもなれば幸いです。

建物の外壁に張る杉板の塗装、通常は塗装職人さんが行うのですが、今回は自分でDIY塗装をしてみました。いつもは設計者として、お客さんのDIY塗装のアドバイスや助っ人をしているのですが、自分が主役となってDIYを行うのは、今回がはじめて。

せっかくの機会ですので、DIYの塗装の手順や掛かった費用を紹介したいと思います。

杉板DIY塗装に選んだ自然塗料「ウッドロングエコ」

今回使用した塗料は、天然防腐塗料「ウッドロングエコ」。木の表面に被膜を作らず、成分が木へ浸透し、防腐効果を発揮する塗料です。

外壁に木材を採用する場合は、耐候性やメンテナンス性が重視されるため、一度塗ったらメンテナンスがいらなくなるのは大きな利点。人体に害のない自然素材を原料にしているので、外壁を木で仕上げるエコなスタンスと、とてもマッチします。

ウッドロングエコは、緑色の粉末と水道水を混ぜるだけで作れるので、初心者でも簡単に扱えます。塗装に使ったハケやバケツなどの道具は水道水で洗い流せる点でも、取り扱いが簡単です。

今回は、桶を作って塗料に杉板を漬けながら塗る「どぶ漬け」の方法をとりました。以前、ハケ塗りをしたことがあるのですが、塗装の終わった板を後日みると塗り残し部分が結構あり、最終的には3度塗りまで再塗装をおこなった経験がありました。(木の表面に撥水する部分があると、塗料がうまく材に浸透しなくなるようです。)ハケで3度塗りをする手間を考えると、どぶ漬けを行う方が効率が良いと判断しました。またハケ塗りは、塗っている最中に塗料がぽたぽたと床に垂れてしまい、塗料がだいぶ無駄になっているのではないかと考えたためです。

「ウッドロングエコ」をどぶ漬けする

はじめに塗装の前に塗料を漬け込む桶づくりからスタートします。用意した材料は、以下。

・ブルーシート(長さ5.4以上)×1枚(水漏れ防止のため、厚手タイプがおすすめ)
・桟木(さんぎ:3cm×3cm程度の細長い角棒状の木材)長さ4m×6本程度
・貫板(ぬきいた:幅9cm×厚1.5cm程度の板材)長さ4m×4本程度
・えんぴつ
・のこぎり
・65mmビス(材料固定用)
・充電ドライバー(ビス止め工具)

まずは、桟木と貫板をのこぎりで必要な長さに切り、ビスで固定して桶の外形フレームを作ります。

参考までに、今回のフレームのサイズは、深さ30cm×幅20cm×長さ4.5m程度としました。桟木などは通常、長さ4mで販売されているので2本繋いで4.5mの長さにしています。(塗装する外壁材の寸法によって調整してください。)底に板を貼れば更に完璧ですが、今回は手間を省いて、底板を留めつけず、底に板を敷くだけにしています。

完成したフレームの上に、ブルーシートを被せ、塗料を溜める桶とします。塗料の液漏れ防止のため、ブルーシートは2つに折って2重にしておくのがベターです。

また塗装作業は、地面の上に桶を置いておこなってもよいのですが、作業時に腰に負担がかかるので、やはり台の上に置いて作業した方がおススメです。(今回は大工さんの作業用の台を借りました)

ここまで整えば、後は塗料を作り、桶の中へ入れて塗っていくだけです。
塗装のために用意した道具は、以下。

・塗装用手ぬぐいタオル、または、雑巾などの布
・バケツ(10L程度、水の量を測れるとベスト)
・ゴム手袋

どぶ漬け桶に塗料(ウッドロングエコを水道水で溶かした塗料)を入れます。塗料を満たした桶の中に、塗装する板材を漬け、表面を布で擦ります。

木の節や脂分の多い部分は水分を弾きますので、布で擦ってやって、塗料を材料へ浸透させていきます。板をゴシゴシとぞうきんで水洗いするイメージです。

板の側面や端部は、塗り残しがちな部分ですので、特に入念に。表に続いて、裏面も同様に。(表だけ塗装とする場合は、片面だけでOKです)塗り終わったら、よく水を切って、立てかけて乾燥させます。後は、根気よく繰り返すだけ、です。

塗装作業動画はこちら↓

DIY塗装にかかった作業時間

今回、塗装した板の枚数は200枚でした。板を運ぶ人、塗装する人と、作業を分担して2人ががり作業して、1時間に大体20枚程度のペースで塗れました。朝9時からスタートして昼休憩をはさんで15時まで作業すると、一日に塗れる枚数は100枚。

計算通り、2人で作業して、2日間で板200枚のDIY塗装が完了しました。平屋ですので外壁面積が少なく、この程度の板の枚数で済んでいますが、2階建ての家であれば、倍の板枚数、倍の塗装時間がかかると思ってください。

なお今回は2人で作業をしましたが、もっと人手があって、板を運ぶ人、塗装する人、立てかけて乾燥させる人、と作業分担をすればもっと効率よく作業が進むはずです。テンポの良い音楽でもかけながら、リズムよく作業を進めてください。

「ウッドロングエコ」の塗装後の杉板の表情

写真は、手前から、塗装前、塗装直後、塗装して数時間後の杉板の表情。肌色だった杉材が、落ち着いたグレー色に変化しているのが分かります。

塗装直後よりも時間が経つほど、塗料が木へ浸透・反応し、更に落ち着いた色目になってくるはずです。いかにも着色した木の色でなく、シルバーグレイの木の自然な風合いを求めるのであれば、この塗料はおススメです。

杉板DIY塗装にかかった費用

参考までに、どぶ漬け両面塗りにした場合の塗装費用を計算してみます。

ウッドロングエコ100gの塗料を使って、長さ4m×幅15cm×厚15mmの板が約80枚分、両面を塗れました。両面の塗装面積を計算すると約106㎡。塗料の購入費が約2万円ですので、塗料費20,000円÷106㎡=188.6円/㎡となります。カタログには100gの塗料、刷毛2回塗りで約70~90㎡塗装可能と表示があるので、両面106㎡塗れたとすると、カタログ値よりも約15%増しの面積が塗装できたことになり、かなり効率よく塗れたことになります。

今回塗装した杉材は、表面仕上げが荒木だったため、削った後の木くずや木粉が表面についていました。その粉を塗装をする前に乾いたぞうきんで拭き取って落としたのが功を奏したのかもしれません。また当日は気温が低めで、天気は雨模様だったため、塗料の蒸発量が少ないかったことも影響しているのかもしれません。

塗装屋さんにお願いした場合の塗装費用と比較してみます。見積もり時の塗装工事は、片面塗り112㎡×1,800円/㎡=201,600円(税抜き)→消費税込み221,760円(塗装手間+塗料代)でした。この金額は片面塗りですので、今回のように両面塗りの場合、倍の443,520円掛かることになります。

今回、実際に掛かった費用は、塗料代だけですと20,000円×3袋=60,000円。その他の材料費を含めても、7万円弱となります。つまり、DIY工事を行うことで、373,520円のコストダウンになった計算になります。この計算には自分の人件費(自分の働いた時間)を計上していないので、そのままの金額が全部浮いた!とはなりませんが、かなり大きな金額を抑えることができたことになります。

建設現場は、プロの職人さんが関わっているので、素人では建設工事に参加しにくい印象があります。しかし、この外壁杉板DIY塗装は、他の工事工程とは切り離されていますし、やる気さえあれば比較的に簡単にできる作業です。自分で手をかけた家は、きっと満足感が違うはず。家づくりに参加したいと思う方は、ぜひ試してみると良いと思います。

合板による耐震パネル工法を採用しました

「岩室の平屋」建て方に続いて、現在、外壁に下地合板を貼る工事が進んでます。なぜ外壁に合板を貼るかというと、建物に耐震力を持たせるためです。今回の建物は、柱・梁を組んで作る在来木造と呼ばれる昔ながらの木造工法を採用していのですが、「筋交い」だけでなく、外壁に「合板パネル」を貼る事で、耐震力を持たせています。最近では合板パネルの種類にも、各メーカーとも様々な製品が出てきていますが、施工費を考慮し、もっとも価格の安いラーチ合板を採用しました。(写真で茶色に見えている壁に張られた合板)

合板パネルで耐震力を持たせる工法といえば、2×4(ツーバイフォー)工法が知られていますが、今回採用した工法は、ツーバイフォー工法の良いところを在来木造に取り入れた、良いとこどりのハイブリッドな工法となっています。線で支える筋交いに比べて、面で支える合板パネルは、建物に掛かる地震力を分散させて伝えることができ、強い揺れにも粘り強く対抗できる利点があります。

写真に見えている斜めにかかっている部材が「筋交い」です。どしんっといった急激な地震力が筋交いに加わると、その力は筋交いに集中的に加わり、筋交いが抵抗できずに折れてしまうケースが阪神大震災などの大地震で多く見られました。しかし、今回の建物には筋交いを併用しています。なぜわざわざそのような地震に弱い部材を採用するのかというと、コストを抑えつつ、建物の耐震バランスを取るため。昔から使われてる筋交いは工法も比較的簡易で、合板パネルを貼るよりもコストを抑えることができるので。

基本的に合板パネルは、外壁に張られますが、外壁にはいくつもの窓が設けられており、場所によっては合板を貼れない個所がでてきます。合板が貼れない部分があると、建物の重心が偏り、その部分に揺れが集中してしまいます。一般的に住宅は、採光のために南側に大きな窓が設けられることが多いので、南側の耐震性が弱くなる傾向があります。そのような場所に補完的に筋交いを設け、全体のバランスをとっているのです。考え方としては、メインで外壁の合板パネルで力を支え、サブで筋交いを使っているイメージです。

とは言え、建物に加わった地震力は単純に合板パネルだけでもっている訳ではありません。実際には、柱や梁などの線材を介して地震力を基礎へと伝えていくため、柱・梁の接合部分の取合いや金物の選定がきちんとしていなければ、地震に耐えることができません。そのため、接合金物の許容耐力や留付け釘の種類や間隔などを、現場で一つ一つ間違いが無いか確認していくことが重要です。耐震の合板は貼ってあるけど、実際には力が伝わってない、では意味がありませんので。

「岩室の平屋」丸太はつり機仕上げ

「岩室の平屋」根曲がり丸太から太鼓状に加工した棟梁。大工さんと加工方法について打合せをして、決定した「丸太はつり仕上げ」。(「斫り=はつり」とは、ノミなどで表面を削り取ることを言います。)現場に組み込まれた梁材と、初めて対面しました。

太鼓状に挽いてもらった梁の側面は、帯鋸(おびのこ=バンドソー)の目が残るよう、敢えて仕上げはせず、加工したままの、荒々しさを残しました。根の部分が曲がった梁材は、存在感が強く、上品に仕上げてしまっては、その木の存在感とちぐはぐになってしまいます。杉皮のついていた丸太表面は、その曲がりなりに丸太はつり機で表面を削り落としてもらいました。丸太はつり機で仕上げた表面は、小さなノミで斫ったような、独特の表情をしています。

太い部分で梁成約70センチ。端正な空間の中に、まるで壁から梁材が生えているような、とても面白い表現になりました。

ちなみに、隣に並んだもう一本の梁は、「手斧(ちょうな)」で仕上げてもらいました(↓下の写真参照)。機械で仕上げた表情とは異なり、一か所一か所が深く削り取られ、ファイヤーパターンのようなメラメラとした杢目が表れています。ちょうなの向きを変えることで、削り取られる向きが変わり、浮き出す杢目が変わってくるようです。木目金という鎚起銅器の技法がありますが、そう!まさに木目、と改めて納得してしまいました。

数年前にも、仕上げにちょうな仕上げを採用した事があるのですが、ここ数年で、手斧(ちょうな)を使える大工さんは、大分減ってしまいました。このような面白い表現が、いつかできなくなってしまうと思うと、寂しさを感じます。

「岩室の平屋」建て方工事

「岩室の平屋」トラックで現場に運ばれた柱・梁材を、クレーンで一本一本吊り上げ、柱梁を組み上げていきます。この作業の事を「建て方(たてかた)」工事と呼びます。今まで基礎しか無かった現場に、ある日、急に建物が立ち上がってくるという、建設工事の中でも最もドラマチックな瞬間です。大工さん達は、梁の上をひょひょいと身軽に歩き周り、あっという間に建物の形が立ち現れていきます。

今まで各加工場や作業所で加工していた材料が、初めて現場に集合し、図面に従って、順番に組み上げられていきます。朝から始まった建て方作業、夕方には屋根下地までが組み上がり、無事に「上棟(じょうとう)」を迎えました。(上棟とは、一番高い所にある棟梁が取り付き、建物の骨組みが組み上がる事を言います)

気温36度。暑い中の作業、お疲れ様でした。きっと今夜はビールがおいしいことでしょう。祝、上棟。

「岩室の平屋」基礎工事完了

「岩室の平屋」基礎工事が完了しました。今回、(床裏断熱ではなく)基礎断熱を採用したので、基礎の側面には、断熱スタイロフォームが取り付けられています。写真で見えている水色ボードが断熱材です。

基礎コンクリート自体を蓄熱槽として利用するかどうかで、基礎の内側・外側、どちら側に断熱を行うかが決まります。蓄熱利用とは、エアコンなどで暖めた(冷やした)熱を室内空気だけでなく、蓄熱量の大きなコンクリートに蓄えておく方法。暖まった(冷えた)コンクリート蓄熱槽は、エアコンを止めた後でも、持続して床下空気を暖める(冷やす)ことができ、年間の冷暖房費を抑えることができます。蓄熱槽の輻射熱効果をさらに考慮するならば、数値以上に効果が高いのではないかと予想しています。

今回は建物の規模が小さく、建物全体の気積も小さいので、基礎立上り部は蓄熱槽として使わず、床下の防湿コンクリートのみ、蓄熱槽として利用する計画としました。

基礎打設後

基礎からは、ブルーとピンクの管がぴょこぴょこと生えているのが見えますが、この管が設備の給水・給湯管です。ご想像の通り、ブルーが給水管、ピンクが温水管となります。

設備配管工事が行われるのは、まだまだ先ですが、基礎工事の段階で、どこからどのルートで設備配管をしていくのか、事前に検討をしておく必要があります。後になって配管が通らない、なんて事のないように。

「岩室の平屋」太鼓梁材の仕上げ方法

太鼓梁

「岩室の平屋」先日、丸太から製材し、太鼓状に加工してもらった梁材。乾燥ボイラーから梁材が出てきたと連絡を受け、状況を確認をしてきました。(おおよそ1週間程度×24時間、ボイラー釜に入れて乾燥を行ったとのことでした。)

今回の丸太材は、伐採してから数年間、そのまま屋外に放置していたので、自然と湿気が抜け、そのままでもじゅうぶん乾燥していたのですが、丸太の中に入っている虫を殺すためと、割れや狂いを低減するため、念には念を入れてボイラー乾燥を行いました。ボイラーから出てきた直後の梁材に触れると、暖かく熱を持っているのが分かります。梁の表情は、ボイラーに入れる前に比べ、やや茶色の色目が増し、以前よりも引き締まった印象です。

梁材を前に大工さんと次の工程、仕上げ方法についての打合せ。全体に曲がりがあり、材寸法もかなり大きな梁材ですので、できる限り、この材の存在感をそのまま生かしたい、と設計者の意図を伝えます。

表面の仕上げが繊細すぎては、この材の存在感を殺してしまうし、とはいえ、あまりにも丸太感を出してしまうと、野暮ったくなってしまうし。。。そこで、仕上げイメージを伝えるため、ネット上の画像をこんなラフな感じ、と大工さんに見せると。

丸太はつり機

ああ、それならと、箱から出してきたのは「丸太はつり機」。掃除機の吸い込み口のような部分に、回転するローター刃が組み込まれていて、丸太の表面を削り取っていく加工道具。私は初めてみましたが、丸太の樹皮の部分を剥がしていくための道具だそうです。ローターのアタッチメントを変えることでさまざまな削り方ができるとのこと。この道具であれば、梁の曲がり部分も曲がりに沿って、上手く削り取っていけそう。

といった流れで、太鼓梁の下側の表面仕上げは「丸太はつり機仕上げ」に決定。側面の製材機でカットした断面には、製材機のノコ目(歯の跡)が残っていたため、そのラフな表情を残すため、仕上げは無しで。果たしてどのような表情に仕上がっていくのか、はつり機の仕上がりが想像できないだけに、とても楽しみです。

仕上がった後日の表情は、こちらの記事で。


柱・梁材とは別に屋根を支える垂木(たるき)部材の加工は、加工形状が複雑なため、大工さんが加工場で手作業にて加工中。屋根勾配に沿って垂木をかけるため、斜めの角度で梁と取合うため。加工形状の形定規を薄べニアで作って、その定規を使って垂木を一本づつ、丸ノコで加工していきます。

とにかく作業場が暑い!ということを除けば、こちらの加工は問題なく、進んでいる模様。ここまでくれば後は、現場での建て方作業を待つだけです。

軒先長さの適切な寸法について

「岩室の平屋」スタディ模型を使って、軒先長さを検討中です。「岩室の平屋」は、真南の面をガラスの大開口という構成にしています。これだけの面に真夏の日が当たれば、かなりの日射熱が室内に入り込んでしまいますので、真夏の日差しを遮る庇を設けています。逆に、冬場であれば、できる限り日差しを室内に取り込んで、室内を暖めたい、と夏と冬では、日差しを遮る条件が異なります。

南側から差し込む日差しは、夏と冬では、差し込んでくる太陽高度が大きく異なるので、軒の長さをうまくコントロールすることで、夏には陽を遮り、冬には陽を取り込むという調整ができるようになります。できるだけ空調機などの機械の力に頼らず、自然の力を使ったパッシブ(受動的)な室内環境を実現しようという考え方です。

南側に面したガラス窓の高さと軒先の長さから算出すると、日差しの角度が約64度を超えれば、室内に日差しが入らないという事になります。
新潟の太陽高度から算出してみると、
6月中旬~7月中旬は、午前10時から13:00頃まで、
8月上旬から下旬は、午前11時から12:30頃まで、昼の前後に掛けては陽差しを完全に遮ることができる事が分かります。

逆に、10月から5月頃までは、室内へ一日を通して日差しを取り込む事ができるという事になります。
特に寒い12月頃の太陽高度を見てみると昼くらいに29度ですので、かなり室内の奥にまで陽が差し込む計算になります。(天気が晴れればですが)

日差しを遮りたい期間を考慮すると、もう少し軒先を長くしても良いかな、という感じですが、今回、窓際には障子戸を設けますので、ある程度の陽差しのカットは障子戸でも調整できるだろと考えて、庇長さ:窓高さ=1:1.8という比率で設定しました。

寒い地域であれば、もっと軒を短くして日射熱を取り込む方が有利でしょうし、暑い地域ではもっと軒を伸ばして遮る方が有利でしょうし、冬場に太陽が出る日数が多い・少ないで、そのバランスは変わってきます。軒の長さは、建物が建つ地域の気候特性によって異なりますので、いくつが最も適しているかは、一概に言い切ることはできず、気候条件を判断した上で決定していく必要があります。

軒先長さ確認

「岩室の平屋」施工図チェック

「岩室の平屋」柱・梁の加工作業を前に、工務店より施工図面が送られてきました。設計図でも架構図面を描いてあるのですが、加工を行う工務店や加工業者さんは、それとは別に、実際にどのように加工を行うかを検討するため、加工図(施工図)を作成します。

設計者は、作成された加工(施工)図を、設計図に取らし合わせ、設計図と異なる点は無いか、組み上がった際に見え方が変でないか、接合強度に問題ないか、金物や接合部が隠れているか、などなど、様々な観点から施工図をチェックしていきます。

設計図面はあくまで、どのように作りたいか、どのように表現したいのか、を施工側へ伝える手段です。とは言え、2次元情報の図面だけでは、伝え漏れてしまう設計側の意図もあります。それらの漏れをできる限り減らすために、施工図のやり取りや打合せで互いの意図を確認しあう必要があります。

施工図に赤ペンでチェック。変更点したい個所には、スケッチなども書き込んで。できるだけ分かりやすく、意図を伝える事が大切です。