高断熱(省エネ)住宅で毎月の光熱費はいくら掛かるか?

LED照明
以前、「岩室の平屋(自邸)」の数か月間の電力料金について記事を書きましたが、春夏秋冬と、この家に暮らしてほぼ1年が経ちました。

高断熱(省エネ)住宅の毎月の光熱費が2022年時点で一般に公開されていることはまだ少なく、実際に家を建てらたどれくらいの光熱費が掛かるのかが曖昧なところがありますので、一年間に掛かった光熱費を示すことで、これから高断熱住宅を建てる方の参考になればと思い公開します。

電力使用する建物の条件

電力を使用する建物の条件は、以下の通りです。

立地エリア:新潟県新潟市(省エネ地域区分:5)
断熱性能:Ua値0.47(heat20 G1相当)
冷暖房器具:エアコン×2台(床下冷暖房)
規模:木造平屋建て
延べ床面積:85.29㎡(25.80坪)
家族:夫婦2人
利用用途:住宅+事務所(ほぼ一日家で仕事)
使用家電:照明器具(LED照明)、パソコン、スマホ、モニタ、エアコン、換気扇等
(ふろ給湯とキッチンコンロはガス設備による)

電力供給会社:Looopでんき

1年間の毎月の光熱費(電気料金)

1年間の電気使用量と電気料金です。

2021年 7月電気使用量 85kWh/月 2,399円
2021年 8月電気使用量127kWh/月 3,595円
2021年 9月電気使用量 79kWh/月 2,268円
2021年10月電気使用量 73kWh/月 2,128円
2021年11月電気使用量 70kWh/月 2,075円
2021年12月電気使用量208kWh/月 6,253円
2022年 1月電気使用量450kWh/月 13,761
2022年 2月電気使用量342kWh/月 10,803
2022年 3月電気使用量320kWh/月 10,377
2022年 4月電気使用量183kWh/月 6,003円
2022年 5月電気使用量 83kWh/月 2,756円
2022年 6月電気使用量 68kWh/月 2,274円

1年間合計 電気使用量 2,020kWh/年 62,418円

12月中旬から4月中旬まで、暖房のためにエアコンを稼働させたため、電力料金が上がっています。8月~9月の夏場もエアコンで冷房を行っていたのですが、冷房効率が良いのか、冬に比べると電気使用量がそれほど掛かっていません。(夏場のエアコン稼働については今後さらに検証が必要です)

ここ新潟では、冷房使用期間2カ月に対して、暖房使用期間4カ月と暖房期間が長く、一年間の電力料金を抑えるには、暖房効率をいかに上げるか、が有効に働くことが分かります。

冷房も暖房も使用しない中間期の電力使用料は約2,000円/月ですので、暖房に使った電力料金を計算してみると11,000-2,000=9,000円/月程度になります。30日で割れば、9,000÷30=300円/日。事務所を併設していて一日中、かならず誰か家にいますので、エアコン暖房は朝7時~夜21時頃まで約14時間/日の稼働。時間当たりでエアコン暖房にかかる費用を換算してみると300÷14=21.42円/hとなります。

ちなみに電力料金26.40円/kWhから、エアコン暖房使用時の時間当たりの平均使用電力を逆算すると0.81kWh/hになります。一日平均で810W/hの電力を使ってエアコン暖房を稼働させていたということになります。どのエアコンを選ぶかにもよりますが、消費電力から想像するに、6畳用~8畳用の家庭用エアコン1台で家一軒が十分に賄える数字です。実際にこの家では、エアコンを2台設置しているのですが、冬場ほぼ一台でエアコンを運用していました。

毎月のガス料金

ガスコンロ
こちらの建物では、ふろ給湯とキッチンコンロにガスを使用していますので、電気料金だけでなく、ガス料金も合わせて比較する必要があります。以下に1年間のガス料金を示します。

2021年 7月ガス使用料 2,864円
2021年 8月ガス使用料 2,263円
2021年 9月ガス使用料 2,779円
2021年10月ガス使用料 3,072円
2021年11月ガス使用料 3,369円
2021年12月ガス使用料 3,673円
2022年 1月ガス使用料 5,173
2022年 2月ガス使用料 5,080円(ガス料金値上げ)
2022年 3月ガス使用料 4,770
2022年 4月ガス使用料 5,116
2022年 5月ガス使用料 5,205円
2022年 6月ガス使用料 3,944円

電気料金と同様、外気温の低い1月~3月の期間のガス使用料が上がっています。相対的に外気温が高い夏場には、下がっています。とはいえ、電気料金と比べると年間を通して大きな変動はなく、平均で3,500円/月程度となっています。

電気料金と同様、LPGガスの仕入れ価格高騰により、2022年2月にガス料金が値上げされています。

電気とガス料金を合わせて考える

生活していくためには、冷暖房を行って室内環境を整え、調理をして食事をとり、風呂に浸かって疲れをとる必要があります。ですので、電気だけ、ガスだけ、のみでは暮らせません。(オール電化という選択肢はありますが。)電気料金とガス料金の合計で考える必要があります。(現時点でデータがある2021年7月~2022年5月までを集計)

2021年 7月電気+ガス使用料 5,263円
2021年 8月電気+ガス使用料 5,858円
2021年 9月電気+ガス使用料 5,047円
2021年10月電気+ガス使用料 5,200円
2021年11月電気+ガス使用料 5,444円
2021年12月電気+ガス使用料 9,926円
2022年 1月電気+ガス使用料 18,934
2022年 2月電気+ガス使用料 15,883
2022年 3月電気+ガス使用料 15,147
2022年 4月電気+ガス使用料 11,119円
2022年 5月電気+ガス使用料 7,961円
2022年 6月電気+ガス使用料 6,218円

外気温の低くなる12月から4月までの期間に光熱費が上がっています。暖房に掛かる光熱費、風呂を沸かす給湯に掛かる光熱費がアップするのが原因です。「夏をもって旨とすべし」と兼好法師は言いましたが、ここまでのデータを見る限り、燃費性能の上では夏よりも冬を重視した方が良さそうです。春秋の気候の良い季節の光熱費に比べ、冬場の光熱費は約3倍となっています。

できれば積極的に自然エネルギーを使いたいところですが、冬場の晴天率が低い新潟(日本海側)では、太陽光を室内へ取り入れて暖房に利用することがなかなかうまくいきません。外から取り入れる熱量よりも、外へ逃げる熱量をどれだけ抑えるか、を意識する方が大切です。こちらの建物は多くのガラス面を設けていますので、Ua値=0.47と外皮断熱性能はそれほど高くありません。外皮性能を上げることで、更に光熱費を下げることが可能になります。

また暖房効率の良いエアコンや熱回収効率のよい給湯器を選定するのも、光熱費を抑えるための有効な手段になります。エアコンは冷房能力が高い製品が多いのですが、暖房機能を充実させたモデルも近年販売されていますので、そちらの導入も有効です。予算が許すのなら熱交換式の換気扇の導入もおススメです。ただし、高性能な機器を採用すればその分、建築費も上がりますので、採用に当たっては導入コストを見据えながら慎重に検討ください。

ここの所、ソ連侵攻の影響や円安傾向により、エネルギー資源が高騰し、ガス・電力ともに料金が値上がりしています。今後、光熱費は上がることはあっても、下がることは考えられません。建物自体の省エネ性能を上げ、毎月の光熱費を下げることは、これからますます重要になっていくことが予想されます。