軒先長さの適切な寸法について

「岩室の平屋」スタディ模型を使って、軒先長さを検討中です。「岩室の平屋」は、真南の面をガラスの大開口という構成にしています。これだけの面に真夏の日が当たれば、かなりの日射熱が室内に入り込んでしまいますので、真夏の日差しを遮る庇を設けています。逆に、冬場であれば、できる限り日差しを室内に取り込んで、室内を暖めたい、と夏と冬では、日差しを遮る条件が異なります。

南側から差し込む日差しは、夏と冬では、差し込んでくる太陽高度が大きく異なるので、軒の長さをうまくコントロールすることで、夏には陽を遮り、冬には陽を取り込むという調整ができるようになります。できるだけ空調機などの機械の力に頼らず、自然の力を使ったパッシブ(受動的)な室内環境を実現しようという考え方です。

南側に面したガラス窓の高さと軒先の長さから算出すると、日差しの角度が約64度を超えれば、室内に日差しが入らないという事になります。
新潟の太陽高度から算出してみると、
6月中旬~7月中旬は、午前10時から13:00頃まで、
8月上旬から下旬は、午前11時から12:30頃まで、昼の前後に掛けては陽差しを完全に遮ることができる事が分かります。

逆に、10月から5月頃までは、室内へ一日を通して日差しを取り込む事ができるという事になります。
特に寒い12月頃の太陽高度を見てみると昼くらいに29度ですので、かなり室内の奥にまで陽が差し込む計算になります。(天気が晴れればですが)

日差しを遮りたい期間を考慮すると、もう少し軒先を長くしても良いかな、という感じですが、今回、窓際には障子戸を設けますので、ある程度の陽差しのカットは障子戸でも調整できるだろと考えて、庇長さ:窓高さ=1:1.8という比率で設定しました。

寒い地域であれば、もっと軒を短くして日射熱を取り込む方が有利でしょうし、暑い地域ではもっと軒を伸ばして遮る方が有利でしょうし、冬場に太陽が出る日数が多い・少ないで、そのバランスは変わってきます。軒の長さは、建物が建つ地域の気候特性によって異なりますので、いくつが最も適しているかは、一概に言い切ることはできず、気候条件を判断した上で決定していく必要があります。

軒先長さ確認