カテゴリー: 2020 上越滝寺の店舗併用住宅

「上越滝寺の店舗併用住宅」高断熱住宅にするには、いくら費用が掛かるのか?

「上越滝寺の店舗併用住宅」では、外皮平均熱貫流率Ua値を0.39と設定して、断熱材の仕様など決定しています。家を建てるに際して、どの程度の断熱性能とするのが適切か、きっと迷うことでしょう。設計を専門にしている私でさえ、一体どこまでの断熱性能が適切な数値なのか、迷ってしまうことがあります。当然、技術的に断熱性能を上げていくことは可能ですが、性能が上がれば上がるほど、建設費も比例して上がってしまいます。

果たして、どの程度の断熱性能が適切なのか。同じ室温でも寒い・暖かいなど、そこで暮らしになる人の感覚にも左右されてしまうので、人によって基準が必ずしも一定ではありません。とはいっても専門家である以上、きちんと目標数字を決め、目標に基づいて断熱仕様を決めなければなりません。そこで、設計者がどのような目安で断熱仕様を決めているのか、断熱材には何を使っているのか、性能を上げるにはいくら掛かるのか、などを紹介したいと思います。

    1. 断熱性能の水準はどうなっているのか?
    2. 断熱材には何を使うのが有効か?
    3. 高断熱住宅にかかる費用はいくらか?

断熱性能の水準はどうなっているのか?

上越滝寺の家
断熱性能は、現行では平均熱貫流率(Ua値)を基準に判断することになっています。ちなみに「上越滝寺の店舗併用住宅」の平均熱貫流率Ua値0.39という数字は、どの程度の水準かと言うと、新潟県上越市(地域5)では、以下のようにHEAT20 G1クラスを余裕で満たし、HEAT20 G2までは少し届かない程度の断熱性能となっています。(G1とG2の中間あたりでイメージすると良いかと思います)

上越市=地域区分5のUa値水準(下にいくほど断熱性能が上がります)
0.87 平成28年度基準相当
0.60 ZEH基準相当
0.48 HAET20 G1基準(←この数字は余裕でクリア)
0.34 HAET20 G2基準(←ここまでは届かず)

専門家でない限り、HEAT20 G1水準と言われても具体的にどの程度の断熱性能か、イメージできないと思います。現実的な体感温度として伝えるなら、冬場、前夜の23時に暖房を切って就寝し「最も温度の下がる北側の非暖房ゾーンで、暖房をつける前の早朝5時頃に体感温度10度を下回らない」という水準になります。簡単に言い切ってしまうなら、夜間に暖房を止めても冬の一番寒い時間にどの部屋でも10度を下回らない、という水準になります。

なお、HEAT20 G2の場合は、同様の条件で「早朝に13度を下回らない」となります。ここで注意すべき点は、暖房を行わない最も寒い部屋ですので、通常なら北側の廊下やトイレなどの温度を指すことになります。(ですので、前日に暖房を行っていたリビングなどの部屋は体感温度10度よりもずっと暖かい、という事ですので、お間違いなく。)

改めて表にすると、上越市=地域区分5で、一年で最も寒い時期に(2月頃の早朝、外気温-2度くらいの時間に)最も寒い部屋で
Ua値0.87 平成28年度基準相当→8度を下回らない
Ua値0.60 ZEH基準相当→9度を下回らない
Ua値0.48 HAET20 G1基準→10度を下回らない
Ua値0.34 HAET20 G2基準→13度を下回らない
が、おおよその目安と考えてもらえば良いかと思います。

この温度感を目安に、断熱性能を決めていくようにします。当然、人によって寒さを感じる程度が異なりますので、その方の体感に応じて目標値を調整することも大事です。また、人は歳をとるに従って、寒さを感じやすくなるため、今現在だけでなく、10年先のことまで考えて断熱性能を決めていくことをおススメします。

断熱材には何を使うのが有効か?

高性能グラスウール施工

断熱性能を実現するために、屋根、外壁、床下に性能の高い断熱材を入れ込み、室内の熱が外部へ流れるのを防ぐ必要があります。当然のことですが、断熱性能を上げるに従って、建設費用も上がってきます。建て主としては、断熱性能を上げつつ、コストも抑えたい、というのが心情でしょう。つまりコストパフォーマンスの高い断熱材を使いたい、という要望に応える必要が出てきます。

私の設計した建物では、上記の要望に応えるために、コスト当たりの断熱性能が最も高い製品である高性能グラスウール断熱材を使うことにしています。他にも断熱性能のもっと高い製品もあるのですが、日本国内どこでも直ぐに手に入るグラスウールに比べるとまだまだ値段が高い印象があります。また、グラスウールは昔から大工さんが使ってきた製品でもあるため、施工性が高く、導入に当たって施工コストを抑える事ができるというもの大きな利点になります。

ただし、グラスウール断熱材にもデメリットがあります。施工方法を間違えれば、すぐに性能低下へとつながりますし、湿気に弱いため材料保管や施工には細心の注意を払う必要があります。

高断熱住宅にかかる費用はいくらか?

断熱工事

例えば、木造2階建て延床面積35坪の平成28年度基準の住宅を、HEAT20 G1クラスへ断熱性能をあげる際には、いくら費用が割増になるのか?を計算してみようと思います。

この規模のH28年度基準の住宅ですと、断熱材全ての材料費は40万円程度になります。その断熱材をHEAT20 G1を満たす断熱材へ変えた場合、およそ断熱材の材料費が30万円アップします。また外壁付加断熱が必要となるためその取り付け工事費で20万円アップ。更に気密処理などで5万円増。その他、サッシを樹脂複合から樹脂サッシに仕様アップして30万円増。ちなみに天井や壁、床に入れ込む断熱工事は断熱材の仕様が多少変わったとしても施工手間は一緒なので増額無しの0円。以上、合計すると85万円の割り増しになります。

割り増しした金額を坪数で割れば、85万÷35坪=2.4万円/坪の増額となります。建設坪単価が85万円/坪だとすれば、延床面積を一坪小さくすれば、賄える金額です。建物を少しだけ小さくして、その分の差額で断熱性能をアップすると考えるのはどうでしょう。コンパクトにした分、夏涼しく、冬暖かく。そんな価値観があっても良いと思います。

「上越滝寺の店舗併用住宅」建て方工事

「上越滝寺の店舗併用住宅」いよいよ建て方工事です。建て方工事というのは、今まで加工場で加工を行ってきた柱・梁材を現場へ運び込み、建て込んでいくこと。今まで基礎しかなかった現場にみるみる内に建物が立ち上がっていく様はいつ見ても感動します。今回は、一気に屋根下地材まで貼ってしまおうということで、2日間にかけて建て方工事を行っていきます。

現場に運び込まれた材料は、棟梁の指示によってクレーンで一本一本吊り上げられ、組み上げられていきます。どこから、どんな順番で組んでいくか、手順を間違えないよう、棟梁は足場を上へ下へと走り回っています。一日目の夕方には無事、一番上の棟梁まで組み上げが完了。

建て方作業は順調に進み、2日目の夕方には、屋根下地材まで張り上げが完了しました。貼りあがったばかりの2階梁上に登ると正面には雄大な山並みが見えています。この方向には、風景をそのまま切り取るよう、大開口の窓を設ける予定です。予想していた通り、晴らしがよく、既に良い空間が出来上がりそうな気配。

足場の上から見下ろすと、大工さん達が集まって何やら、ああでもない、こうでもないと、なんだか楽しそう。上棟式(じょうとうしき)に使う「幣芯(へいしん)」を用意しているようです。上棟式とは、ここまで工事が無事に終わったことを神様に感謝し、建物が最後まで無事に完成するよう、お祈りする儀式です。

明日からはもう10月。ここ上越では気を抜いていると、あっという間に雪が積もる季節になってしまいます。何とか雪が降るまでに屋根工事と外壁工事は終わらせてしまいたいところ。改めて気を引き締めて工事を進めていきたいと思います。

「上越滝寺の店舗併用住宅」地盤改良の工法について

「上越滝寺の店舗併用住宅」地盤調査を行った結果、軟弱地盤(沈下の可能性あり)との判定が出てしまいました。(実はもう少し良い結果が出るのではないかと、淡い期待を抱いていたのですが。。。)土地を購入する際に、ある程度の地盤強度が分かっていれば良いのですが、たいてい土地の購入時には、地盤調査をしてあることは無く、地盤強度が不明ということが大半です。

予想していたよりも地盤が軟弱であれば、後々、地盤改良費用が増えてしまいますし、地盤改良費を多く見込みすぎては、借入額が増え、事業自体が成り立たなくなってしまいます。土地の購入時に、地盤改良予算をどこまで見込んでおくのか、毎回のことながら悩ましい問題です。

周辺の地盤調査データが得られれば、ベストではあるのですが、そう簡単にデータを得られることはないでしょう。もし近くで施工している建設現場があったらその物件が地盤改良を行ったかどうかを見みれば、地盤改良が必要かどうかのおおよその検討がつきます。また、もし聞けるのであれば、お隣さんや近隣の方に新築時に地盤改良を行ったかどうかを聞いてみるのも良いかもしれません。

もしそれらが叶わなければ、周辺道路のマンホール蓋やブロック塀、電柱などを見て、ひび割れがあるかどうか、塀や電柱が傾いていないかなど、周辺情報を観察してみることで軟弱地盤かどうかを予測することができます。

地盤調査の結果を踏まえ、今回は、地盤改良を行うことにしました。地盤改良に採用した工法は「環境パイルS工法」という、木杭による地盤改良工法。(下の写真に写っている鉄筋の下に埋まっている木が、改良杭です。)私の事務所では、近年、この改良方法を採用することが増えています。

「環境パイル工法」改良工事費用は、他の改良工法に比べて1~2割高めではあります。ただし、建物解体時のコストまで含めてトータルに考えると、コストメリットがあると判断しています。なぜなら、この木杭工法であれば、比較的簡易に杭を引き抜くことが可能だからです。つまり、杭の撤去費用が安い。セメントなどを使った改良方法ですと、杭打設時の工事費用は比較的安くできるのですが、解体しようとすると、解体費用が大きくかかってきます。(場合によっては、解体不能という場合もあります。)

新築の際に、そこまで考える方は少ないのかもしれませんが、もし仮に建物を解体し、最後に更地にして土地を売る場合、改良杭が撤去していなければ、土地の値段は下がってしまいます。(改良杭の撤去費分、土地代が下がってしまいます)ですので、建設~解体に至るまでをトータルに考えれば、全体費用が抑えられ、むしろ割安ではないかと。目先の建設費だけでなく、もっと長いスパンで考えていく事が必要です。

外壁杉板のウッドロングエコDIY塗装

「上越滝寺の店舗併用住宅」外壁材には、杉板張りを採用しています。木は自然素材であるため、無塗装のままでは雨や日差しに晒され、時と共に木の痛みが進行してしまいます。耐候性を持たせるため、木の表面には何らかの塗装を行う必要があります。

が、その外壁面の塗装、塗装屋さんに頼むとかなりの塗装費用が掛かってしまいます。そこで今回、外壁材を住まい手自身でDIY塗装してはどうかとなりまして。塗装費用の削減になりますし、今後の外壁メンテナンスも自分で行えるようになる利点があります。

外壁杉板のDIY塗装に選んだ塗料「ウッドロングエコ」

初心者にも塗れる木材塗料として選んだのは、自然防腐塗料「ウッドロングエコ」。粉末を水道水で溶かすだけで作れる塗料で、その液状の塗料に板を浸すだけと、誰でも簡単に塗れるのが選んだ理由。(塗装屋さんのような特殊な技術は必要ありません。)「エコ」の名の通り、酸化鉄、樹皮、ハーブなどの天然成分から作られた自然塗料で、天然成分が木材に浸透し、耐候性を上げる塗料です。人体に害がない上、環境に与えるインパクトも小さく、一度塗れば再塗装不要の優れた耐候性能を持っています。

ウッドロングエコ「どぶ漬け」塗装

今回は、ハケで塗る通常の塗装方法でなく、プールの中に塗料を貯め、その中へ外壁杉材を漬け、雑巾で表面を擦る、いわゆる「どぶ漬け」で塗装を行うことにしました。

以前、ハケ塗りで塗装したことがあるのですが、材の表面に水はじき部があると塗料が上手くのらず、何度も塗料を塗り重ねた経験がありました。その経験から、何度も塗り替える手間を考えると、塗料のプールに漬ける「どぶ漬け」方法が効率が良い、と考えました。(確実に塗料が浸透することで、木の耐候性も上がります。)ウッドロングエコは、水のようにさらっとした塗料なので、塗る、よりも、塗料水に漬ける、と言った方がイメージに近いかもしれません。

まず初めに、桟木(さんぎ:3cm×3cセ程度の細長い角棒状の木材)と合板で箱状の桶を大工さんに作ってもらい、その上にブルーシートを掛け、塗料を漬け込むプールを作りました。箱状の桶はDIYで自ら作っても良いのですが、加工する道具を持っていて、かつ、木工作業に慣れた人でないと、それなりに時間が掛かってしまいます。今回、大工さんにお願いしたら30分程度でちゃちゃっと作ってしまいましたので、自信の無い方は、大工さんに費用を払って、桶の製作をお願いするのが良いかもしれません。

杉板DIY塗装にかかる日数と削減できた費用

2階建ての建物の外壁面全面となると、外壁量もかなりの量になります。今回は、4mの杉材が340枚でした。1人が材料を運び+塗装が終わったら立てかけ、2人がプールの中で塗料を擦りこむ、と作業を分担しました。昼前から3人で作業して一日で約130枚の塗装が完了。作業時間にして、約5時間とすると、1時間当たり26枚ペース。午前中はプール作りで時間を要したものの、まだ半分まで達していません。

このままのペースで枚数340枚塗るとすると、340枚÷26枚/時間=13時間かかる計算になります。一日5時間作業して3日間、8時間作業して2日間かかることになります。まだまだ先は長いのですが、おおよそ段取りは把握できたので、後は淡々と根気よく塗るだけです。

参考までに、DIY塗装でなく、塗装屋さんに塗装工事をお願いした場合の費用を計算してみます。3人で13時間かかる計算ですので、一日8時間労働として全て塗り終わるまでには3人×2日=6人工(にんく:何人の職人手間がかかったかを数える単位)かかることになります。塗装屋さんの手間代が2万円/人とすると、2万×6人工=12万円。塗料代は別で計算しています。実際にはこの金額に道具代や材料代、会社経費、会社利益が割り増しになるので、少なくとも20万円くらいは削減できた計算になります。

ウッドロングエコ塗装後の杉板の色目

写真の手前は、塗装前の杉板。奥が塗装後の杉板。塗装して数分後には、みるみる緑掛かったグレー色になっていきます。とてもしっとりした色合いで、この杉板を貼れば、新築なのにまるで以前からそこにあったような落ち着いた佇まいになるのではないかと思います。この杉板が貼られた外壁が姿を現すのが楽しみです。

一日終わって、まだ作業はノルマの半分も進んでいません。また明日からは3人でなく、2人での作業になってきます。今日よりも作業効率は落ちるかと思いますが、施主さんのがんばりに期待するしかありません。無理をせず、お願いします。

後日談ですが、その後数えてみたら、塗装する枚数が340枚ではなく、385枚もあったそうで。全ての塗装作業が終わるまで丸4日掛かったそうです。大変お疲れさまでした。

「上越滝寺の店舗併用住宅」柱梁材の加工打合せ

「上越滝寺の店舗併用住宅」柱・梁材が加工場に搬入されました。この後、大工さんの手によって、接手部分の加工作業へと入っていきます。近年では、柱・梁材はPCでデータ入力し、機械で加工を行うプレカット工場で加工を行うが大半なのですが、今回、施工をお願いしている久保田建築では、大工技術向上のため、できる限り手で加工を行うようにしている、とのことでした。

大工さんと打合せをして、接手の位置、取付金物と許容耐力の確認、加工形状、各部納まりなど、一つ一つ漏れの無いように確認をしていきます。せっかく搬入した材料、間違えて加工しては無駄になってしまいますので。慎重には、慎重を重ねて。

柱梁材

「上越滝寺の店舗併用住宅」軒先長さと窓高さのバランスについて

「上越滝寺の店舗併用住宅」こちらの住宅は、南側に面して大開口を設ける構成を採用しています。室内を明るく、開放的にしようと安易に大きな窓を設けてしまうと、夏場に日差しが差し込み、(見た目は良いが)暑くて快適に過ごせない空間となってしまいます。そこで、こちらの住宅では窓の上部に大きく軒を張り出し、夏の日差しを遮るような作りとしています。

軒の長さと窓の高さのバランスによって、どの季節に陽差しを遮るかが決まってきます。今回、軒長さ:窓高さ=1:1.3という比に設定しています。1:1.3を角度に換算すると、約52度。太陽高度が52度を超えれば陽差しを遮り、52度を下回れば、陽差しが差し込んできます。上越という場所で算定してみると、
5月中旬から7月中旬:午前9時頃から14時30分くらいまで、
7月中旬から9月中旬:午前10時30分頃から13時くらいまで、
と、およそ夏の暑い時期の昼にかけての時間帯、陽を完全に遮ることができると分かります。
これはかなり有効な数字で、夏場には有利に働くと予想されます。

ちなみに、10月中旬から3月中旬までは一日を通して室内に陽が差し込み、室内を暖める効果が期待できます。冬場の太陽高度は約30度と低く、もし晴れれば室内へ多くの陽が差し込むのですが、雪の日が多い上越では、冬季の日射熱効果はあまり期待しない方が良いかもしれません。という事で、南側の開口部のガラスといえども、日射取得型ではなく、日射遮蔽型を採用していく方が良いかと。近年、温暖化が急速に進んでいるようで、ここ上越でも雪が少なくなってきています。温熱環境を判断する上でも、冬季よりも、夏季を基準に検討していった方が今後は良いのかもしれません。

軒先長さ

「上越滝寺の店舗併用住宅」基礎施工図チェック中

施工図チェック

「上越滝寺の店舗併用住宅」先日、工事がスタートします!、と書きましたが、実はまだ現場では工事は始まっていません。(と言っても、さぼっている訳ではありませんので、ご心配なく。)水面下では、施工図の検討、各種計算書の確認、仕様書のチェックなどなど、机の上での確認作業が着々と進んでいます。

当然のことながら、建設現場というのは、何も手がかり無いまま、闇雲に建物を作っていく訳ではありません。どのような仕様の建物を作りなさいと示した設計図面があり、その設計図面を基に、施工図や製作加工図を作成し、その施工図に沿って現場で工事が行われていきます。ですので、工事が始まる前には、施工図・製作加工図というものが必要になってきます。その施工図は現場監督なり、各施工業者さんが作成することになります。

設計者は、現場から送られてくる施工図に間違いが無いか、意図しているモノに即しているか、性能は基準を満たしているか、などをチェックして確認していく責任があります。このような確認チェック作業を行っていくのが、設計監理という業務になります。(設計事務所によっては、現場設計監理をしないというパターンも、あるかもしれません)

施工者から送られてきた施工図を設計図面と照らし合わせて、不都合がないか、机の上で赤ペンチェック中。言葉だけでは伝えにくい個所は、図面の端にスケッチを描いて、設計意図を施工者へ視覚的に伝えたり。施工図に赤ペンチェック→施工図修正→更にチェック→施工図修正、と何度も何度もやり取りを繰り返していきます。現場に入ってから間違いが見つかって手直し、とやっていたら、建物本体にダメージがあるだけでなく、建物を作っている職人さんのモチベーションも下がってしまいますから。

事前のチェックが最終的な建物の良し悪しを決めるといっても過言ではありません。昔から「段取り8分(ぶ)、仕事2分(ぶ)」という言葉もある訳ですから。

「上越滝寺の店舗併用住宅」工事スタートします

「上越滝寺の店舗併用住宅」住宅ローンの借り入れ審査に時間を要してしまいましたが、お盆休み明けから工事がスタートします。

建設費については、全額をフラット35で住宅ローン借り入れをしようとしていたのですが、フラット35ローンは住宅部分のみにしか使えないという事が後になって発覚しまして。店舗併用住宅の店舗部分の工事費は、別ローン借り入れをしなければけない、という事になってしまいました。(更に再審査に時間を要すことになってしまいました)それに加え、つなぎ融資の段取りに時間を要すなど、色々とありまして着工までの工期が伸びてしました。

工務店さんには、その期間待ってもらうことになってしまい申し訳なかったのですが。借り入れ審査も無事に進み、いよいよ工事が着工する段取りがつきました。先ずは地盤改良工事から。工事の進捗状況など、引き続きアップしていきたいと思います。

模型写真

「上越滝寺の店舗併用住宅」確認申請許可証

「上越滝寺の店舗併用住宅」建築確認機関で審査をしていた確認申請の許可証が下りました。通常だと、木造2階建て規模の住宅は、確認申請提出してからおおよそ1週間くらいで許可が下りるのですが、今回は建物用途が店舗併用住宅であること、また、省エネ等級5の適合認定審査を同時に行うこと、などの条件から、予想していた以上の審査日数が掛かってしまいました。

申請提出してから、許可が下りるまで要した日数は、約3週間。建物の構成上、店舗と住居が複合しているのですが、その中から住居部分だけを抜き出して、各部分の省エネ計算をするとのことで、計算書を作る設計側も、審査する側も手間どってしまいました。法律が変わるたびに、計算方法や算定プログラム入力方法も、少しづつ変わってきており、その度に変更内容を把握して慣れるまでに時間が掛かってしまいます。日々、学ぶことを怠らず、知識を更新していくことが設計者には必要です。

許可証が下りたので、これで無事に工事がスタートできます。基本設計、実施設計と続いてきた設計業務はここまでで完了。ここから先は、現場をチェックしていく設計監理業務へと入っていきます。まだまだ設計者としての仕事は終わりません。

確認申請許可証

「上越滝寺の店舗併用住宅」建築確認申請書の作成

「上越滝寺の店舗併用住宅」工事をスタートさせる為に、建築確認の申請書類を作成しています。「建築確認」とは、何ぞや?とお思いの方も多いでしょう。建築を建てる機会がなければ、「建築確認」という言葉を聞く事はきっとないでしょう。

日本国内で建物を建てる際には、建築基準法という建物に関する法律に適合している事が証明された後でなければ、建物を建てることができません。各法律に適合しているかどうかを、役所の窓口や第3者機関に判定してもらう、その行為を「建築確認」と呼びます。

法律では、用途地域ごとに建てる事ができる床面積限度や高さ制限、採光規定や防火規定など、様々な規制が設けられています。図面や計算書類などで示すことによって、各法律に違反していません、と確認を取る、それが「建築確認」というモノです。建築基準法という法律書は、厚さ5センチを超える程、膨大な文字数が並んでおり、ページをめくるだけでも嫌になる設計者も多いことでしょう。図面に書き漏れが無いか、法令に抵触してないか、何度も何度も法令集を見返し、図面を修正していきます。

建築確認申請書類

「上越滝寺の店舗併用住宅」工務店との初顔合わせ

「上越滝寺の店舗併用住宅」ここまでは設計者が仲介に立って見積もり金額の調整をしてきましたが、いよいよ工事契約を見据え、工事を請け負ってくれる工務店さんと施主さんが初めて顔を合わせる段取りとなりました。

工事の契約を行うのは、設計者ではなく、工務店(建設会社や大工)さんです。工事が始まれば、信頼してお願いしなければいけませんので、実際に会ってみて、フィーリングが合うかどうか、誠実さや信頼感を感じるかどうか、価値観を共有できるか、話をきちんと聞いてくれるか、などなど、互いの相性を確認することが必要です。工事金額やコストというのは確かに大事ではありますが、きちんと工事を任せられる信頼関係、それができなければ、工事金額は安くとも、高い買い物になってしまいかねません。

施主さんは、わざわざ模型まで持参してくれ、模型を一緒に見ながら、確認したいことを一つ一つ丁寧に、工務店さんに聞いていました。打合せは終始、穏やかに進みました。契約の段取りも確認して、これで工事へと無事に進んでいけそうです。

工務店初顔合わせ

「上越滝寺の店舗併用住宅」隣地が赤道の場合の建築条件について

「上越滝寺の店舗併用住宅」敷地の法的条件などを確認するため、市役所の建築関係窓口や法務局に行ってきました。土地を取得する前に、さまざまな法的な条件などを整理し、把握しておく事は重要です。土地を購入した後で、法的に希望するボリュームの建築物は建てられませんと、ならない様、法的な解釈や接道条件など、事前に役所窓口で協議を行う事をお勧めします。

市役所で調べた所、今回、購入予定の土地は、赤道(認定外公道)に接している事が分かりました。赤道(あかみち)というのは、昔から(各種法が整理する以前から)公に通行されていた道で、法で正式に認定されている道路ではありません。昔からの道としての性格を持った公的な土地というもので、古い地割の土地や以前は田んぼだった土地などの登記情報を調べると、稀に目にする事があります。

購入する予定の敷地が、どのような土地に隣接しているかで、建てられる床面積や建物の高さなどが変わってきます。ですので、敷地境界、つまり、隣地がどのようなモノなのかは意外に重要な建築的条件になります。赤道(認定外公道)の取り扱いについて、一度も経験した事が無い設計者もいるかと思いますので、参考までに、市役所で確認を取った要件、下記に列挙しておきます。
1:道路斜線は不適用(法的には道路とは扱わないので、道路斜線は掛からない)(規制なし)
2:北側・高度斜線は、境界線位置を「赤道(認定外公道幅)」の1/2外側にあるものとして取り扱う(緩和規定)
3:居室採光計算の際の境界線位置を「赤道(認定外公道幅)」の1/2外側にあるものとして取り扱う(緩和規定)
という事ですので、簡単に言ってしまえば、赤道に対しては、高さ・採光規定が緩和されるので、赤道境界ぎりぎりまで建物を寄せて建てることが可能という事になります。

法的な取り扱いが難しい敷地の規定については、ぜひとも、役所に事前相談を。もし土地購入前に調べたいという方は、設計者に相談してみるのがおすすめです。建築基準法の詳細な取り扱いの解釈は、不動産屋さんでも、かなり勉強されている方でないと、分からないことも多いので。

敷地境界