土地を探しているけれど、なかなか決められない。そんなことがあります。
土地だけを見ていると、その場所でどんな家がつくれるのか、どんな暮らしができるのかまでは、なかなか想像できません。
そんなとき私は、土地が決まるのを待たずに、家のプランを考え始めます。
候補地に実際に建物を置いてみる。庭の位置を考える。窓から何が見えるかを想像する。そうすると、その土地で思い描いている暮らしが実現できるのかが、少しずつ見えてきます。
今回は、土地探しと設計を同時に進めた一つの事例をもとに、その流れを振り返ってみます。
ラフプランをスタディする
プランを描く目的は、図面を完成させることではありません。その人が思い描く暮らしを、その土地で実現できるのかを確かめることです。
ヒアリングをもとに、トレーシングペーパーを重ねながら、何度もラフプランを描いていきます。
庭をどこにつくるのか。リビングをどちらへ向けるのか。部屋と部屋をどうつなぐのか。いくつかの可能性を描きながら、その人の暮らしに合う形を探していきます。

この計画では、当初、中庭をコの字型に囲むプランを考えていました。どの部屋からも庭が見え、周囲の視線を気にせず過ごせる暮らしをイメージしていたからです。
ただし、この段階でプランを決めてしまうわけではありません。候補地が変われば、景色や隣家との関係も変わります。候補地や周辺環境を確認しながら、建物の形や窓の位置を少しずつ見直していきます。
候補地を確認して調整する
候補地が見つかると、実際に現地を確認します。
図面上では分からないことが、現地に立つと見えてきます。周囲の建物との距離、道路との高低差、光の入り方、視線の抜け方。土地の条件を確認しながら、それまで考えていたプランを重ね合わせていきます。
この土地では、当初考えていた中庭型のプランをそのまま当てはめるのではなく、周辺環境との関係を見ながら少しずつ調整していきました。

リビングをどちらへ向けるのか。庭をどこにつくるのか。窓の先に何が見えるのか。候補地ごとに条件が違うため、同じプランがそのまま成立するとは限りません。
大切なのは、土地の条件に家を合わせることではなく、その土地で思い描いている暮らしが実現できるかを確かめることです。
土地とプランを行き来しながら考えることで、その土地が本当に自分たちに合っているのかが、少しずつ見えてきます。
スタディ模型を作って3次元で検証する
図面だけでは、空間の広がりや建物の印象までは分かりません。候補地が絞れてくると、スタディ模型を作って、建物と土地との関係を立体的に確認していきます。
模型を手に取りながら、庭とのつながりや窓から見える景色、建物の高さや全体のバランスを見ていきます。

この計画では、屋根の勾配を変えた模型をいくつか作り、比較しながら検討を進めました。
屋根の勾配が少し変わるだけでも、外から見た建物の印象だけでなく、室内の広がり方も変わります。
また、建物だけを見るのではなく、敷地の中に置いてみることで、庭との距離や周囲との関係も見えてきます。図面では良いと思っていたものが、模型にすると少し違って見えることもあります。
そうした違いを一つずつ確かめながら、この土地でどんな住まいが成り立つのかを検討していきました。
現地で建物の配置位置を確認する
プランと模型で方向性が見えてきたら、もう一度現地へ行き、実際の敷地の中で建物の位置を確認します。
図面では数十センチの違いでも、現地では庭の広さや道路との距離、隣家との関係が大きく変わることがあります。

この計画では、建物の角となる位置を現地で確認しながら、リビングからどこが見えるのか、庭をどのくらい確保できるのか、周囲との距離感はどうかを確かめていきました。
実際の場所に立ってみると、図面や模型だけでは気づかなかったことも見えてきます。
建物を少し動かした方が庭とのつながりが良くなることもあれば、隣家からの視線を避けやすくなることもあります。
土地を決めるということは、土地そのものを選ぶことだけではありません。その場所に建物を置いたときに、思い描いている暮らしが成り立つかどうかを確かめることでもあります。
土地が決まらないときは、土地だけを見続けない
土地探しが長くなると、条件を比べることに意識が向きがちです。
価格、広さ、立地、方角。もちろん、どれも大切な条件です。ただ、それだけでは判断できないこともあります。
実際に家のプランを考えてみると、その土地でどんな暮らしができそうかが、少しずつ見えてきます。
庭をどこにつくれるか。
窓の先に何が見えるか。
家族がどこで過ごすことになりそうか。
周囲との距離感は心地よいか。
そうしたことまで考えると、良い土地かどうかではなく、自分たちに合う土地かどうか、という見方ができるようになります。
土地が決まってから設計を始めるのではなく、土地を探しながら設計してみる。土地探しがなかなか決まらないときには、そんな進め方も一つの方法だと思います。
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