プランニングを進めながらの土地探し

「越後曽根の平屋」プロジェクトがスタートしました。昨年からいくつか土地の候補を選び、土地探しからサポートしてきましたが、やっと希望に合う土地を見つけることができ、本格的に設計業務が始まりました。

こちらのプロジェクトは、相談を受けた当初は建物を建てる土地が決まっていませんでしたが、依頼者の要望をヒアリングし、先にプラン(間取り)を作成し、その建物がうまく納まる土地を探していく、さらに、その土地を見た上でプランを再調整する、という風に同時進行で進めていきました。

ラフプランをスタディする

依頼者の要望を整理した上で、プランをスタディ(検討)しています。この家にお住まいになる方が、どのような暮らしがしたいのか、どのような好みを持っているのか、どんな趣味を持っているのかなどをヒアリングした上で、敷地図の上にトレーシングペーパーを重ね、ペンでラフプランをスケッチしていきます。あまり正確さは気にせず、頭の中のアイディアを紙に書き留めていく作業です。

このスタディ作業を繰り返して、しっくりとくる案を探していきます。上の写真のように当初は中庭をコの字型に囲うプラン構成で、どの部屋からも庭が見え、かつ、中庭を囲うことで室内から外部の視線が気にならないことを意図していました。

候補地を確認して調整する

依頼者から気になる土地が見つかったと連絡があれば、候補地を実際に訪れて検討しているプランがそのまま納まるかを確認します。敷地条件や周辺に建つ隣家によっては、そのままのプランでは成立しない場合、建物の形状を変えたり、窓の位置や大きさを変えたりして、その土地に上手く納まるようにプラン調整していきます。

窓を大きく開きたい方向に隣家のリビングが面していたり、方角が悪かったり、と敷地内にプランが納まるだけでなく、家が建った後、室内環境がより良くなるような調整を行います。調整がうまくいかない場合は、その土地をあきらめなくてはならないケースもありますが、土地を購入した後で、思い通りの家が建たないことが分かるよりも、ダメージありません。

スタディ模型を作って3次元で検証する

土地の候補が絞れてきた辺りで、模型を作ってスタディ(検証)します。今まで2次元で紙の上で検討していた案を立体的に立ち上げ、アイデアやデザイン概念を視覚化します。3次元の模型が出来ると、よりリアリティを持って検証をすることができるようになります。模型を手に取って中を覗いて、視覚的な検証やスケール感の把握をしていきます。

3つの模型はそれぞれ屋根勾配が異なります。模型を並べて、立面のプロポーション検証を行っています。屋根勾配ひとつでも、建物の見た目の印象がずいぶんと変わります。外部の印象と同様、内部空間の雰囲気も勾配一つで変わります。ちょっとした事でも、疎かにできません。

現地で建物の配置位置を確認する

敷地内に糸を貼って、原寸で建物の配置位置などを確認します。写真の黄色い糸が各部屋の間仕切り壁の位置を示しています。各部屋の位置を現地に示すことで、部屋の窓からどのような風景が見えるか、部屋同士の繋がりと関係がどのようになっているのか、などが現実感を持って確認できます。

現地確認の際には、ガス、給水、排水、電気などのインフラ引き込みの位置も確認します。インフラ引き込みの整備がされてなかった場合、道路掘削などの大掛かりな引き込み工事が発生する可能性がありますので、注意が必要です。また同時に前面道路の幅や電線などの空中架線を確認します。それらは工事の際に、工事の難易度を左右し、工事費の増加に関わってきますので。

ここまで進めた段階で、土地を正式に購入することになりました。このように設計を同時進行させながら、何度も検証して土地探しをすることで、自分の要望に合った間違いのない土地を手に入れる事ができます。

前にも記事を書きましたが、土地探しの段階で、早めに設計相談を受けることには大きなメリットがあります。土地探しで迷っている方は、ぜひともご相談ください。