「松庵の家」の平面は、くねくねとしたV字型をしています。
なぜそのような形をしているかというと、敷地内に昔からあった樹木を一本も切らず、樹々を避けながら建物を建てようとしたためです。家を建てるのに木が邪魔だからと切ってしまうのではなく、家よりも長い間そこにある樹に敬意を払い、その樹々に場を借りるような気持ちで樹々と共生していくという気持ち。
建物は、樹に近づいたり、離れたりと樹々の間を縫うようにくねくねと折れ曲がって奥へと伸びています。高さ、大きさ、方向が異なる至る所に設けられた窓の外には、様々な樹々の表情が見え隠れし、樹々の中に住んでいるんだなあという実感をもたらします。
春には新緑、夏には青々とした緑、秋には色とりどりの紅葉。樹々の変化で季節の移り変わりを感じながら暮らす家。