断熱性能HEAT20 G1をG2へアップするにはいくら費用が掛かるか?

断熱性能ランクには2022年現在、性能が高い上から順に、5つの等級があります。( )内の数値は、新潟市での推奨Ua値を示しています。地域ごとにで推奨Ua値が異なりますので、より詳しく知りたい方は、こちらを参照ください。

  • HEAT20 G3(Ua値0.23以下)
  • HEAT20 G2(Ua値0.34以下)
  • HEAT20 G1(Ua値0.48以下)
  • ZEH水準(Ua値0.60以下)
  • 断熱等級4(Ua値0.87以下)

ZEH住宅、つまり、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスは、「ゼロ・エネルギー」とついているので、かなり高い断熱性能と思われるかもしれませんが、その上には更に上位の等級が3つあり、ZEH住宅といっても、決して高い断熱性能を持っている訳ではありません。世界的な情勢による燃料費の高騰や国のエネルギー政策を考慮すると、今後、求められる断熱性能がより上がっていくのは必然と考えられます。

電気料金やガス料金が年々上昇していることを考えると、家を建てる際には皆さん、断熱性能をできる限り上げて、毎月の光熱費を下げたいと考えるのではないでしょうか。そこで気になるのは、断熱性能を上げた際に工事費がいくら掛かるか、です。

断熱性能を上げるのにかかる費用を計算してみる

ユニベールハウス岩室外観

写真の「建売住宅ユニベールハウス岩室」は、33坪程度の木造2階建ての住宅。断熱性能は、平均熱貫流率Ua値=0.47(HEAT20 G1水準)です。こちらの住宅の断熱性能をHEAT20 G1→HEAT20 G2へアップするには、工事費がいくら上がるのか、を計算してみます。

断熱計算ソフトQpexの計算書を見ると外壁面積が多く、外壁からの熱損失が多いことが分かりました。そこで外壁の外側に付加断熱材を追加します。また天井裏スペースが少なく、断熱材の施工スペースが限られていることも熱損失に影響していたので、建物高さを上げて天井裏スペースを確保します。窓サッシは、もともと樹脂サッシ+アルゴンガス入りガラスの高断熱仕様を採用していたので、仕様は変えず、そのままとしました。これらの仕様変更で、平均熱貫流率Ua値は0.47→0.34となり、HEAT20 G2水準の断熱性能が実現できます。

下の写真は、付加断熱材の施工写真です。外壁の外側にネオマフォームという付加断熱材を貼り付けています。

ネオマフォーム外壁付加断熱

では、仕様変更に伴うコストアップ(追加費用)はいくらになるか。

  • 外壁付加断熱ネオマフォームt45追加 +50万円
  • 外壁付加断熱取付専用ビス       +2万円
  • 外壁付加断熱大工取付手間       +15万円
  • 建物高さ上げに伴う追加費用      +25万円

全てを合計すると、92万円。消費税込みとして101.2万円。

HEAT20 G2へ断熱性能をアップするには、差額でおよそ100万円の費用がかかります

性能アップにかかる費用は高い?安い?

この金額を高いと考えるのか、安いと考えるのかは、人それぞれ異なるとは思います。しかし、家は一度建てたら短くとも20年くらいは暮らすものです。ちなみに100万を20年で割れば、5万円/年。年間5万円の差額で365日、毎日を快適な室温で過ごせるとしたら、そんなに高い金額ではないように私は思います。

雪の日のリビング

年間の冷暖房費が下がることで、その差額を賄えると考えてみてはどうでしょうか。建てた後に光熱費として月々払うのか、それとも建設時に断熱工事費として一括で払うのか、最終的には払う金額は一緒として、後か先かの違いだけかもしれません。また寒冷地域では、暖房期間が長く、暖房費が高額になる傾向があります。そのような地域では、毎月支払う暖房費を考慮すれば、例え工事費が上がっても断熱性能を上げた方が掛けた費用の回収効率が大きいので、高断熱仕様にする恩恵をより受けることができます。

また、こちらに挙げた差額は、あくまで参考金額です。サッシの性能アップによって断熱性能を上げる方が有効なパターンもあるでしょうし、天井断熱仕様を変える方が有効な場合もあるでしょうし、それぞれの住宅によって差額は変わってきます。その家が建つ地域の違いもあるでしょうし、それぞれ間取りの違いで家の断熱効果も変わるでしょうし。それぞれの家にとっての最適なパターンを探し、費用対効果を上げていきましょう。

別記事「断熱等級4→HEAT G1へするにはいくら費用が掛かるか」については、こちらを参照ください。