エントランス周りに温かな表情を作りだす

玄関周り外観

「ユニベールハウス岩室」の外壁には、コストとメンテナンス性を考えて、ガルバリウム鋼板を採用しています。ガルバリウム外壁は導入費用が安く、かつ、耐候性が高いのが特徴ですが、板金の無機質な質感によって、どうしても硬い表情となる傾向があります。(モダンでシャープな印象の建物とするのであれば良いのですが)

新潟らしい水田風景の広がる周辺環境を考えると、今回の建物は、できる限り温かみのある表情とし、かつ、風景に映えながらも落ち着いた雰囲気としたかったので、板金カラーに濃茶色を選びました。

しかし温かみのある板金色を選んだだけでは、まだ温かみが物足りないと感じていました。そこで、玄関周りの外壁だけは、杉下見板張りの外壁仕上げを採用しました。板金の横張り仕上げに合わせ、杉板も下見板張りとして横のラインを強調し、外壁全体のデザインを統一しています。

玄関周り外壁杉下見板張り

コストを抑えつつ、見た目の印象を変えるなら、一番目に留まる外壁面(アイストップ)の仕上げ材を印象的な材に変えるのが有効な方法です。意外に人の感覚というのは、建物全体で感じている訳ではなく、目に留まった部分部分で印象を決めている傾向がありますので。

写真のように、ちょっと工夫するだけで、コストを抑えつつ、エントランス周りの印象をがらりと変えることができます。もう一つの利点は、杉板張りは玄関廻りの一部だけですので、脚立を立てる程度でメンテナスが容易にできることです。

木製玄関ドア

杉板張りの外壁仕上げに合わせ、玄関ドアには木製建具を採用しています。(木製ドアは既製品ではなく、地元の建具屋さんに特注で製作してもらいました。)玄関ドアが木製だと、見た目に高級感が出ます。特に玄関ドアは、家を訪れる人の目に一番触れる部分ですので、建物の印象に大きく影響を与えます。

コストを抑える部分はできる限り削り、コストを掛ける部分にはきちんとコストを掛ける。コスト配分にメリハリをつけることで、ローコストでありながらも、チープでない空間が実現できると考えています。そんな部分こそが設計者の腕の見せどころです。

こちらの建物、今週末の10/15-16と完成見学会を行いますので、ご興味ある方はぜひご来場ください。開催場所は、新潟市西蒲区です。みなさまのお越しをお待ちしてます。