敷地を読み取る
設計をする際には、まず最初に「敷地を読み取る」ことから始めます。敷地を読むとは、その敷地が持っているポテンシャルを読みとっていくことです。具体的には、その敷地の周囲にはどんな建物が建っているのか、その敷地からはどんな景色が見えるのか、周囲ではどんな音が聞こえるのか、交通量はどれくらいかなど、実際に計画地を訪れて、設計の手掛かりになる要素をピックアップし、条件インストールする作業、それらを敷地を読み込むと呼んでいます。読み込んだ情報の中には、設計に活かすための大きなヒントが隠れています。
敷地を実際に見なくとも、敷地測量図がきちんとあって、グーグルマップで敷地が確認さえできれば、設計を行うことは可能です。しかし、敷地図やマップには記載されていない情報、それらはやっぱり現地を訪れて自分の目と感覚で確認しなければ、設計に盛り込むことができません。敷地の読み込みは、情報や数値だけでなく、感覚的なものも含まれています。こちの方向はひらけていて気持ちが良いな、とか、こちら側はジメジメしているなとか、そんな感覚も設計の条件として読み込んでいきます。
また逆に、実際に敷地を訪れず、地図だけで見ていた場合には、南側に大きく窓を設けたら、お隣さんから丸見えで実際にはずっとカーテンを閉めっぱなしだったり、せっかく眺望の良い方角があるのに窓さえ設けなかったり、といった建物が建ってしまうなんてことも、無きにしも非ず、です。
敷地図や、グーグルマップで見ているだけでは、その敷地の持っているポテンシャルを正しく把握することはできません。実際に現地を訪れ敷地を読み取ることで、その敷地が持っている個性を発見できる可能性が高まります。
敷地の眺望を設計に活かす
上の写真の建物の敷地から読み取ったのは、南側に田んぼが広がり、更にその先に妙高山の山並みが美しく見える、という特性でした。その敷地特性を行かすため、景観がもっともよく望める2階にLDKを設け、そのLDKの南側にはできる限り開口部を設け、眺望を積極的に取り入れるプランとしました。キッチンカウンターの向きも、この景観が最も良く見える方向へ向けて配置しています。LDKだけでなく、寝室や浴室の窓からもこの景観が望めるよう配慮してプランニングしています。
自然の景色は、四季の移り変わりと共に日々、変化していきます。夏には緑の稲が水田に揺れ、秋には黄金色の稲穂に覆われ、冬には一面の銀世界、春には水を張った水田に山並みが映ります。窓の外の景色を眺めていると、毎日の暮らしが生き生きと動きのあるものへと変化していきます。
上の写真の物件は「上越滝寺の店舗併用住宅」です。詳しくはクリックしてご覧ください。
敷地のレベル差を設計に活かす
上の建物の建つ敷地は、2方向を道路に面し、2方向を隣家に隣接していました。また、敷地と前面道路には傾斜がついており、隣地・道路との間にはレベル差が大きくついていました。
傾斜のある敷地というのは、建設側からすると工事がしにくく良い印象を持たれません。ですが設計視点で、その敷地についた傾斜をマイナス要素ではなく、その敷地の個性と捉え、敷地レベル差を活かしたスキップフロアの平屋を提案しました。道路からのレベル差を活かすことで、一段上がったレベルに中庭を設けることができ、解放感がありながらもプライバシー性の高い住空間を作り出しています。
上の写真の物件は「浦山のコートハウス」です。詳しくはクリックしてご覧ください。