
この窓の前に座ると、自然と外を眺めてしまいます。
庭木の葉が風で揺れている。
時間とともに陽の入り方が変わり、一日として同じ景色はない。
本を読むわけでもなく、
スマートフォンを見るわけでもなく、
ただ、ぼーっと外を見ている。
そんな時間があってもいいと思って、この場所をつくりました。
窓は、あえて大きくしていません。
外の景色をたくさん見せるためではなく、
見てほしい場所だけを切り取るようにしたかったからです。
大きな窓は開放的です。
けれど、空や隣家、塀や庭まで、一度にたくさんの情報が目に入ります。
それよりも、庭の木々だけに視線を向けてほしい。
そう考えて、窓の大きさを決めました。
室内の明るさも少し抑えています。
部屋の中よりも、窓の向こうが少し明るく見えるように。
すると、自然と視線は外へ向かいます。
サッシの枠も、できるだけ目立たないように納めました。
窓を意識させたいわけではありません。
視線がそのまま庭へと続いていく。
建築の存在感を少し薄くして、景色だけが残るような場所を目指しました。
家の中には、食事をする場所や、仕事をする場所があります。
でも私は、何もしないための場所も必要だと思っています。
窓の前に座って、庭を眺める。
季節の変化を感じたり、
考え事をしたり、
あるいは何も考えなかったり。
何かをするためではなく、
何もしないための場所。
家の中に、そんな場所がひとつくらいあってもいいと思っています。
