以前より計画を進めていましたお米販売店舗「HACHI HACHI+」の工事が始まりました。今までは工場での加工や施工打合せがメインでしたので、進行状況を直接目にすることが出来きませんでしたが、現場での作業が始まると工事が進んでいることが実感できます。
12月中旬、雪が積もるぎりぎり直前でしたが無事に建て方工事が完了しました。すでに現場に出来上がっている基礎の上に、土台を敷き込み、その上に柱・梁を組み上げていく作業を「建て方」と呼びます。プレカット工場で加工された柱・梁材が現場に運び込まれ、大工さんによって土台→柱→梁→屋根下地と、クレーンで吊り上げ、下から上へと順番に組み上げられました。
土台敷き込み作業
現場では、基礎コンクリートが打ち終わり、柱梁の組み上げを待つだけの状態となっています。まずは、基礎の上に、土台を設置していきます。一番下に設置する土台の精度次第で、上部建物の精度が左右されるため、設置には細心の注意が必要です。
建物精度の良し悪しはそのまま、建物の性能の良し悪しへと繋がるだけでなく、土台の精度が良ければ、作業性は上がり、精度が悪ければ、作業性は著しく下がります。ですので、この最初の作業を入念に行うことが、とても大切です。
現場確認することの重要性
土台を設置した次は、既に工場で加工済みの柱・梁材を、図面に基づいて下から順に組み上げていきます。今回の建物は、すべての材を構造計算をしていますので、柱梁には所定の金物を取り付ける必要があります。設計者は、柱梁が組み上がるに従って、指定した金物が間違いなく取り付いているかどうか、や、部材の加工状態などを確認していきます。
構造計算すれば、どの部材にどのような荷重が掛かって、どこがウィークポイントになるかを把握できるので、力の流れを感覚的に捉えることができます。その部材にどんな荷重が掛かっているか分かっていれば、仮に現場で納まりの悪い個所が見つかったとしても、すぐに構造的な対処ができます。今回、取付金物の納まりが悪く、金物をその場で変更する場面がありました。構造的な力がどれくらい掛かっているかを把握していれば、変更の検討が容易にできます。
構造設計者が現場を確認することはとても重要です。いくらきちんと構造計算しても、構造計算通りに建物が作られていることが現場で確認できなければ、建物の耐震性は担保できませんので。
現場ならではの専門用語
柱梁材は、すでに工場で加工されているといっても、合板や垂木などの部材は、現場の寸法に合わせて大工さんがその場でカットしていく必要があります。現場で寸法を測って、その寸法に合わせ、一本一本、材を切断していきます。
「にいななご、の、インゴ」、「にいさんご、の、一寸」と、聞いたこともないような言葉が現場内に飛び交います。木造の現場では長さを、メートルやミリでは測らず、昔ながらの尺貫法を使って測ることがあります。つまり、「にいななご」は、2尺7寸5分(2しゃく7すん5ぶ)の長さ、「インゴ」は、1寸×1.5寸(3cm×4.5cm)の材料寸法のことを指します。
例えば、「チリ」や「ヌスミ」など、現場にいると聞いたこともないような専門用語を耳にするがあります。どんな意味なのか、大工さんに聞いてみると面白いかもしれませんよ。