お米スタンドHACHI HACHI+(米販売店舗)
写真:松崎典樹(NON SUCH PHOTOGRAPHY)模型写真を除く
視線を持ち上げ風景だけを残す
規模と構造
| 用途 | 販売店舗・カフェスペース・事務所 |
|---|---|
| 住所 | 新潟市西蒲区漆山8743−6 |
| 敷地面積 | 829.92㎡(251.05坪) |
| 建築面積 | 125.87㎡(38.07坪) |
| 延床面積 | 112.62㎡(34.06坪) |
| 構造 | 木造平屋建て |
| 竣工 | 2024年4月竣工 |
| 建築費 | 3,000万円(消費税別)地盤改良費を除く |
| 坪単価 | 88万/坪 |
| 設計料 | 270万(消費税別) |
性能
耐震性能:耐震等級2 耐雪積雪量1.0m(許容応力度計算による)
断熱性能:平均熱貫流率Ua値=0.48W/㎡K(断熱等級5/heat20 G1水準)
仕上げ材
天井:ラワン合板張り
壁:自然素材クロス張り 一部 チャフウォール塗装
床:モルタル金ごて仕上げ+撥水ワックス塗布
外壁:杉縦板張り 押縁押え+木材保護塗料ウッドロングエコ塗布
地元のお米屋さんが手がける、お米のある暮らしを提案する販売店舗とカフェの計画です。
敷地に立ったとき、まず目に入ったのは道路の向こうに広がる水田と、その先に連なる越後の山並みでした。米を扱う店舗でありながら、この敷地の価値は建物の中ではなく、その先に広がる越後平野の風景にあると感じました。
道路を越えて、遠景へ
敷地の魅力は道路側にはなく、その先に広がる越後平野の風景にありました。一方で、客席から正面を見ると、最初に目に入るのは道路を行き交う車や標識などの近景です。視線はどうしても手前の情報に引き寄せられ、遠くの風景まで意識が届きません。
そこでこの建物では、客席スペースの床を約80cm持ち上げています。
高さを約80cm持ち上げることで、視線は自然と道路を越え、その先に広がる田園風景へと導かれます。建築によって風景をつくるのではなく、もともとそこにあった風景を見つけやすくすること。それがこの場所に求められた役割だと考えました。
季節とともに流れる時間
客席に腰かけると、大きなガラスの向こうに越後平野が静かに広がります。春は水田に空が映り、夏は青い稲が風に揺れ、秋は黄金色の穂が実り、冬は一面の雪景色へと移り変わります。建物は同じ姿のままですが、窓の外には季節ごとに異なる風景が現れます。
開口はすべて北向きに設けています。室内をやや暗く抑えることによって、窓の外の風景が最も強く立ち上がります。柱やサッシフレームの存在を極力消し、一枚の絵のような開口として扱っています。
内と外のあいだに
エントランス前には、深い庇のある縁側のような外部スペースがあります。店の中に入らなくても、そこにいられる場所。おにぎりを食べたり、ただ座って風を感じたり。用途を決めず、滞在の仕方が自然に立ち上がる余白として位置づけています。機能だけでは生まれない、ゆとりのある時間がここにはあります。
粗さと力強さのある土間
販売スペースは高さ4mの吹き抜けを持つ土間空間です。お米を扱う場として、整えすぎた空間より、作業や搬入にも応じられる粗さが必要だと判断しました。倉庫や作業場としての機能と、店舗としての居心地を両立させるためです。
モルタルの土間床、現しの柱と梁。一部には曲がりのある太鼓梁を用い、素材の荒々しさと時間の積層を空間に刻んでいます。
お米と風景を結びつける場
この店で扱われる米は、この地域の風土の中で育まれています。そのため店舗の中心には商品を並べることではなく、その背景にある風景と向き合う場所をつくりたいと考えました。
道路の向こうに広がる田園風景を眺めながら米を味わう。その体験そのものが、この地域の豊かさを伝える方法になると考えています。
お店に関する詳細は下記リンクよりご覧いただけます。
「お米スタンド88+」インスタグラム
google map→新潟県新潟市西蒲区漆山8743−6