信濃町の中古住宅 耐震・断熱リノベーション
写真:松崎典樹(NON SUCH PHOTOGRAPHY)既存写真を除く
築30年の魅力を引き出し、現代の心地よさへ
規模と構造
| 用途 | 住宅 |
|---|---|
| 住所 | 新潟市中央区 |
| 敷地面積 | 177.29㎡(53.63坪) |
| 建築面積 | 83.16 ㎡(26.06坪) |
| 延床面積 | 115.96 ㎡(35.07坪) |
| 構造 | 木造2階建て |
| 竣工 | 2025年10月竣工 |
| 建築費 | 2,450万円(消費税別) |
| 坪単価 | 70万/坪(耐震・断熱内装リノベーション工事費) |
| 設計料 | 200万(消費税別) |
性能
耐震性能:耐震等級1 耐雪積雪量0.5m(許容応力度計算による)
仕上げ材
天井:ラワン合板張り
壁:自然塗料塗り
床:クリ無垢フローリング+自然オイル塗布
外壁(一部):杉下見板張り 木材保護塗料ウッドロングエコ塗布
屋根:既存瓦屋根葺き
キッチンカウンター:L型オーダーメイドキッチン
浴室:ハーフユニットバス+壁・天井:ヒバ無垢板仕上げ
信濃町の中古住宅 耐震・断熱リノベーション
昭和の間取りが残る築30年の木造2階建て住宅。細かく仕切られた空間を解体し、許容応力度計算による耐震補強と全面断熱改修を施した上で、現代の暮らしに合った安全・快適・開放的な住まいへと再生させたリノベーション事例です。
1. 新築以上の安心感と温かさを実現(性能の向上)
2000年以前に建てられた建物は、現在の基準に比べると地震への備えや断熱性能が不足しているケースが少なくありません。そこで、以下の工夫で建物全体の性能を底上げしました。
◎構造計算に基づく確実な耐震補強
許容応力度計算という緻密な構造計算に基づき、柱や梁に補強金物を追加し、耐震壁をバランスよく配置し直しました。これにより、現行の法規基準を満たす確かな耐震性を確保しています。一般的には耐震診断で安全性を検証しますが、より詳細で検証方法として許容応力度計算という構造検討法を採用し、更に確実な安全性を担保しています。
ただやみくもに補強したから大丈夫といった感覚的な構造補強では、安全基準は満たせません。補強することによって逆にバランスが崩れ、耐震性が低下するといったケースもあります。せっかく費用をかけて耐震補強を行う訳ですから、構造検証に基づいた正しい補強を行うことが大切です。
◎一年中快適な温熱環境の実現
現行の断熱基準を実現するため、既存の断熱材をすべて撤去し、壁、天井、床のすべてに最新の断熱材を隙間なく詰め込みました。
真冬でも厚着をせずに動き回れる。真夏でも冷房の効きが長続きする。断熱改修後の住まいは、外の気候を遠ざけるのではなく、室内の温熱環境を自分たちでコントロールできる場所になります。
見た目の仕上げをいくら新しくしても、冬に寒く夏に暑い家では、快適な暮らしはできません。断熱改修こそ、リノベーションの本質だと考えています。
2. 細切れから広がりへ(間取りの刷新)
築30年の既存家屋には、大きな玄関や座敷、客間といった昔ながらの細切れの間取りが残っていました。このような細かく仕切られた間取りは、現代の家族の暮らしでは使いにくい場合があります。また調理設備の整っていなかった時代のキッチンは、調理時の匂いが他の部屋へ流れないよう、他の部屋と間仕切り壁で分断された空間となっていました。
現代のライフスタイルに合わせ、使い勝手の向上と、明るく開放的な住空間を実現するため、間仕切り壁を取り払い、ワンルーム化を行いました。
◎現代の暮らしへの適合(使い勝手の改善)
不要な間仕切り壁を取り払い、キッチンからリビングまでが一体となったワンルームの構成に変更しました。間仕切り壁を取り払ってワンルーム化することで、今の暮らしにフィットする合理的な間取りへと刷新しています。
合わせて、ただワンルーム化するだけでなく、キッチン横にはパントリー収納を設け、キッチンから脱衣洗濯室への家事動線を効率化するなど、使い勝手の良い空間構成を心掛けました。
◎明るいLDK空間の実現
壁をなくすことで光が部屋の奥まで届き、明るく開放的なLDKを実現しました。視覚的な遮りがなくなることで、実際の面積以上の広がりを感じられる空間となります。
3. 懐かしさと新しさが共存するデザイン
ただ新しくするのではなく、元々の家が持っていた歴史や味わいを大切にしています。
◎歴史や味わいの継承
既存家屋にあった障子戸や、職人技が光る網代(あじろ)天井といった、貴重な仕上げ材をあえて部分的に残しています。昔の職人さんが手を掛けて作った建築部材は、今ではなかなか実現できないものがあります。時間が経つことで経年変化し味わいを増した昔ながらの仕上げ材を活かすことで、新築には出せない独特の味わいを出しました。
◎新旧の対比的なバランス
古いものの懐かしさと、新しい設計による洗練された美しさを掛け合わせることで、この家でしか味わえないユニークな懐かしく、新しい空間を作り出しました。
設計ポイント
この家は、単なる古い家の修理ではありません。私の事務所が掲げる人と空間から生まれる時間のデザインを具現化し、家族が安心して長く、そして豊かな時間を過ごせるように、目に見えない構造や断熱性から目に見える意匠までをトータルでリデザインした住まいです。
ラワン合板の天井現し、自然塗料の壁、クリ無垢フローリングを組み合わせることで、仕上げ材のコストを抑えながら素材の質感が際立つ空間を実現しました。明るいLDKと薄暗い和室コーナーの明暗対比が、実面積以上の奥行きを生み出しています。