「ユニベールハウス岩室」では、できるだけ既製品を使わず、地元の職人さんで製作できるものは造作工事で製作する方針をとっています。例えば、写真の木製引き戸。見た目をシンプルにして、引き戸を閉じている時にはできるだけ建具を目立たなくするよう意識しています。引き戸の面材には、天井仕上げと同じラワン合板を使用し、空間に統一感を与えています。
空間を作る際に気をつけなければいけないのは、各部の納まりや質感や素材感が、その空間に調和しているかどうかです。ただ高級な材料を使えば、居心地のよい空間になる訳ではありません。大事なことは、素材のトーンや納まりに統一感があることです。それらが上手く調和していれば、決して高級な材料を使わなくとも居心地のよい空間がつくれます。
といっても、高級素材を否定している訳ではありません。高級な仕上げ材を使えば、一段と落ち着いた雰囲気の空間が作れます。今回のプロジェクトは、建設費を抑えることが目標でしたので、安価な素材を使って、どこまでバランスの取れた空間が作れるかに挑戦しています。
洗面カウンターを造作工事で作る
上の写真は、洗面カウンターです。こちらも既製品を使わず、造作工事で作っています。(流石に洗面ボウルは、既製品を使用していますが。)こちらの洗面カウンターは、家具屋さんに集成材でカウンターを製作してもらい、その上にボウルを載せ、設備屋さんが配管接続して完成、という流れで出来ています。既製品の洗面ですと、設備屋さんが設置するだけと、関わる職方さんが少ないのですが、特注の造作洗面カウンターの場合、関わる職種が多く、施工調整が必要となります。
こちらの洗面カウンターは、予算がなるべく掛からないようシンプルな作りとしているので、既製品に比べて大幅な割高になることはありません。リビングなど他の部屋の仕上げや家具の雰囲気と合わせることで、家全体に統一感を出しています。
玄関に手洗いカウンターを作る
玄関に設けた手洗いボウルです。こちらも造作工事で作っています。大工工事でカウンターを壁に埋め込み、その上にボウルを載せただけのシンプルな作りです。材料はカウンター材と水栓+ボウル、カウンター下の配管ボックスと、材料代が安価に出来ています。
家に帰ってきて直ぐに手を洗いたい場面って意外に多くないでしょうか?玄関に手洗いボウルがあるのは、かなり重宝します。少し片側に寄せて手洗いボウルを設けているので、左側はカウンターとして使えます。出かける際にちょっとモノを置くことが出来るので、バッグを置いて鍵を出したり、荷物を置いたり、とても便利に使えます。このようなちょっとした工夫で、暮らしが楽に、そして愉しくなります。
こちらのカウンターも、家全体の質感や空気感を意識して作りました。既製品の家具ですと、なかなかデザインが統一されたものは少ないですし、このようなシンプルなデザインのものも見つかりません。また、デザインテイストが合ったものが見つかったとしても、少し寸法が足りない(逆に、寸法が大きすぎて納まらない)など、丁度良いものが簡単に手に入りません。
そのような場合、造作工事で作ってしまうのも良い手段です。シンプルな作りであれば工事費も意外に安く抑えられます。ただし造作工事には、多くの職方さんが関わる必要があるので、事前の段取りや計画を入念にしておく必要はあるのですが。