寝室空間の照明デザインのコツ

前回は、ダイニングの照明方法について書きましたが、今回は、寝室空間を照明するデザインのコツを書いてみます。

寝室は寝るための空間です。就寝に至るまで過ごす場所として、暗さをどう演出するかがキーワードになります。眠り心地の良さを作り出すことを目標に照明計画を行います。

一日に8時間寝ると考えれば、24時間中の1/3を、つまり人は人生の1/3を寝室で過ごします。人によっては寝室が家の中で最も長い時間を過ごす空間かもしれません。心地よく眠れる空間は、暮らしを豊かにしてくれるはずです。

眠りを誘う灯り

キャンドルライト

気持ちをリラックスさせ、心地よく眠りにつくため、寝室の照明には温かみのある電球色(暖色系)を使いましょう。キャンドルライトのような赤味のある灯りは、眠りへと誘う効果があると言われています。

和紙やファブリックを使った照明を使うと、柔らかい光を演出できます。眠りの空間には、硬質な灯りより、柔らかな灯りが適しています。光源が直接目に入るような照明はできるだけ避け、可能であれば間接照明を使うのも良いでしょう。

明るすぎるより、ちょっと暗めに照度を抑えた方が、眠りの場には適しています。

明るさの重心を低く

寝室の灯り

寝るための空間ですので、明るさを抑え、落ち着いた雰囲気とするのが第一ですが、可能であれば、明るさの重心を下げる(つまり、光源の取付高さを低くする)と、さらに落ち着きが生まれます。具体的には、ブラケット照明を低めに壁に取り付けたり、フロアライトを床に置いて使うこと。

寝室を明るく照らしたい時には、天井照明を併用して使います。寝る時とそうでない時と、照明を切り替えられる使い勝手の良い照明計画がベターです。

天井照明の位置について

奇特な寝相でない限り、寝る際は仰向けになるはずです。その枕元の真上に天井照明があったらどうでしょうか。そう、眩しくて寝れません。

枕の位置の真上にダウンライトが来ないよう、ベッドを設置する位置を事前に想定しておきましょう。基本は寝た時に足元側に天井照明が来ることです。

スイッチの位置(3路スイッチの採用)

通常であれば、寝室の照明は、寝室に入るドアの近くに設置されているはずです。

寝室に入って照明を点けて、ベッドに入って本でも読んで、さあ寝よう、となった際、手元に消灯スイッチがなければ、ベッドから抜け出しドアの付近まで歩いていってスイッチをオフにしなければなりません。それでは、せっかく眠くなったのに、目が覚めてしまいます。

そんなことにならないよう、枕元でも照明を消せる、3路スイッチを設けます。3路スイッチは、ドア付近と枕元の両方スイッチで、照明をオン・オフできるようにする配線方法です。場合によっては、4路スイッチとして、ベッドの両サイドでオン・オフできるようにすることもできます。

またスイッチの取付け高さも大切です。ベッドから手を伸ばして届く高さに設けること。そうでなければ、一旦、布団から出ることになってしまいます。使い勝手を考え、スイッチを配置することが重要です。

手元灯について

寝室の灯り

寝る直前まで別の部屋にいて、布団に入ったと同時に寝る、そんな方は少ないと思います。通常であれば、布団に入って寝るまでの間、本を読んだり、スマホをいじったり、何かしながら眠くなるまでの時間を楽しむのではないでしょうか。

そんな時に便利なのは、手元灯です。サイドテーブルにちょっと気の利いたデザインの照明器具を置ければ一番良いのですが、なかなかそこまで余裕のあるスペースを設けることが難しい、そんな場合は、壁付けのシンプルなブラケット照明を取りつけるのがおススメです。

手元にスイッチを設け、布団に入ったまま消灯できるようにするのも、忘れずに。

足元灯は必要か

センサーつき足元灯

寝室にセンサーつき足元灯をつけたい、という要望がよくあります。が、最終的には設置しないことが大半です。なぜ取りつけないのでしょうか?

よほど広い寝室なら問題ないのですが、センサーつきだと、寝返りを打つたびにセンサーが反応して、足元灯がついてしまうからです。ちょっと動くたびに、足元灯がぴかぴか点灯してしまい、それが気になって夜中に目が覚めてしまいます。

もしどうしても、足元灯を取りつけるのであれば、枕元のスイッチで点灯・消灯するようにします。ただ、寝室に窓があり、完全な遮光カーテンを取りつけるのでなければ、深夜といえども窓から月明りや外灯が射しこむはずですので、足元灯は必ず必要ではないと考えています。

しかし、寝室からトイレへと至る廊下には、センサーつき足元灯があると便利です。天井照明を点けなくともトイレまでいくことが出来ます。天井照明がまぶしければ、また寝ようと思っても目が冴えてしまうので、足元だけをぼんやりと照らす足元灯はとても重宝します。

以上、基本的な照明デザインのポイントを書いてみました。ぜひとも参考にして、心地よい眠りの空間をデザインしてみてください。