冷たく感じる仕上げ材・温かく感じる仕上げ材

コンクリと木

写真の「コンクリート」と「木」。触ってみた時、どちらの方の温度が低いでしょうか?

イメージでコンクリートの方が冷たいと答えてしまいそうですが、実際に温度を計ってみると、どちらも同じ温度です。(どちらの材も室内温度と同じ温度になります)

ただ、手で触れてみた時には、コンクリートの方が明らかに冷たく感じます。同じ温度なのに、冷たく感じるのは、どうしてなのか。それは、仕上げ材の3つの性質で決まっています。

・仕上げ材の熱の伝えやすさ(熱伝導率)
・仕上げ材の蓄える熱量
・仕上げ材の表面仕上げ

仕上げ材の熱の伝えやすさについて

熱は温度の高い方から低い方へ流れる性質があります。人の体温はおよそ36℃なので、温度20℃の物質を触ったときには、触った物へと人の体温が移動していきます。物を触った時に、熱がより多く、かつ、素早く移動していく(熱が奪われる)ほど、より冷たいと感じます。

一つ一つの物質には「熱伝導率」と呼ばれる熱の伝えやすさを示す数値があり、その数値が高いほど、熱が移動しやすく、物を冷たく感じます。たとえば、鉄、コンクリート、木材で比べると、熱伝導率の大きい鉄が一番冷たく、鉄→コンクリート→木材の順に冷たさを感じることになります。

参考までに建物で使われる仕上げ材の熱容量の数値を以下に示します。上から順に数字の大きなものほど、同じ温度でも触ったときに冷たく感じます。

アルミニウム 200W/mK
鉄(鋼材) 53W/mK
ステンレス 15W/mK
コンクリート 1.6W/mK
タイル 1.3W/mK
木材 0.12~0.19W/mK
たたみ 0.11W/mK
しっくい 0.7W/mK

上記の数字から、鉄は、コンクリートは33倍、木材の350倍、熱を伝えやすいということが分かります。また一般的には、重いければ重いほど、つまり比重が高い物ほど、冷たさを感じます。

仕上げ材の蓄える熱量について

一つ一つの物質は、熱を蓄えられる量=「蓄熱量」が決まっています。蓄えられる熱容量が大きい材料ほど、熱の移動量が多く、冷たさを感じます。蓄熱量は重さに比例するので、熱の伝わりやすさと同様、重い物質ほど、冷たさを感じることになります。

同じフローリング仕上げをする場合、そのフローリングをコンクリートの上に直接貼るのと、合板などの木材下地の上に貼るのとでは、蓄熱量の大きいコンクリートに貼った方が冷たさを感じます。

熱は仕上げ材を通して下地材へまで伝わっていくため、下地材の蓄熱量に左右されます。ですので、表面の仕上げ材だけでなく、下地材にも注意を払うことが大切です。

仕上げ材の表面仕上げについて

栗床フローリング

仕上げ材の表面がつるっとしているか、ざらっとしているかによっても、冷たさを感じる度合いは異なります。

つるりとした平滑な仕上げほど、肌の密着度が高く、熱が流れやすくなります。表面がでこぼこ、ザラザラしている、例えば、しっくい壁や畳床、無垢材などは冷たさを感じにくい材です。

また同じフローリング材でも、表面の塗装状態によって、感じる冷たさが変わってきます。表面をウレタン塗装などで平滑に仕上げたものは冷たく、表面に被膜をつくらない自然オイル塗料などで仕上げたものは、暖かく感じます。

床仕上げ材の選び方

床仕上げ材

常に足裏が触れている床材。日本人は特に足裏の感覚が鋭いようです。その空間の雰囲気を決める要素として、肌に触れる床材の質感は大きな影響を及ぼしています。少し冷たさのある床材、温かみを感じる床材、適材適所で使い分けることで、空間の雰囲気が変わってきます。

参考までに、床フローリングに使われる樹種ごとの熱伝導率を以下に示します。一言でフローリングといっても、樹種が異なれば、感じる冷たさが異なります。上記の書いたように熱伝導率の大きい(数字の大きい)樹種ほど、冷たさを感じます。

樹種 熱伝導率W/mK
杉 0.087
松(パイン) 0.09
ヒノキ 0.095
栗 0.126

私の事務所では、部屋をどのように使うかに合わせて、床材を選ぶようにしています。

ごろごろと床に寝転んで寛ぐような場所には、熱伝導率の小さい温かみのある柔らかな杉の床材や畳、カーペットが適しているでしょうし、ワークスペースなどのちょっと気を張っていなければならない場所には、熱伝導率の大きいタイル貼やモルタル床、少し硬めのフローリング材などを選びます。

見た目だけではなく、その材を触った時の質感(冷たさ・あたたかさ)も考慮し、仕上げ材を決めていくのがポイントです。