規格化住宅「ユニベールハウス」、新たなプロジェクトがスタートします。こちらの住宅は、新潟市のユニベール不動産と共同して作る分譲住宅です。既に住む方が決まっているオーダー住宅設計とは異なり、どんな住まい手でも使い勝手がよく、心地よく住める普遍性のある家を提案していかなければなりません。特定の住まい手が決まっている場合、その方とのヒアリングを通して、かなりカスタマイズした特殊解となるケースもあるのですが、今回求められているのは、普遍性。フツーに気持ちの良い、過ごしやすい家をテーマとしています。
今回の計画地は、新潟市西蒲区の岩室。市街地からは少し離れた、のどかな田んぼの風景が広がる郊外地域です。さっそく設計に取り掛かっていきたい所ですが、設計を始める前に必ずやっておかなければならない手続きがあります。それらを以下に説明していきます。
法的条件の調査
設計に取り掛かる前にまず最初に行うことは、計画敷地の法的条件の調査です。計画敷地には、
- どんな用途の建物を建てても良いのか(用途制限)
- どのくらいの床面積まで建てられるのか(容積率制限、建ぺい率制限)
- 建物の高さはどこまで可能か(高さ制限、斜線制限)
- 隣地との離れはどのくらいとればよいのか(壁面線後退制限)
などなど、さまざまな規制が掛けられています。土地を購入した後で、希望していた建物が建てられない!なんてことの無いよう、購入前に必ず敷地条件を調査することが必要です。通常は、土地の不動産販売情報に法的条件が記載してあると思いますが、新潟市内であればウェブで法的条件を照会することができます。建ぺい率や用途地域などの専門用語で表記してあるので、不明な点があれば不動産屋さんか設計士へ聞いてみましょう。
敷地の現地調査
法的な条件を把握した後は、実際に現地を訪れます。不動産資料では把握できない詳細な事項を、現地で確認する必要があります。現地で確認すべき項目として主な項目を下記にリストアップします。
- 敷地境界の確認(境界杭はあるか、隣地境界に塀などがあるか)
- 前面道路の幅員の確認(前面道路の幅寸法)
- 給排水の引き込みの有無(給排水の引き込みは既に設置されているかどうか)
- 電線や電柱などの位置
- 敷地地盤レベルと道路や隣地との地盤レベルとの差はあるか
条件によっては、建物の建設費の他に更に費用がかかる場合があります。給排水の引き込みがなければ、新たに引き込み工事の費用が掛かりますし、隣地境界に古いブロック塀があれば別途解体費が掛かります。不動産情報には、表示されていない条件を事前に把握しておくためにも、現地確認は必ず行いましょう。
周辺環境の調査
敷地自体を確認するのはもちろん、周辺環境を確認するのも大切です。できれば車を降り、周辺を歩いて散歩してみることをおススメします。住み始めてから思っていた住環境とは違っていた、などという事の無いように。確認すべき主な例として、
- 平日(週末)の朝、昼、夕方の時間帯はどんな音がするのか?(静かな場所・賑わいのある場所なのか?)
- 車の通行や人の通行量は、どの程度なのか?(車の走行音や通行人の視線が気になるかどうか)
- 日当たりや風の抜けはあるか?(隣に建つ建物によって日当たりが変わることがある)
- どの向きにどんな風景が見えるのか?(視線の抜けがあるか?室内から望める風景はあるか)
- 周辺に買い物をするスーパーなどはあるか?
- ごみ捨て場はどこにあるのか?
など、確認項目は多岐に渡りますが、実際にその周辺を歩いてみて、自分がその場所を気に入るかどうかが最も大事。その場所の雰囲気が気に入らなければ、どんなに良い家を建てたとしても、心地よく住むことは出来ません。全てがパーフェクトな敷地を探すことは難しいのかもしれまんが、ちょっとマイナスな点があったとしても、それ以上のプラスな点があれば、マイナスを補うこともできます。例えば、とても景色の良い方向がある、車が通らず静かな環境である、などなど。少し時間を掛けて、何度か周辺を散歩してみましょう。