カウンター・テーブルの無垢材を選ぶポイント

「ダイニングテーブルに無垢の一枚板を使いたい」
「書斎カウンターを個性ある無垢材にしたい」
「長く使うものだから本物の無垢の板を使いたい」

家を建てる際、こだわりのポイントに無垢材を使いたいと考える方は多いのではないでしょうか。しかし無垢材をどう選んでよいか分からない、どこで探せばよいか分からない、どのくらいの値段なのか分からない方が大半のように思います。設計を仕事にしている私でさえ、分からないことの方が多いくらいですので。

私の事務所にも、無垢材をどう選べばよいか分からないのでアドバイスがほしいと相談される方が年々増えてきているように感じます。今回はそんなあなたのために、無垢材の選び方のポイントを書きたいと思います。

    1. どうやって無垢材を選べばよいのか
    2. 無垢材にはどのような種類があるのか
    3. 無垢材を取り入れるにはいくらかかるのか
    4. 無垢材の加工方法
    5. 無垢材の欠点(デメリット)は

どうやって無垢材を選べばよいのか

一言で無垢材といっても、赤みのある重厚な無垢材、白い柔らかな表情の無垢材、長さのあるカウンター材、幅のあるテーブル材、などなど数えきれないほど木の種類があります。といっても、無限に選べる訳ではありません。使う場所が決まっていれば、必要な長さや幅などの寸法も分かっているでしょうし、予算にも限界があるはずです。まず選ぶための手がかりとして、以下の3点を決めることから始めると良いと思います。

  • 購入予算(いくらの予算で手に入れたいのか)
  • 必要な大きさ(長さ、幅、厚さなどの材寸法)
  • 自分の好み(好き嫌い)

購入予算について

無垢材は同じ大きさの板でも、樹種や杢目などの違いで1枚数千円から上は数百万までと大きく金額が異なります。無垢材の値段は、おおむね木の種類によって決まりますので、大体の予算が決めてあれば、この辺りの樹種で選べばよいのだな、と目途がつきます。杉や松(パイン)などの成長の早い木は安め、ウォルナットやカリンなどの成長が遅い木は高め。国内で比較的手に入りやすい木は安め、手に入りにくい木は高めになります。また木目の詰まった材や特殊な杢目が出ているほど金額が上がります。

必要な大きさについて

当然、使う場所によって必要とする大きさは変わってきます。テーブルであればある程度の巾が必要でしょうし、カウンターであれば長さが必要になってきます。無垢材は自然の木を製材したものですので、長さ、幅、厚さとも全て違っています。大きめの寸法で無垢材を購入し、カット加工すれば必要な寸法の材は手に入りますが、必要以上に大きな材を買う分、割高になってしまいます。ちょうど良い寸法の材を探すように心掛けてみてください。おのずと選べる材が絞られてくるはずです。

自分の好みについて

予算も手ごろで、必要な大きさが確保できる材が無事に見つかったとします。しかし一番大切なのは、その無垢材を自分が気に入るかどうかです。この点だけはアドバイスをすることができません。個人的な好き嫌いですので。無垢材をじっと眺め、触りごこちを試し、匂いを嗅いでみてください。この木、好きだな~となれば買い、あまり感情移入できないな~となれば、止めておく。無垢材は、一度購入したら長く使うものですので、気に入るかどうかはとても重要です。もし購入するまでに時間的余裕があるのなら、その場では購入せず、一度家に帰ってじっくりと考えてから決めるのが良いと思います。その場の勢いだけで決めてはいけません。(場合によっては、材木屋さんに取り置きしておいてもらう手もあります。)

無垢材にはどのような種類があるのか


樹種は限りなくあります。といっても、国内市場で流通している手に入る材の中から選ばなくてはいけないので、無限ではありませんが。樹種全てを挙げていてはきりがないので、選ぶ際に考えておく指標を下記に書き出します。

色目:濃い―淡い
硬さ:硬い―柔らかい
端部の形状:耳あり―耳なし(端部に樹皮の部分が残っているか―カットされてストレートになっているか)
木目:はっきりとした木目-おとなしい木目
香り:香りがある―香りがない
質感:ざらっとしている―さらっとしている/冷たい―暖かい

無垢材を取り入れるにはいくらかかるのか

無垢材の値段はそれこそピンからキリなのですが、それでは参考にならないので、仮に一枚7万円程度の表面を仕上げてない無垢板をテーブル材に仕立てるとした場合の金額を計算してみます。

無垢板7万円
+表面サンダー(やすり掛け)仕上げ2万円(材の大きさにより異なる)
+オイル塗装仕上げ1万円(材の大きさにより異なる)
+輸送料2万円(配送地により異なる)
+別途テーブル脚の用意2万円(何を選ぶかによって異なる)
合計14万円→消費税を足して15万円前後。

無印良品で一番大きなテーブルを購入しようとすると約12万円ですので、そのテーブルに数万円足すだけで購入できることになります。もしテーブルトップの無垢材に15万円のものを選べば、合計23万円になりますが、それでもまったく手が届かない金額ではないと思います。無垢材のテーブルであれば、それこそ一生使えますので。もし50年使うとしたら、23÷50年=4,600円/年で無垢材テーブルを手に入れることができます。

上記はテーブルに仕立てる計算をしましたが、カウンターや飾り棚として建物に組み込む場合は、大工さんの取付加工費用がかかります。

無垢材の加工方法

できればカット加工せずにそのまま使えれば一番なのですが、カウンターとして組み込む場合など、その場所に入るようにカットする必要が出てきます。その際に注意する点としては、その無垢板のどの部分を見せるかを考えてカットすることです。節の出ている部分をちょうど真ん中に配置する、杢目の出ている方を手前の見える側に配置するなど、どこカットし、どの向きにするかで木の印象がずいぶんと変わります。(どの部分をどう使うかを考えることを「木どり」すると言います)

購入前には必ず立て掛けてある無垢材を、横に倒して置いて、見せてもらいましょう。立て掛けてみていた感じとはまた違ってみえるはずです。試しに無垢材の左右の向きを変え、次に裏返してみてください。向きを少し変えただけでも、印象が違ってみえるはずです。最初はあまり印象が良くなかったけど、見る向きを変えてみたら印象が良くなったこともあります。

「木どり」が決まったら、木の表皮の部分「耳(みみ)」をカットするか、無くすか、を決めていきます。耳を残せば、木らしい荒々しさが残りますし、耳をカットすれば端正な整った印象になります。

次に仕上げの方法を決めていきます。表面をサンダー仕上げにすれば、表面が平滑になり、杢目が目立つようになります。が、材木を製材する際に残ったノコ目(のこぎりの歯跡)を残す方法もあります。よりワイルドな表情を求めるのであれば、ノコ目のまま、といった選択肢もあります。

無垢材の欠点(デメリット)は

無垢材も、良い点ばかりではありません。自然の素材であるだけに、ひび割れが入ったり、反りがでたり、といった可能性がない訳ではありません。きちんとした材木屋さんで購入することはもちろんですが、もし仮にそのような現象が起こった場合には、引き取り修理や現場修理で対処してもらえるところから購入することをおススメします。

また定期的なメンテナンスも必要となります。(といっても大げさなものではなく、年に数回オイル拭きをしてあげる程度ですが。)メンテナンスが面倒な方にはお勧めできないかもしれません。メンテナンスを繰り返すことで、木の表面は年々、つやが出て表情を変化させていきます。経年変化が愉しめることは無垢材の特典です。

ここぞといった場所に、無機質な集成材や既製品カウンターではなく、個性的な表情の無垢材を取り入れれば、その空間の雰囲気はがらっと変わります。いつも使うダイニングテーブルや書斎のカウンターなど、あなたの気に入った場所に無垢材を取り入れてみてはどうでしょうか。