菊竹清訓設計「都城市民会館」を訪れて

宮崎県都城(みやこのじょう)市に建つ菊竹清訓設計の「都城市民会館」を見に行ってきました。こちらの建物は、私がまだ建築を学び始めた学生の頃、本を見て「なんだ?このすごい建物は!」と衝撃を受けた建物の一つです。トゲトゲの突起を持つ巨大な巻き貝のような外観は一度目にしたら忘れられないものでした。1966年の完成から53年経った今でも、地方都市の平和な町並みの中に明らかな異物として存在感を放って建っていました。

建物の中心に要となる鉄筋コンクリートの構造体を置き、その要の部分から鉄骨の門型フレームが扇状に広がり、円弧型の屋根を吊り下げています。噂によれば、ベビーカーの幌がデザインモチーフになっているとか。確かに昔のベビーカーの幌の形によく似ています。屋根形状が円弧でなく非対称となっているのは、どうやら内部空間の必要性から来ているようです。一方が客席空間、もう一方がステージ部分となっており、部分毎に要求される奥行きや天井高が異なり、それがそのまま外観の形に現れている様です。(既に建物は閉鎖中で、中に入れませんでしたので、私の予想でしかないのですが。)

気持ちがざわつくような圧倒的な外観。その「奇抜さ」は、今でも衰えること無く、そこに存在していました。まるで、その周辺環境を拒むかのように。このような建ち姿が果たして良いのかどうか、私には判断がつきません。建築というのは、(最初は違和感がありながらも)その場所に時間とともに馴染み、人々に大切に利用され、自然とその町に溶け込んでいくものだと思います。この建物が、今でも異物感ある建物だということを、良い意味ととるか、悪い意味ととるか、設計に携わる者として、じっくりと時間をおいて考えてみる必要があると、感じました。

都城市民会館 住所:宮崎県都城市八幡町11−1
2019年4月の時点で、建物は閉鎖中。(その後、2020年3月に建物は解体されました)

菊竹清訓「都城市民会館」
菊竹清訓「都城市民会館」

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