「松庵の家」庭の桜が満開になったので見にきませんか?と、お施主さんからのお誘い。ご厚意に甘え、花見に伺ってきました。こちらの家のすぐ目の前には、家の高さよりも高い、立派な桜の樹が以前よりありました。この桜を見るため、家の中には、様々な仕掛けを設けています。
一番の仕掛けは何と言っても、屋根上に設けた物見デッキ。梯子を登り、屋根上へひょいと顔を出すと、、、目の前に満開の桜の花が広がります。通常ですと、桜の花は見上げて見るものです。このように目の前に桜の花を見るということは、そうそう無いでしょう。間近に見る桜は圧巻です。
建物の建つ地域は、住居専用地域で、高さ2階までしか建てられません。ですので、屋根の上に上がると、遠くまで視線が広がり、とても開放感があります。しかも、屋根の上に向けて窓を設けている家は少ないので、他の家からの視線も案外気になりません。ご主人は、たまに屋根の上に登ってぼーっとしたり、夜更けに望遠鏡を覗いて天体観測をしているそうです。なんとも贅沢な空間となっています。
こちらの敷地には、もともと多くの樹木が植えられていました。それらの樹木を避けるように、くねくねとした建物平面形状となっています。各部屋には、高さや幅、方位の異なる窓が設けられ、それぞれの窓の外には、異なる樹々の景色が見えるという趣向を加えています。当然、桜の花は、寝室からも、廊下からも、浴室からも、それぞれ異なる角度、異なる景色で望むことができるようになっています。家の中を移動すると、ここからも、そこからも、と様々な桜の表情を望むことができるのです。写真4枚目は、浴室の窓から望む桜の風景。優雅に桜を見ながら入る風呂とは。なんとも最高ですね。
花見の後には、夕食までごちそうになりまして。自分の設計した家で、お施主さんの手料理をご馳走になるなんて、設計者冥利につきます。本当にありがとうございました。