京都、重森三玲庭園美術館を訪れてきました。こちらは作庭家、重森三玲の自邸。そこは重森三玲が自ずからの世界感を表した庭がありました。
こちらの邸宅は、京都の昔ながらの町の中に位置しています。気をつけていなければ、庭園美術館とは気がつかず、通り過ぎてしまいそうなほど、素っ気ない外観。が、一歩その塀の中へ足を踏み込めば、驚くような庭が眼前に広がります。
ごつごつとした荒々しい石が、あちらこちら無数に配置されています。大胆かつ繊細。一見、ランダムに並べられたかのように見える石は、見れば見るほど周到に考えられ、そこに必然性を持って、据えられたことが次第に分かってきます。これをバランスの妙というのでしょう。じーっと見ていると、動かない石が意思を持って動きだすかのような不思議な感覚を覚えます。
庭の奥行きは3〜4間程度。塀の直ぐ向うには前面道路。数m先の隣地には境界に隣接して隣家が迫っています。決して広くはない敷地の中に、これでもかと思いを詰め込んだ重森三玲の想い。その想いゆえか、実際の広さ以上の奥行きを感じる空間となっています。この庭を見ていると、まさか塀の外に普通の町並みが広がっているなどとは、想像もつきません。
住宅街の中、塀の中に一歩入ると、そこに広がる小宇宙。小さな中に自ずからが考える世界観を表現する。これが作庭の真髄なんだと、私は理解しました。狭小空間の中に世界感(時間)を表現する茶室と同様に、庭も世界感(空間・時間)を作り出すという意識を持つことが大切なんですね。
重森三玲庭園美術館
住所:京都府京都市左京区吉田上大路町34
電話:
※見学には事前予約が必要です。