ハンス・J・ウェグナーのデザインによる椅子「Yチェア」。インテリア雑誌などで目にした方は多いかと思います。正式名称はCH24ですが、Y字型に分かれた背の形状から、通称「Yチェア」と呼ばれています。背もたれと肘掛けが一体となった馬蹄形の笠木を始め、各部分とも丸みを帯びたデザインが特徴。曲線を各部に配した外見は、まさに優美。女性的な柔らかな印象を受けます。ちなみにこの優美な曲線、ウェグナーはチャイニーズチェアから着想を得たそうです。全世界で70万脚以上も販売されていることから、地域性を超えて愛されるスタンダードな形、まさにグローバルデザインだということが分かります。
実は私、お酒を飲む時やリラックスする時など、ちょっと行儀が悪いのですが、椅子の上にあぐらをかいて座りたい派。そんな私にとって、ペーパーコードで編み込まれた広い座面は、あぐらをかいても十分なゆとりがあります。日本人にとっては、やや大きめの作りですので、背もたれに寄りかかり、肘掛けに肘をつけば、ゆったりした時間が過ごせます。ペーパーコード座面自体は、以前に書いたJ39と座り心地は同じものの、座面がやや後方へ傾斜しているためか、よりくつろぎ度が高いように感じます。
余談ですが、こちらの椅子には、新、旧2つのモデルがあります。(間違いなく、どちらも正規品です)新旧2つの違いは何かといえば、背もたれの角度。新しいタイプは背もたれの角度が大きく斜めになっており、旧タイプは角度が小さく水平に近くなっています。個人的には旧タイプの水平に近い方が、落ち着きがあって好みなのですが、そこは使う人の好みによる所かもしれません。ウェグナーがデザインした当初の形は当然旧タイプとなります。ただし、旧タイプはビンテージ品などでないと手に入りませんのでご注意ください。現行品はすべて新タイプが販売されています。
やや後方へ寄りかかるような姿勢となるため、デスクワークや食事をするのにはちょっと向かないのかもしれませんが(肘掛けが食事をしたり、作業する際にちょっと邪魔になります)、本を読んだり、映画を見たり、お酒を飲んだりと、くつろいだ時間を過ごすのには最適な椅子だと思います。
椅子の座り心地というのは、実際に座ってみなければ分かりません。その人の体格やどんな時に座るのか、によっても座り心地や評価は変わってきます。できれば購入前に実際に一度座ってみることをおすすめします。ブログで紹介している椅子は、事務所に来ていただければ実際に座ってみることができます。新潟近郊の方でぜひ体験してみたいという方は、事務所までご連絡ください。
CH24 Y-Chair
デザイナー:ハンス・J・ワグナー(デンマーク)
発表年:1950
販売メーカー:カール・ハンセン&サン
サイズ:W550×D520×H730 SH420 (mm)
価格帯:9万円〜