谷口吉郎設計「金沢市西町教育研修館(旧石川県繊維会館)」を訪れて

金沢駅から歩いて10分、旧石川県繊維会館を訪れる。意識していなければ、通り過ぎてしまうほど控えめな外観。(現に私は一度、通り過ぎてしまいました。)しかし、よくよく見れば規則的に並んだ水平窓やキャンティレバーで持ち出した2階から上の階など、随所にル・コルビジェからの影響を見ることができます。

エントランスを入ると、控えめな外観とは対照的に、上階へと吹き抜ける堂々としたエントランスホール。上部に設けられた高窓から落ちる柔らかな光。螺旋状に上へ上へと上がっていく白い階段。1階部分の重厚な石張り仕上げと対照的に、頭上には真っ白に仕上げられた浮遊するような螺旋階段。まるで暗い井戸の底から上を見上げているような気分。1階の壁をよく見ると、亀甲型の石張り仕上げとなっている。ああ、そうか。1階の空間は亀を表し、上階の階段は飛んでいる鶴を表しているのか。クライアントである繊維組合にとって「鶴亀」は繊維柄として縁起良いモチーフであった。その鶴亀を空間要素へと見立て、下手な表現にならず、スマートな空間へと纏め上げてしまう設計者の手腕に感動しました。1952年竣工、谷口吉郎設計。

金沢市西町教育研修館 web
住所:石川県金沢市西町3-16
開館時間:9時~19時
休館日:火曜日
見学について:受付にて見学許可を得てください
電話:076-220-2449(金沢市教育委員会学校指導課)

谷口吉郎設計石川県繊維会館 谷口吉郎設計石川県繊維会館 谷口吉郎設計石川県繊維会館 谷口吉郎設計石川県繊維会館