フランク・O・ゲイリー設計「MITスタータ・センター」を訪れて

スタータ・センター外観01
エーロ・サーリネン設計のMITチャペルと道を挟んで反対側に位置するフランク・O・ゲイリー設計の「MITレイ&マリア・スタータ・センター」へ。

グリッド配置で並んだ同じ通りの静的なビル群とは明らかに異なる表情をしています。斜めに傾斜した壁面や曲面を描いた壁面がランダムに立ち並ぶ、激しいくらい動的な外観をしています。形だけでなく、各々の壁面の仕上げは、シルバーの金属板が張られていたり、重厚なレンガ張りだったり、多様な仕上げ材となっています。異なる台形や円柱など様々な形状の塔が一カ所に密集し、一つの建物群が構成されています。

スタータ・センター外観02

正直、私はこの手の建物はあまり好きではありませんでした。上っ面だけを派手に作り、見た目だけで勝負している、そんな建物でしかないと思っていました。しかし今回、この建物の内部空間を体験して、その考えは大きく変わりました。つくづく建築は、ただ見て判断するだけでなく、実際に空間体験してみることが大事だと改めて思い知りました。

スタータ・センター内部空間01

外観だけでなく内部空間も、外観と同様のさまざまな形の建物が組み合わさって出来上がっています。各建物は、渡り廊下や階段、吹き抜けなどで繋がっています。

様々な形状や要素の建物が複雑に絡み合って出来た隙間を通り抜けていく移動感覚は、何物にも代えがたいユニークな空間体験でした。建物の中を歩いていると突然、上部から日が射し込んできたり、こちらからあちらの空間が見えたり、さっきまでいた場所が吹抜けの向こうに見えたり。移動するに従って空間はアップダウンを繰り返し、クネクネと曲がり、気がつくと元いた場所に戻っている。そんな不思議な空間体験をすることができます。

スタータ・センター内部空間02

建物の中を歩いていると、街の中を歩いている、そんな感覚に陥ります。建物間に生まれた隙間のような空間には、ベンチやテーブル・椅子、アート作品が置かれ、憩いの場を提供しています。街の中のポケットパークのように、ひとりでじっと本を読んだり、みんなでコーヒーを飲んで談笑したり、と自由な場として存在しています。

スタータ・センター渡り廊下

カラフルな壁面の色使いによって、移動するに従い、めくるめくように目の前の風景が切り替わっていきます。純粋に愉しく、ついつい歩き回ってしまう、そんな建築空間が楽しめます。まるで一つのインスタレーション空間を体感しているような気分になりました。

スタータ・センターラウンジ

MITレイ&マリア・スタタ・センター
住所:32 Vassar St,Cambridge, MA 02139,アメリカ合衆国
開館時間:不明
※見学に関しては施設に直接問い合わせください。
私が訪れた際には、エントランスドアは出入り自由でした。

  • フランク・O・ゲイリー設計「MITレイ&マリア・スタータ・センター」
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