敦賀原子力発電所を後にし、半島裏側の美浜原子力発電所へと向かう。
峠を越えて、車で約30分。
目の前に白い砂浜と青い海が広がる。
車を止め、砂浜を歩く。
美しい風景の先、異質なものに目が止まる。
初めて見るのに、見たことのある風景。
忌野清志郎の「サマータイム・ブルース」が頭の中に響く。
「人気のない所で泳いでいたら 原子力発電所が建っていた」
「電力は余ってる 要らねえ もう要らねえ」
現在、国内すべての原子力発電所は、停止または定期点検中であり、
稼動しているものは一つもない。
火力や水力発電所がフル稼働しているからとはいえ、
電力が不足するというような話を聞かなくなった。
安全性に不安のある原子力発電に頼るのではなく、
多少発電コストが掛かったとしても、
他の安全性の高い発電方法を選択するのがベターではないのか。
夏には、この砂浜は海水浴客でいっぱいになるという。
のんびりとした平和な空気の中に建つ、不穏な存在。
このコントラストの違いはいったいなんなのか。
暴力的な力を宿しながら、無表情を装って、知らん顔して建っている。