「上越高田の家」のスタディ模型の内部を写真に撮ってみました。模型の内部を覗くと写真のように見えます。平面図や断面図などの2次元情報に比べて情報量が多く、どのような空間となるのかがイメージしやすいのではないでしょうか。模型を使えば言葉を使うよりも、より感覚的なコミュニケーションが可能になります。
複雑な空間構成であればあるほど、その空間を実際に経験した事がなければ、どんな雰囲気になるのかをイメージするのは困難です。模型の中を覗いてみることで、なるほど、こんな空間になるのか、と初めて頭にイメージが浮かび上がってくることも多く、依頼者だけでなく、そのような事は経験を積んだ設計者にとっても同じです。
食べたことのない食べ物の味をイメージできない様に、経験したことのない空間はイメージできない、つまり設計することはできません。本来であれば、似たような空間を訪れて実際に経験してみるのが一番良いのですが、そんなに都度よく同じような空間がある訳ありません。ということで、模型を作って中を覗き、疑似的に空間体験し、その体験から浮かんだアイディアを元に、更に計画案を磨き上げていく、その作業が設計にとっては無くてはならないものなのです。
といっても、最近のIT技術革新によってヴァーチャル体験技術は飛躍的に技術向上していますので、その内にPC上の再現にとって代わられるかもしれません。少なくとも模型というモノは、小さくとも現実的なモノですので、手に取って見える現実という意味で、2020年の現時点では、3Dヴァーチャル映像よりも価値があるのではないかと、私は考えています。