ボストン市街から列車に乗って約1時間。エクセター(Exeter)駅近くにある「フィリップ・エクセター・アカデミー図書館(phillips exeter academy library)」を訪れました。
この図書館は、高校のキャンパス内に建つ付属図書館です。
青々とした芝生と樹々に囲まれた広々としたキャンパスを歩いていくと、赤茶色のレンガに覆われた四角い建物が見えてきます。

規則正しく並ぶ窓と、力強いレンガの柱梁。飾り立てることなく端正にまとめられたその姿は、どこか古典的で、とても閉鎖的な印象でした。外から見ると、どこが入口なのかさえ分からないほど素っ気ない建物です。
ところが、一歩中へ入ると、その印象は大きく変わりました。外観からは想像できないほど豊かな空間が広がっていたのです。

この内と外の大きなギャップは、とても強く印象に残りました。
建物の中へ入ると、まず目に飛び込んでくるのが、中央に設けられた大きな吹き抜け空間です。
吹き抜けを囲む壁には大きな円形の開口が穿たれ、見上げると上階の書架が幾重にも重なって見えます。
ハイサイドライトから差し込んだ光は、十字形の梁に反射しながら、吹き抜けの底へ静かに落ちてきます。

ぐるりと見渡せば、どの方向にも本棚が並び、まるで本に囲まれているような感覚になります。
図書館というより、本の井戸に入り込んだような、不思議な空間でした。
カーンの建築を見ていて、もう一つ強く感じたのは、使われている素材の少なさでした。
レンガ、コンクリート、木、トラバーチン、ガラス、アルミ。
外も中も、それだけで構成されています。それなのに、単調さはまったく感じません。
人が留まる場所にはレンガや木、トラバーチンなどの柔らかな素材が使われ、吹き抜けやホールといった象徴的な空間にはコンクリートやガラスなどの硬質な素材が使われていました。
素材を使い分けることで、人が安心して居られる場所と、人のスケールを超えた空間が、自然に生まれているように感じました。

もう一つ印象に残ったのは、建物の大きさからは想像できないほど、細部まで丁寧に考えられていることでした。
閲覧テーブル脇の窓には外光を調整するための引き戸が設けられ、荷物を置くための収納や、ゴミ箱までもが美しく納められています。
こうした小さな工夫の一つひとつから、この建物が使う人のことを大切に考えて設計されていることが伝わってきました。
本や写真で見ていたルイス・カーンの建築には、論理的で少し硬質な印象を持っていました。
しかし、実際にその空間を歩いてみると、その印象は大きく変わりました。
論理的でありながら、とても人間的な建築でした。使う人に静かに寄り添う、そんな優しさを持った建築だったのです。
phillips exeter academy library
住所:21 Rear Elm St, Exeter, NH 03833 アメリカ合衆国
開館時間:Monday – Friday 8:00 – 4:00(その他の休館日はwebで確認ください)
受付カウンターで芳名帳に記名すれば見学が可能です。






























