今回は、技術的な話を少し。「立川の3世帯住宅」では、柱と梁、梁と梁の接合部分に金物工法を採用しています。通常の木造では、柱や梁部材が取り合う部分を凹凸状に加工し、組み合わせることで接合をしています。この取り合う部分のことを建築用語で仕口(しぐち)と呼びます。
今回、通常の凹凸を組み合わせる仕口ではなく、金物工法を採用したのは、組み合わせ部分の耐力低下を考慮してのこと。凹凸状に加工するということは、柱(梁)を断面を切り欠くこととなり、その部分の耐力が低下してしまいます。金物工法の一番の利点は、金物を介して接合することで、構造部材の欠損を最小限に抑えられることです。
梁の欠損面積が減ることで梁の材料面積も減らすことができ、建設費を抑えることが可能になります。ただし、金物代金分が増えているので、通常工法よりは割高となりますが、構造耐力が増していることを考えれば、それを補って余りあるのではないとか思います。
施工側としては、施工の寸法精度の細かさや事前打合せの煩雑さから、金物工法はやや嫌われている感がありますが(笑)その煩雑な施工手間を惜しんででも、採用するメリットがあると判断し、今回採用に踏み切りました。少し手間取るかと思っていた建て方作業も、スムーズに進んでいます。