福岡より玄海原子力発電所へと車を走らせる。
もう10月も終わりだというのに、気温は27度。
日向にいると、蒸し暑ささえ感じるほどだ。
唐津市街を抜け、峠を越える。
目の前には真っ青な玄界灘。
青い海の手前には、無機質な白い建物群。玄海原子力発電所だ。
発電所の向かいにある半島へと向かう。
釣り客の後をついて細い道を下っていくと、
突如、原子炉建屋が目の前に現れる。
あまりの近さにぎょっとする。
距離にしておよそ300m。無防備ささえ感じる。
想像もできないほど暴力的な力を内蔵している原子炉建屋。
その力とは無関係なほどあっけらかんとした外観。
今まで国内のいくつか原子力発電所を見てきたが、
ここの印象は他とは違ってずいぶんオープン。
隠されているというよりも、当たり前にあることで、
却って忘れ去られているかのような雰囲気。
1号機は、すでに運転開始から30年以上の時を経ている。
老朽化に対して今後、どのように対策を立てていくかが、今まさに問われている。
平和と危機は、常に背中合わせだ。