高崎哲学堂(旧井上房一郎邸)を訪れてきました。タイトルにはアントニン・レーモンド設計と表記しましたが、正確には直接的にレーモンドが設計をした訳ではありません。当時、麻布に建っていたレーモンド自宅兼事務所(こちらはレーモンドの設計)に深く感銘を受けた井上氏が設計者レーモンドの許可を得て、建物の実測を行い、その資料をもとに建てたのが、こちらの旧井上房一郎邸ということです。
平面方位が反転していたり、事務所棟がなかったりと、もともと見本にした建物とは少し変えてあるそうです。現代風にいえば、レーモンドfeat.井上房一郎といったところでしょうか。
ごつごつとした表情の杉丸太や合板という重厚な素材を使いながら、出来上がっている空間の質は軽快です。障子を通して外から射し込む陽の光が柔らかく室内を満たしています。昔ながらの民家の延長線上にあるような懐かしい雰囲気の空間。
細かな納まりに目をやれば、ひとつひとつ丁寧に考えられていることが分かりますが、全体としてみるとデザイン、デザインしていなくて、嫌みなく自然に納まっています。素直な気持ちのよい空間。椅子に座ってぼーーっとしていると、時間があっという間に過ぎていってしまいます。
高崎哲学堂(旧井上房一郎邸)web
住所:群馬県高崎市八島町110-27(高崎市美術館内)
開館時間:3月~11月は10時~18時、12月~2月は10時~17時
休館日:月曜日(祝日は開館し翌日休館)、祝日の翌日、展示替期間、年末年始
入館料:大人100円、大高生80円(企画展は別料金)
電話:027-324-6125(高崎市美術館)