設計事務所との打合せというと、図面を広げて壁や窓の位置を決めている様子を思い浮かべる方が多いかもしれません。
では、その打合せを終えた図面は、どのようになっているのでしょうか。
こちらが、実際の打合せで使っている図面です。

赤や青の線、囲みや矢印、図面の脇に描かれたメモやスケッチ。
一見すると、雑然とした図面に見えるかもしれません。でも、この書き込みは図面の修正ではありません。打合せで交わした会話の記録であり、一緒に考えたことの跡なのです。
図面を見ながら、暮らしをイメージする
打合せでは図面を広げますが、実際に話しているのは壁や窓の位置ばかりではありません。
例えば、収納の話になると、こんなやり取りをします。
「この間取りなら、掃除機はどこに仕舞いましょうか?」
「リビングから、すぐ使える場所がいいですね。」
「それなら、この収納を少し広げましょう。」
そんなやり取りをしながら、図面には少しずつ書き込みが増えていきます。
洗濯の話になることもあります。
「洗濯物はどこに干しますか?」
「基本は室内干しなので、ここかな。」
「ではここに、ハンガーパイプを設けましょう。服を畳むスペースも必要ですね」
こうして図面には、メモや寸法が少しずつ書き加えられていきます。
さらに、暮らし方を確認しながら
「インターネットは利用予定ですか?」
「ひかり回線でWi-Fiルーターは使う予定です」
「それなら配線しやすいよう、先に配線をしておきましょう」
そんな話が続いていきます。
一見すると図面とは関係のない話ばかりですが、こうした会話が、一つひとつ図面の中に反映されていきます。
暮らしを具体的に考えていくと、話題はさらに細かなところへ移っていきます。コンセントの位置やスイッチの高さ、照明の点け方まで決めていくと、「そんなところまで考えるんですね」と驚かれることがあります。
一度に決める必要はありません
家づくりでは、本当にたくさんのことを決めていきます。
打合せを重ねる中で、「こんなに決めることがあるんですね。」と言われることがあります。ただ、すべてを一度に決めるわけではありません。
暮らし方は、住み始めてから少しずつ変わっていくものです。
子どもの成長。
趣味の変化。
家具の買い替え。
そんな変化もあるので、「ここは住みながら考えましょう。」と、お話しすることもあります。
一方で、コンセントや配線のように、後から変えることが難しいものは、設計段階でしっかり確認します。
また、細かな納まりや寸法については、方向性を相談しながら、設計者が責任を持って判断することもあります。
家づくりは、一つひとつ整理しながら進めていくものです。だから、最初からすべての答えを持っている必要はありません。
打合せを始めた頃は、まだ漠然としていた暮らしのイメージも、回を重ねるごとに少しずつ形になっていきます。
そして打合せを終える頃には、図面はたくさんの書き込みで埋まっています。
赤や青の線、囲みや矢印、図面の脇に描かれたメモやスケッチ。それは、家づくりを進める中で、一緒に考えてきた記録です。