
最近は、コスパやタイパという言葉をよく耳にします。仕事では、効率はとても大切です。でも、暮らしまで効率だけを求めると、少し味気ない。
暮らしには、効率だけでは測れない豊かさがあります。
季節の花を飾ったり。
畳に寝転んだり。
障子に落ちる樹々の影を眺めたり。
そんな時間を受け止める場所をつくりたい。そう考えて、この場所を設計しました。
昔の家には、そうした時間を受け止めるための場所がありました。床の間も、そのひとつだったように思います。
床の間と聞くと、昔ながらの床柱と床板を思い浮かべるかもしれません。でも私がつくりたかったのは、そういう形式ばったものではありません。

何かを生み出すわけでもない。
少し役に立たない時間を過ごすこと。
そういう、昔から大切にされてきた豊かさを、今の暮らしの中にも残したいと思っています。
だから、この場所は、ザ・床の間といった風情はありません。けれど、床の間が持っていた空気感や、ゆったりとした時間の流れは、きっと受け継いでいる。
そんな場所になればいいなと思っています。