今回の依頼は、とある製作工場内に事務所スペースを作るというプロジェクトです。新たに事務所を増築するのではなく、現在ある工場スペースの一部を間仕切り壁で区切って、事務所スペースへと改装していきます。
工場内は空調がされてませんので、ただ事務所スペースを作るだけでなく、上の図のように天井・壁・床には断熱材を入れて、ぐるっと事務所を囲うように断熱工事を施し、快適なオフィス環境を実現します。以前、ゾーン断熱の記事を書きましたが、今回も同様の手法です。断熱材で囲われた空間にはエアコンを設置し、冷暖房空調を行います。
間仕切壁を建ててスペースを区画する
工場が稼働している状態で改装工事を進めいくので、加工作業で出る木くずなどが工場側へ飛んでいなかないよう、まずは間仕切り壁を建てて、工事エリアを区画します。場所よって床のレベルが異なるので、場所毎に床レベルを調整しながら壁下地を建て込んでいます。
壁下地工事に続いて、床上げ工事に取りかかっていきます。加工を容易にするため、壁・床の下地材には木造住宅と同様の木材を使っています。大工さんが扱える材料を採用することで、工期短縮し、工事コストを抑えることができます。
ちなみに天井は、既存の天井下地をそのまま利用します。そのまま利用することで、解体費用を削減するとともに、新たに天井下地を作る工事費も削減しています。
断熱材を入れる
2重床としてオフィスの床レベルを上げ、その床下に断熱材を敷き込んでいきます。材料コストを考慮して、床下断熱には壁用のグラスウール断熱材を採用しました。断熱抵抗値当たり、つまり、断熱性能当たりの材料単価を比較すると、グラスウールが最も安く入手できる断熱材です。
床に続いて、天井と壁にもグラスウール断熱材を施工します。断熱材を施工する際に大切なのは、気密性を確保することです。気密性がないと、せっかく断熱材を施工したとしても壁内に気流が発生してしまい、断熱材の性能が発揮できません。今回は気密フィルムを施工することで、気密性を確保しました。基本的な作り方は、木造の外壁を作るのと同じ構法です。気密フィルムの上からは石膏ボードを貼りつけて気密フィルムを押さえます。
細かな展示棚などの造りつけ工事も、この段階で行います。大工工事だけでなく、電気配線、建具、など様々な職人さんが関係する部分は現場打合せして納まりを検討していきます。
石膏ボードが貼り終わり、ここまでで一旦、大工工事は完了です。塗装工事、クロス張り工事、床貼り工事など内装屋さんへと、次の段階へ工事を引き継いでいきます。