無垢フローリング 自然塗料ワックスの選び方

無垢杉フローリング張り工事

粟生津の平屋では、床仕上げ材に杉の無垢フローリングを採用しています。今回、採用した無垢フローリング材は、表面塗装がされていない無塗装品でしたので、住み始める前にフローリング表面にオイルやワックスなどで塗装を行う必要があります。オイルやワックスで表面塗装をすることで、撥水性を与え、表面に汚れがつきにくくなります。また無塗装品ではなく、既に塗装がされているフローリング材もあります。

表面コーティングをしてないフローリング材は、現場搬入される前は長い期間、倉庫に保管されているため、表面が乾いて油分が抜けている傾向にあります。表面塗装を行うことで油分を与え、本来のツヤや質感を保つことができます。住んだ後にも経年変化で油分が抜けて乾燥していくため、できれば一年に一回くらいは、メンテナンスに表面塗装を行う必要があります。定期的なメンテナンスは、木を長持ちさせることに繋がります。

杉無垢フローリングワックス比較

オイル・ワックスなどの自然塗料と言っても、色々なメーカーから様々な製品が販売されており、選ぶ際には迷ってしまうでしょう。塗料の成分によって、塗装後のフローリングの色目や質感は異なり、室内の雰囲気が変わりますので、慎重に選ぶ必要があります。

今回現場に張った杉フローリングは、色目が穏やかで柔らかい印象の床材でした。触れた印象も、さらっとしており触り心地が良かったので、その質感をできるだけ残したいと考えました。それらの条件を考慮してセレクトした塗料は、上の写真の「蜜蝋(みつろう)ワックス」と「ドライワックス」でした。両方とも天然素材からつくられた自然塗料です。どの様に木の表情が変わるか、現場に張ったフローリングの端材をもらってきて、試しにサンプル塗装をしてみます。

床ワックス比較

左の黄色かかっている方が「蜜蝋(みつろう)ワックス」、右の白い方が「ドライワックス」です。どちらもバターのような脂分が固まったペースト形状をしています。塗料を塗る前に、少し暖かい場所に置いておくと、脂分が溶けて柔らかくなり、塗りやすくなります。布などにワックスをつけて、木の表面に薄く塗り伸ばしていきます。

無垢フローリングワックス比較

塗装後の写真です。左の「蜜蝋ワックス」の方は濡れ色になり、杢目(もくめ)が強く、杉の表情がはっきりと出ました。右の「ドライワックス」の方は、塗ったと言われなければ分からない位、ほとんど変化はありません。手で触れた質感は、「蜜蝋ワックス」はしっとり、「ドライワックス」はさらっとした感じです。

色目と杢目をはっきりとさせ、空間の印象を引き締めたい場合は「蜜蝋ワックス」、杉の柔らかい表情で空間を優しい雰囲気に仕上げたい場合は「ドライワックス」を選ぶのが良いでしょう。

今回は杉材でサンプルを作っていますが、樹種によっては、色がもっと濃く出たり、杢目の出方が変わります。その樹種に合った塗料を選定するには、今回のように事前に塗装サンプルを作ってみて判断するのがおススメです。

また自然素材は日焼けによって経年変化していきますので、経年変化で色が変わっていくことも考慮した上で塗料を選ぶことも忘れないようにしましょう。樹種ごとの経年変化は、こちらの無垢フローリングドットコムがとても参考になります。

床ワックス撥水性比較

塗装した表面に水滴を垂らしてみました。両方とも、水分をはじいているのが分かります。撥水性は、「蜜蠟ワックス」の方がややあるように見えます。濡れた部分をそのままにしておくとやがて水分が木に染み込んできますが、水分をこぼした時は直ぐに拭き取れば、問題なさそうです。

最初に書いたように、経年変化で脂分が抜けてくると、撥水性が低下してくるので汚れがつきやすくなったり、表面がささくれだったりしてきます。そのような事を低減するため、定期的に塗り重ねを行うことが大切です。定期的にメンテナンスを行えば、木はとても良い色目へと変化していくはずです。

フローリングの塗装工事を塗装屋さんに頼まず、ご自分でやってみるのもおススメです。私の事務所では、ご自分で塗りたいという方には、塗り方のレクチャーを行っています。レクチャーを受ければ塗装のやり方が分かるので、定期的にメンテナンスするのも苦になりません。当然、自分で行えば塗装工事費を削減することにも繋がります。きっと想像しているよりも手軽に塗れるはずですので、自分でやってみたいという方は、ぜひお声掛けください。

また基本的に一度、塗ったオイル・ワックスは、同じものを塗り重ねることになります。途中から違う塗料に変えることはできませんので、最初の塗料選定は慎重に行いましょう。