11月中旬、秋のよく晴れた日。室内にぽかぽかと暖かい日差しが差し込んできます。この日は、最高気温15度と秋の新潟らしい少し肌寒い日でしたが、屋内温度は24度、軽装で過ごせるほどの温かさでした。
こちらの建物の建つ新潟でも、秋から春の寒い季節にも、よく晴れた気持ちよい日があります。そんな日に、太陽光を室内に取り入れ、暖房効果を図りたいと思ったことはありませんか。暖房費が上がっている近年、そんな要望を聞くことが多くなりました。晴れた日には、さんさんと降り注ぐ太陽光。光熱費のかからない自然エネルギー、使わない手はありません。(自然エネルギーを利用して暖房することをパッシブ暖房、直接太陽光を取り入れることをダイレクト・ゲインと呼びます)
太陽光を暖房に利用する方法
太陽光を取り入れるのに、特殊な設備が必要な訳ではありません。以下の4点を住まいに取り入れることで、簡単に実現することができます。
- 南面に大きな窓を設けること。
- 窓ガラスの断熱性能を上げること。
- 窓の上には庇を大きく張り出すこと。
- 窓の外に落葉樹を植えること。
4点を実現できれば、上の写真のように、秋から春にかけて南窓からの光が屋内の奥深くまで射しこんでくるはずです。この時期の新潟なら、そろそろ暖房をつけて過ごす頃ですが、写真を撮った日は全く暖房を使わず、一日快適に過ごすことができました。ただ逆に、日差しの無い日には、大きな開口部は熱を逃がしてしまう弱点になってしまいます。熱を逃がさないよう、断熱性能の高いガラス(サッシ)を選択することが重要です。
日本海側に比べて、冬季の日照日数が多い太平洋側の地域であれば、より有効に太陽エネルギーを利用できるはずです。また、高断熱・高気密な住宅であれば、昼に室内に蓄えた熱を夜まで逃がすことなく使えるので、暖房費をかなり安く抑えられます。
太陽光を取り入れるだけなら庇がなくとも、ただ南側に大きな窓があればパッシブ暖房は実現できます。しかし庇がない場合、夏場には一日中、陽差しが差し込み、冷房をつけなければ過ごせないほどの過酷な環境になってしまいます。ですから、南側の大きな窓は必ず庇とセットで考えましょう。
窓の外に落葉樹を植えるのも、庇と同様に夏季の陽ざしを遮るためです。夏は青々とした樹々の葉で強い日差しを遮り、冬は落葉するので陽差しを取り込むことができます。また夏には、木は葉からの蒸散によって周りの空気温度を低下させています。自然の力だけで室内環境を整えることができるので落葉樹は、究極のパッシブ装置といえます。
取り入れた熱を逃がさない
昼に太陽の熱で暖まった室内も、陽が落ちて外気温が下がってくると、窓を通して外へと逃げていってしまいます。窓は、太陽光を取り込む反面、熱を逃がてしまう欠点にもなります。熱を逃がさないようにするために、窓の内側に障子戸やハニカムブラインドを設けることが有効です。
障子一枚でも保温効果は抜群です。この日は夜23時の時点で室内温度20度ありました。陽が射しこむ間は障子戸やブラインドを開け、陽が落ちた後は閉めることで、保温効果を上がり、夜でも暖かさが持続します。
最近はセンサーで自動で開け閉めをしてくれる便利な装置もあるようですが、流石にそこはエコに手動で行いましょう。晴れたら障子を開け、陽が陰ったら閉める。こまめに調整するだけも、暖房効果が上がります。(夏場も同様です。開け閉めすることで格段に冷房効果が上がります)
太陽熱を蓄熱する方法
昼間に温めた熱を有効に蓄えておく方法として、日差しの差し込む床や壁を蓄熱量の大きいコンクリートや石、タイルで仕上げる方法が有効です。蓄熱量の大きい材料は(土鍋のように)一度暖まると、冷えにくい性質があります。その性質を活かせば、昼に太陽熱を蓄え、夜間には熱を発して部屋を暖めることが可能になります。
少し工夫することで、暖房費を抑えて暖かい冬を過ごすことができます。せっかくある無料の自然エネルギーを利用しない手はありません。