無垢フローリングの経年変化

——時間とともに深まる、木の魅力

床を貼って11年。当初、柔らかな肌色だった栗のフローリングが、飴色がかった深い濃茶色へと変化していました。同じ樹種とは思えないほどの変化です。

床材を選ぶとき、10年後の色を想像していますか。新しいサンプルで見た表情と、数年後の表情はまったく違うことがあります。竣工したときに気に入っていたはずなのに、時間が経つにつれて、思っていたのと違う、となってしまわないよう、経年変化を想像して床材を選ぶことが大切です。

この記事では、無垢フローリングが時間とともにどう変化するのかをお伝えします。色の変化、傷、そしてなぜ変化が起こるのか——それを知った上で床材を選ぶと、長く愛せる空間が生まれます。

時間とともに、色が変わる


こちらの写真を見てください。11年が経過した栗フローリングの上に、新しく取り寄せた栗フローリングのサンプルを置いたものです。当初、柔らかな肌色だった栗材は、飴色がかった深い濃茶色へと変化し、ぱっと見ただけでは同じ樹種とは思えないほどです。

着色したのではないかと思われるかもしれません。でも11年間、たまに雑巾で拭き掃除をする程度で、オイル拭きも何も一切行わないノーメンテナンス状態で、ここまで変化しました。日々の変化は小さく、住んでいる方にとっては気がつかない程度でしょう。でも年月を重ねて比べてみれば、これだけ大きく色が変わっていく。それが無垢材の面白さであり、魅力でもあります。

竣工したときは明るい印象の空間だったものが、時間とともに濃い色へと変化し、重厚な雰囲気へと育っていくこともあります。床材を選ぶとき、10年後、20年後の色を少し想像してみてください。その視点が加わると、床材選びがより豊かになります。

濃くなる木、薄くなる木


経年変化で、すべての樹種が濃い色になるわけではありません。ヒノキ、栗、杉、パイン、オークなど、比較的色目の薄い木は年を経るごとに濃くなる傾向があります。一方、ウォルナット、花梨、アカシア、ローズウッドなど、もともと色の濃い木は逆に色が薄くなっていきます。また時間とともに木目が際立つ樹種もあれば、木目が目立たなくなる樹種もあります。床材を選ぶときは、その樹種が時間とともにどう変化するかを、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

杉材でよく見られる傾向として、白太(しらた)と赤身(あかみ)の色の差があります。上の写真のように、丸太の外周部分である白太は淡い色目、中心部分の赤身は濃い色目をしています。床材を貼ったばかりのときは、この色の差が気になることもあるかもしれません。でも時間が経つにつれて、淡い部分と濃い部分の差が縮まり、全体的に色が均一になっていきますので、ご心配なく。

せっかく無垢材を使うのですから、その表情の変化を愉しむのも一興です。10年後、20年後にどんな顔になっているか——そう思いながら床材を選ぶと、また違った楽しさがあります。

傷あとも、味になる

床は使っているうちに、モノを落としたり、椅子の脚で擦れたりと、傷あとがついていきます。杉やヒノキ、パインなどの柔らかい樹種は特に傷がつきやすい。それは事実です。

でも私は、傷をマイナス点とは思っていません。最近ではわざわざ最初からスクラッチ傷をつけたアンティーク床材が登場しているほどで、傷そのものに味わいを見出す人も少なくありません。

写真は竣工から11年後のヒノキ床材です。みずみずしかった淡い肌色は飴色へと変化し、ところどころにひっかき傷や穴がついています。でもその傷があるからこそ、この独特の風合いが出せているといっても過言ではありません。傷あとは、その家で暮らしてきた時間の記録です。無垢材を選ぶということは、そういう変化を受け入れ、愉しむということでもあります。

色が変わるのはなぜか

陽の光が当たる場所ほど、木の色味が早く変化していきます。昔から、木が日に焼ける、といいますが、紫外線が木の成分を変化させることが大きな要因です。同じ部屋でも、窓際と奥の壁際では、変化のスピードが違うこともあります。

ただし色目の変化は、木の表面付近だけに留まります。表面を削れば、元の木肌の色が戻ります。空間の雰囲気を一新したいなら、床面にサウンディング処理(やすり掛け処理)を行えば、床を貼った直後のみずみずしい色に戻すこともできます。これは無垢材ならではの特性で、合板フローリングでは同じようにはいきません。

床材は、一度貼ったら何年も使っていくものです。使うほどに変化し、味わいが深まっていく——そういう素材と長く付き合っていくことが、無垢フローリングの本質だと私は思っています。

クリ無垢フローリング経年変化は、無垢フローリングの欠点ではありません。時間とともに色が変わり、傷が積み重なり、空間が育っていく——それを愉しめる人に、無垢フローリングはとくに向いています。

床材を選ぶとき、新しいサンプルの色だけで判断しないでください。10年後、20年後にどんな顔になっているかを想像しながら選ぶと、時間とともに愛着が増していく床材に出会えるはずです。

床材の選び方や仕上げについては、こちらの記事もあわせてどうぞ。

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