無垢材(天然木材)を活かすも殺すも使い方次第

上の写真に写っている無垢板(天然木材)は、すべて同じ丸太から切り出されたものです。

同じ丸太から切り出した無垢板の揃いを共材(ともざい)と呼びますが、全く同じ丸太から切り出した無垢板でも10枚あれば、10枚とも異なる表情をしています。板を切り出す場所や向きによって、節があったり、木目が異なったりと、板の表情は一枚一枚、異なっています。集成材などの既製品板と異なり、無垢材は世界に一枚しかない唯一無二の表情を持っています。

ある一枚は優しい表情をしていたり、他の一枚は荒々しいワイルドな表情をしていたりと、それぞれ個性的です。その中から自分の感性に合う板を見つけ出すのが、天然木材を選ぶ楽しみです。

無垢板をどこでカットするか考える

選んだ無垢材は、長かったり、短かったり、また、幅が大きかったり、小さかったりと様々なサイズとなっており、基本的にそのままでは建物の中には取り込めません。取り入れる場所のサイズに合わせて、サイズをカットする必要があります。また、その無垢板をどちらに向けて設置するか、表を使うか、裏を使うか、など木のどこを使うかを決める作業を「木取り(きどり)」と呼びます。

上の写真のように、どこを切るか、どの向きに向けるか、表面の仕上げはどうするか、など無垢材の表面にチョークでメモを書き込んでいきます。これが木取りの作業です。この指示の通りに加工を行った上で、取付現場に搬入されます。

無垢板の長さ・幅をカットする場合、上下左右、どちらを切り落とすのかによって、がらっと表情が変わりますので、無垢材のどこを使うかを検討しなければなりません。重厚な印象だったものが切り落としてみると、軽快な印象へと変化したり、また逆のことが起こったり。無垢材の表皮の部分を「耳(みみ)」と言いますが、その耳を残すのか、耳をカットするのかによって、ワイルドな表情へも、モダンな大人しい表情へも、どちらにも加工することが出来ます。

特徴的な杢目や節をカウンターの中心にくるように木取りするのか、それとも中心からずらして見せるのか、曲がった形を際立たせるのか、それとも抑えるのか、どう見せるかによって木取りの方向性は変わります。

一枚の無垢材から複数の板をとる

決して安くない無垢材ですので、出来るだけ無駄にしたくない場合は、無垢材のサイズが十分に大きければ、一枚の板から何か所かの板を切り出すこともできます。上の写真では、一枚の板を木取りして、右側からデスクカウンター材を、左側から2枚の棚板材を取ろうとしています。同じ板から切り出した板を使えば、統一感のある空間を作り出すことができます。

どこで切るか、どの向きに据えるかなど、それらの見立てが上手くいけば、今まで全く目に行かなかったような平凡な無垢材が、急に輝いて見えるように変化します。それが木取りの面白さでもあり、難しさでもあります。無垢材を活かすも、殺すも、使い方次第です。

これらの無垢材がどのように使われたか、完成したら報告しますので、お楽しみに。