工事が始まってからの設計者の役割とは

基礎配筋検査

「粟生津の平屋」プロジェクト、工事がスタートしました。といっても、一気に立ち上がる訳ではなく、地盤改良工事→基礎工事→柱梁加工→建て方→上棟、という順番で徐々に進んでいきます。

現在の現場状況は、基礎配筋工事中。基礎配筋が図面の指示通りに行われているか否か、鉄筋太さや本数、長さや補強状態など、コンクリート打設前に各部分に間違いがないか、チェックしていきます。もし間違いがあった場合は、その場で修正指示を行い、職人さんに修正作業をしてもらいます。配筋工事は、建物の耐震性に関わる重要な部分ですので、うっかりした見落としのないよう、入念なチェックが必要です。

今回、構造設計アドバイスをしてもらっている構造設計事務所ウッド・ハブの構造担当者も現場立ち合いに同席し、どうして修正しなければならないか、どう力が流れるかを職人さんに説明しつつ、納得してもらった上で、修正作業を行ってもらいます。設計者のわがままで好き勝手に修正を指示している訳ではなく、きちんとした理由があって修正が必要なんだということが分からなければ、職人さんたちも納得して作業をすることができませんから。またきちんと説明するのは、別の現場でも同じ間違いを鉄筋職人さんがしないように、という意図もあります。

プレカット打合せ

現場確認の後は、場所を移してプレカット(柱梁加工)図の打合せ。現代の木造工事では、現場で柱・梁材を大工さんが加工することはまずなく、プレカット加工工場で事前に機械加工を行うのが通常です。

設計者、構造設計者、プレカット加工担当者、施工者が一堂に集まり、フレーム模型を眺めつつ、立体的に納まりや組み立て方を検討していきます。建て方当日になって、現場で組み立て始めてから上手く組めない・・・なんて失敗の無いよう、各方面から検証を行っていきます。柱の金物は問題ないか、合板の釘打ちはできるか、組み立て作業の順番はどうするか、などなど。

設計図面が書きあがり、現場が始まれば設計作業は終わり、ということにはなりません。設計者の監理業務は建物が完成するまで続きます。建物の最終的な良し悪しは、現場監督の管理能力や職人さんたちの技量に左右される面が大きいのですが、設計者の監理技量でも大きく変わってきます。細かな納まりから品質確認まで、設計チェックを行うことで出来上がりの精度がずいぶんと違ってきます。

ただし、設計者が関われば関わるほど、設計料も上がってしまいます。設計費用と仕上がり精度を天秤にかけて、どうバランスを取るか、悩ましいところではありますが。。。