現場確認のため「上越高田の家」へ。設計者は、設計図面を描くだけが業務ではありません。図面通りに現場の工事が進行しているか確認したり、図面で表現しきれない箇所を職人さんと打合せしたり、変更に対する増減金額を調整したりと、現場が進んでからも処理しなければいけない業務がたくさんあります。
現場へ着くと、大工さん、板金屋さん、電気屋さん、設備屋さん、塗装屋さん、家具屋さんと、立て続けに質問責めに。既製品を組み合わせて作る決まりきった建物ではないため、設備配管の位置や細かな納まり、仕上げ材の貼り方向や色味・艶の選定、照明器具の位置や配線などなど、決めていかなければいけない事が多岐に渡ります。
昼過ぎに始まった打合わせも気がつけば、もう夕方近く。面倒臭がらず、これだけ熱心に現場で働いてくれる、モノづくりに前向きな職人さん達がいるから、設計者が設計した(複雑な!)住宅が作れるのです。職人さん達に感謝です。
近年、ローコストとスピードだけを目指した商品化住宅が多くなっています。確かに安くて速く出来るのでしょうが、それによって現場のモラルや職人の技術が低下してきているようにも思います。私のような小さな設計事務所に出来ることは多くはありませんが、技術と知識のある職人さん達とこだわりのある仕事を続けることで、建築業界が劣化しない助けに少しでもなればと思います。