「上越高田の家」手刻み加工について

「上越高田の家」現場では基礎工事が進行中ですが、工務店の加工場では大工さんが柱梁の加工作業に入っていました。今回、施工をお願いしている久保田建築さんは、大工さんの手加工(手刻み)技術を売りにしている工務店です。今回の加工も手加工(手刻み)でお願いすることになりました。

まずは材木に墨汁で墨付け(どのように加工するかの下書きを材木に墨で書き入れること)を行い、続いて丸鋸やノミなどの加工道具を使って、仕口と呼ばれる材木の組み合せ部分を削り出していきます。今回は、斜めに納まる部分も多く、部材の取り合う角度が複雑なため、大工さんの加工の腕が頼りとなります。継ぎ手の加工形状には、「ほぞ差し」、「腰掛け蟻継ぎ」、「腰掛け鎌継ぎ」、「大入れ蟻落とし」、「胴差し」など様々な種類があります。取り合う場所毎に加工形状を替え、加工を施していきます。

機械加工の「プレカット」と、手加工による「手刻み」。両者の違いは何かと一言でいえば、手刻みだと木の一本一本の性質(癖)を見極め、ひと手間加えることが出来るということでしょうか。仕口をいうのは、凹凸をパズルのように組み合わせるものですので、組み合わせ部分をキツめにしたり、緩めにしたりと、木に材質毎に調整をするので、きっちりと組み上がっていきます。手加工ですと、その見極めを丁寧にできるというのが大きなメリットです。ただし、デメリットとしては、プレカットと比べて割高で、かつ、加工時間が掛かかります。

近年、手刻みをする大工さんが少なくなってきていますので、日本の高度な手加工技術を後年に渡って伝えていく為には、このような昔ながらの加工技術を敢えて選択していくのは貴重なことだと思います。ちなみに今回担当してくれる棟梁は、大工さんの中でも若手の方です。このような若い大工さんが腕を磨き、技術を後世に繋げていくのは建設業界にとって、とても大事なことです。

手刻み加工
手刻み加工
手刻み加工
手刻み加工